アオカミキリモドキという昆虫をご存知でしょうか。
もしかしたら既に被害にあったことのある人も沢山いるのでは!?
今回はアオカミキリモドキについて詳しくお話します。
アオカミキリモドキの特徴と生態
アオカミキリモドキはコウチュウ目カミキリモドキ科ナガカミキリモドキ亜科に分類される体長11~15㎜程の昆虫です。
日本では北海道、本州、四国、九州、屋久島に生息し、草むらや雑木林などにいますが走行性があり灯火によく寄ってくるので家屋内でも見かけることがあります。
色鮮やかで上翅は青緑色、頭部・胸部・脚はオレンジ色をしています。
花に集まり花粉を侍ますが、幼虫は朽ち木を食べます。
卵は50~200粒の卵塊として朽ち木や落葉下などに産み付けられ、1~2週間で孵化し、幼虫は腐朽した材や腐植物を食べて成長し、およそ1年で成熟し蛹化します。
成虫の出現は5~7月で、特に初夏にかけて最も多く発生します。
カミキリムシとの違い
名前は似ていますがあくまでモドキ。
カミキリムシのような大顎は持たず、触角も短く、何よりコウチュウ目でありながら体が固くなくプニプニと柔らかいのが特徴です。
色が鮮やかで体も硬くないアオカミキリモドキが天敵から身を守るためには・・・そう毒が必要になります。
体色も実は警告色。
アオカミキリモドキの毒
アオカミキリモドキの卵、幼虫、蛹、成虫の全ての成長段階の体液には有毒成分、カンタリジンと言われるものが含まれています。
カンタリジンは猛毒として知られていて、体液が皮膚に付着すると2~6時間後に激しい痛みと共に水ぶくれができ、この水ぶくれが破れてかさぶたが出来ると同時に恐ろしいまでの痒みに襲われ、少なくとも2週間近くも続きます。
この症状は火傷に似ていて、そのためにヤケドムシやデンキムシなどといった名前で呼ばれることもしばしば。
例えばアオカミキリモドキに何もせず、手の甲などを這わせておくだけなら何も被害怒りませんが、多少でも圧迫を加えてしまうと前胸背板の前後両縁や翅鞘付近から毒液を分泌し、これによって被害が起こります。
毒成分カンタリジンとは
カンタリジンは昇華性がある結晶で水にはほとんど溶けません。皮膚に付くと痛みを感じ、水疱を生じるのが特徴でツチハンミョウ類、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、アリモドキ類、ハネカクシ類などの甲虫類が分泌する体液に含まれています。
ヨーロッパに分布しているツチハンミョウ科のスパニッシュフライ、ジョウカイボンかのカンタリス・ウェシカトリア、日本ではマメハンミョウ等がカンタリジンを持つ昆虫として有名です。
カンタリジンを含むカンタリスは古くから難病を治すことに使われていました。
皮膚外用によって水疱が出来、炎症や神経痛の治療、イボ取りなどに用いられ、内服では尿失禁や膀胱炎の治療などにも用いられています。
かつて乾燥下虫の粉を暗殺用の毒薬や媚薬として用いたり、発毛剤としても使われていました。
適量を用いると中毒を起こし、10㎎以上摂取すると脂肪するとされています。高度の中毒では2~3時間以内に、中等度では1週間以内に死亡するとされるほどの猛毒です。
カミキリモドキ科の昆虫
アオカミキリモドキに限らずカミキリモドキ科の昆虫は一様に毒を持ち、それら20種類ほどの昆虫を総称してヤケドムシと呼ばれることも多いのですが、そんな中でも最も多く見られるのがアオカミキリモドキです。
他にも北海道に多いキクビカミキリモドキやイイロカミキリモドキは被害が多く、その他奄美や沖縄などに多いハイイロカミキリモドキ等も含め50種類近いカミキリモドキ科の昆虫がいます。
皆さんもカミキリモドキにご用心を!
(ライター ナオ)