マツカレハという蛾をご存知でしょうか?

まるで枯葉のように見える蛾ですが、幼虫は毒を持っている厄介な存在の昆虫です。

今回はマツカレハについて詳しくお話していきます。

マツカレハの特徴

マツカレハはチョウ目カレハガ科に属する昆虫で幼虫は松毛虫と呼ばれることもあります。

日本全国およびシベリア、樺太、朝鮮半島に分布します。

 

成虫は翅の開帳が70~90㎜で全体に褐色。前翅にはまだら模様があり個体によってかなり異なります。

幼虫は背面が銀配色で覆面は金色になり、背面に藍黒色の長い毛を密生しています。

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マツカレハの生態

年に1回発生し、成虫は7~9月頃出現してマツ類のアカマツ、クロマツ、ヒマラヤスギなどの葉や枝に200~500個もの卵を産み、孵化した幼虫は針葉を食べて10月下旬までには体長20㎜内外の5齢に育ちます。

 

そして幹から降りてきて根際や落ち葉の下などで越冬します。

翌年の4月頃から幼虫は再び樹に登り、針葉を食べ続けて更に3回の脱皮ののち8齢幼虫となり6から7月頃に歯をつづって灰褐色のマユを作り蛹になります。

 

マツカレハは稀に大量発生し、食害する程になることもあり1924年樺太の大泊湾一帯で大量発生したこともあり、一夜にして数百兆部の森林が食い荒らされたとの記録も残ります。

マツカレハの毒

マツカレハの幼虫の胸部に毒針毛があり、頭部付近に毒針毛の束を2束持っています。この束は刺激を受けると膨らみ、また繭には幼虫の時に持っていた毒針毛が残ります。

成虫になってしまうと無害ですが、成虫でも毒を持つ蛾は沢山いるので、マツカレハの見分けがつかない人はうかつに素手で掴んだりしないようにしましょう。

毒性はドクガ程強くはありませんが、刺されると激痛があり、痕が腫れあがります。

痛みや腫れはすぐなくなりますが、痒みは1~2週間くらい続きます。

刺された時はピンセットとセロテープで丁寧に除去するようにし、ステロイド系の軟膏などを塗っておきます。

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マツカレハの防除

マツカレハの防除としては冬に5齢虫が幹から降りて根際や落ち葉の下などで越冬する時に幹に藁などを巻いておくと、その中に幼虫が潜り込むので、冬にこれを集めて燃やすというのが一般的です。

 

公園などのマツの藁焼きと言われる光景はこのマツカレハの幼虫を駆除するためのです。

長い竹ざおの先のぼろ布に火をつけて焼き殺す方法も良く取られますが、稀に火事になるケースもあるので注意が必要です。

また、4月になって幼虫が活動を始める時には園芸用の殺虫剤を巻いて駆除する方法もあります。

カレハガ科の蛾

カレハガ科は昆虫綱チョウ目に属す科の1つで、成虫は止まっていると一見枯葉のように見える種類が多いのが特徴です。

幼虫はオビカレハを除き毒針毛があり、触れるとかぶれます。

 

毒針毛を持つ種類には全体に褐色系の地味な種類が多く、体に2束毒針毛の束を持っています。

カレハガ、マツカレハ、クヌギカレハ、ヤマダカレハなどは頭部付近に2束短い束があり、タケカレハ、ヨシカレハなどは頭部付近と尾部付近に1束ずつ長い束を持ちます。

 

頭部付近に2束の毒針毛の束を持つ種類は刺激を受けるとこの束を膨らませ威嚇し、頭部付近と尾部付近に1束ずつ毒針毛の束を持つ種類は刺激を受けてもこの束を膨らませることもなく、威嚇することもありません。

 

また、繭にも毒針毛が付着しますがドクガ科の蛾とは異なり成虫には付着しません。

日本産のカレハガ科に分類される蛾の主な種類はカレハガ、マツカレハ、クヌギカレハ、ツガカレハ、ヤマダカレハ、タケカレハ、ヨシカレハ、オビカレハ、ウスズカレハ、スカシカレハ、ヒメカレハ、リンゴカレハなど。

(ライター ナオ)

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