ウミウシというと私たちが思い浮かべるのは地味な黒い泥っとした生物。
可愛いや綺麗とはとてもいいがたい風貌ですが、実は思わず可愛い!とか綺麗!と声を上げてしまうようなウミウシも存在しています。
今回はそんな綺麗なウミウシ、ミカドウミウシについて詳しくお話します。
ミカドウミウシの特徴
ミカドウミウシはインド洋や西太平洋、中部太平洋、南太平洋に分布するウミウシです。
日本では伊豆七島や小笠原諸島、沖縄などの浅瀬の海底屋岩の隙間などで見ることができます。
体色は淡黄色や赤色、赤紫色など変化に富みますが、背面には赤色と白色の不定型な斑紋が入るのが一般的ですが、これを欠くものも見られます。
体長は60㎝にもなる個体など一般的なウミウシと比べるととても大型の種類になります。
華麗に踊るミカドウミウシ
ミカドウミウシは普段は体の縁にあるひらひらした部分を波打たせるようにして泳ぎ、夜行性ではありませんが昼よりも夜の方が活発に動きます。
スペインの踊り子=スパニッシュダンサーという呼び名を持つほどで、その色合いといい、動くさまといいまさに踊り子のように華麗です。
ほとんどのウミウシが泳ぐことができない中、これはミカドウミウシの特徴でもあるわけです。
ミカドウミウシの名前の由来
ミカドウミウシは見た目の印象と名前の印象があまりに違うと思った方はいませんか?
もう少し華麗な名前がついていても良さそうなものですが、実はこれ、かつてウミウシの研究をしていた昭和天皇に献上したウミウシということから名前がつけられたのだそうです。
そういわれると赤色が途端にめでたげに見えてくるから不思議です。
他にもいる華麗なウミウシ
ウミウシの仲間は3000種類以上が知られていますが、発見されていない種類は更に3000種いると言われています。
そんな多くの種類が存在するウミウシの中にはミカドウミウシの他にも華麗なウミウシが沢山。
例えば、まるでインターネットの伝達網のように網が張り巡らされているようなウミウシ、その名もインターネットウミウシ。
他に日本で観察されたことのある種類でいえば、ピンクのグラデーションがきれいな「ヒロウミウシ」や、まるでドクガの幼虫のような「アオモウミウシ」。赤と紫のおしゃれな「クチナシツノザヤウミウシ」など。
また、抜群のネーミングが思わずツボに入って、笑ってしまう「シモフリカメサンウミウシ」、「イチゴミルクウミウシ」、「イチゴジャムウミウシ」などなど、挙げればきりがないほどです。
飼育の難しいウミウシは水族館で
カラフルで、熱帯魚よりも見ごたえがあると言っても過言ではないほどのウミウシ。自宅で飼育して観賞したいという願望にかられる人もいるかと思いますが、とにかく飼育は難しいのだそう。
特に、ミカドウミウシのように特定のエサを食べる習慣のあるウミウシは特に難易度が高いらしく、水族館などで楽しむのが良さそうです!!
ミカドウミウシを展示している水族館は鳥羽水族館屋美ら海水族館。
鳥羽水族館では黄緑色のカイメンと一緒の水槽で色鮮やかに展示されています。この黄緑色のカイメンは水槽の中の岩陰にいますが、実はミカドウミウシの大好物。
ミカドウミウシはこのクラトリナカイメンではないかと思われるカイメンが大好物なのだそう。
見ている分には鮮やかで綺麗ですが、エサを調達するのはやはり大変のようです。
ミカドウミウシが華麗にダンスする姿を見たい方はぜひ鳥羽水族館か美ら海水族館へ出かけてみて下さい。
また、イベント的に綺麗なウミウシを展示しているところもあるので、そちらのチェックもお忘れなく。
(ライター ナオ)