アブラコウモリという、日本では都市部に生息しているコウモリがいます。
都市部にいるコウモリということで、みなさんのなかでも見たことがある人もいるかもしれませんね。
このアブラコウモリの生態に迫ってみましょう。
アブラコウモリはどんなコウモリ?
アブラコウモリはコウモリ亜目・ヒナコウモリ科のコウモリです。
シベリア東部〜ベトナム〜台湾あたりに分布し、日本でも北海道を除いたほとんど全地域に生息しています。
このアブラコウモリの最大の特徴は、日本にいるコウモリでは唯一という、「家の中を住みかにする」コウモリということです。
そのため別名「イエコウモリ」という呼び名もあったりします。
体の毛は黒褐色〜暗灰褐色、皮膜は灰褐色か明るい褐色となっています。
日本では市街地〜平野部に生息していて、東京のような都市の市街地にいて、夕方ごろ普通に確認されています。
私も一応都市部という場所に住んでいますが、あんまり見たことはないですねえ。もしくは、見たことがあってもそれとは気づいてないだけかもしれません。みなさんはいかがでしょうか?
コウモリといえば「洞窟」、洞窟といえば自然という感じがするのでこのへんは意外な感じですよね。アブラコウモリは人のいない山などにはいなくて、自然の洞窟などにもほとんどいないそうです。
ちょっとしたすきまがあれば入ってこれるので、瓦の下や壁の間、天井裏や換気口等のちょっとしたすきまを主なねぐらとしています。
高層ビルや鉄道の高架、大きな倉庫などにもいる場合があるようです。
成長したオスは1頭で生活していてることも多いですが、メスは子供たちと暮らすことが多いとされています。
昼間は寝床でグーグーグーですが、夕方ごろから夜にかけて活動し、蚊などの小型の昆虫類や甲虫等を捕食します。
都市部に住んでいるということで、駐車場の広い場所や街灯付近をユラユラ〜ッと不規則に飛んで餌を探します。
有機物量が多い汚れた川から大量発生する「ユスリカ」を食べることも多いのです。
このようにアブラコウモリは、稀少な昆虫捕食者となって人間の居住において重要な位置を確保しています。
補食する昆虫のなかに農林業などの害虫がたくさんあるので、アブラコウモリの果たしている役割は大きいとされています。
11月の中旬あたりから冬眠します。比較的に暖かい所に集まって冬越しします。
3月ごろから目覚めて活動を開始します。冬眠の期間中でも、たまにある暖かな日に飛んでいる姿が見つかることもあります。
メスは満1歳から7月初旬に2頭〜3頭ほどの子を産みます。
赤ちゃんは30日程で離乳し巣立ちします。
10月になると交尾を行い、精子はメスの生殖器官に留まったまま冬を越し、4月の下旬になると排卵が起こって、受精〜妊娠します。
寿命はオスが3年、メスが5年くらいで、セミほどではないけどかなり短い一生ですね。
さらに新生獣は死亡率が高くて、そのうち半数以上は1年もせずに死ぬという短さです。
益獣でもあり害獣でもあるようです
アブラコウモリは人間の家を住み家にするコウモリなので、日本人ではもっとも関わりが深いコウモリといえるでしょう。
アブラコウモリは蚊のような害虫を食べるので益獣という側面もあるんですが、糞・尿のにおいやダニ、騒音などで困る場合が多くなっています。
日本や東アジアでは、昔は縁起がよい生き物だったそうです。
日本では「子宝に恵まれる」というイメージのめでたい動物とされ、東アジアでも「蝙蝠」の「蝠」が「福」になるので縁起が良いとも言われていました。
しかし、現代では西洋の怪奇小説等の「コウモリ=不吉な動物」という概念が広がっていますね。
昔はよかったコウモリのイメージ
日本の都市部に生息しているという、都会派なコウモリの「アブラコウモリ」についてでした。
日本では昔はコウモリって縁起が良いイメージだったんですねえ。
顔も見てみるとオメメがつぶらでなかなかかわいい顔だし、どうなんでしょうかね。
アブラコウモリを良いイメージでみるか悪いイメージでみるか、このへんは意見がわかれるところではないでしょうか。