ヤモリは家の付近にいたりするので、人間にとってなじみのある生き物です。
その形からヤモリは陸と海で生きられそうだから「両生類」ではないかと思いがちですが、実はヤモリは両生類ではないようです。
今回はその理由に迫ってみましょう。
ヤモリの生態や雑学も紹介します。
ヤモリの生態
ヤモリは有鱗目の科のヤモリ科であり、模式属はヤモリ属に属しています。
南極大陸以外のすべての大陸にいます。
小型なものが多いのでなんらかの漂流物といっしょに海洋島などに流れ着いて世界中に分散したとされています。
漂流物といっしょに海を流れるヤモリを想像すると、かなり可笑しいですね。冒険家なヤモリだったのでしょうか。
もちろん、人間が増えてからは、その荷物にまぎれて海の長い距離を移動したヤモリもいるでしょう。
体はひらぼったく、細かなウロコで全身を覆っています。目が特に大きく、まぶたは透明なウロコで覆われていて、まぶたを閉じられないので舌によってそのウロコをなめて洗ってきれいにしています。
ホント、つぶらな目って感じですよねえ。この目が大きいのが、「かわいい〜」なんて言われてペットとして飼われている理由なのかもしれません。
森林・砂漠等のいろいろな環境にいて、家に生息するものもいます。夜行性が主で威嚇・求愛に鳴き声を出すヤモリもいます。
昆虫・小型爬虫類・小型哺乳類など動物類を主に食べますが、花の蜜・果実を食べることもあります。
卵生でだいたい1回につき2個ずつの卵を、数回に分けて産みます。
ヤモリからの足から生まれた「ヤモリテープ」!
瞳孔が縦に長いのが特徴的で、これは多くの光を集めるので夜の行動に適しています。
太くて短い舌の先はちょっと分かれています。
四肢は短く、人間とおなじで指は5本ずつで、襞状のウロコが並んでいる種もいます。ヤモリの指って特徴的ですよねえ。画像で見ると、体の対比するとかなり大きい感じがします。
この手でガラスケース等の滑らかで垂直な面でも接着して登ることができます。
昔はこの襞は鉤型になって壁のちいさいデコボコに掛けて接着しているとされていましたが、2000年にカリフォルニア大で、足の裏にあるなんと約50万本という剛毛が、壁の分子とに「ファンデルワールス力(原子・イオン・分子間に働く引力あるいは反発力の内、物理的起源をもつ相互作用の総称)」を発生させることによって接着することを発見しました。
大学ではいろいろな研究をしているんですね!脱帽です。
指趾だけでなく、この機構を尾に持っている種もいます。
樹上に住むタイプは趾下薄板が発達しているもの多く、地表に住むタイプは発達していないものが多くなってます。
これが、「ヤモリテープ」という新しい接着剤の研究となっているそうです。
よくわからない普通の人にとっては吸盤みたいなものかと思ったんですが、違うんでしょうかね?
しかし、ヤモリってほんと恐竜の赤ちゃんみたいなフォルムですよね〜。
ヤモリはなぜ両生類ではないのか
ヤモリは両生類ではないとされています。
「でも、ヤモリとよく間違われるイモリは両生類なのに、なぜ?」という人がいるでしょう。
では、両生類と爬虫類の違いをヤモリの生態に比較してみることで説明してみましょう。
イモリは「両生類」で体がヌルヌルしていますが、ヤモリは「爬虫類」で体がゴツゴツしているという違いがあります。
まず両生類とは幼生期にエラで呼吸し、成長したら肺で呼吸する生物です。魚類から進化することで陸に初めて上がった動物とされています。
体は柔らかくてウロコや毛や羽がありません。
呼吸のほとんどは皮膚による呼吸です。
尾があるサンショウウオなどと、尾がないカエルなどに分類されます。
変温動物で外の温度によって体内の温度が変化するために、暑い時期になると冷たい場所に、寒い時期は暖かい場所にと移動しなければなりません。
これに対して爬虫類は幼生期から肺で呼吸します。「両生類」から進化して、「陸で生活できるようになった」初めての動物とされています。
その多くが卵生ですが、胎生のものももいます。
体は硬いウロコで覆われて、素早い動きができるように4本足となりました。
変温動物なことは両生類と同じです。
爬虫類と両生類の違いは、「水」にあります。魚類から進化した両生類が、さらに進化して爬虫類になったということも言えるでしょう。
水の中だけで暮らす魚から進化して、水から最初に出て陸に上がったのが両生類ですが、両生類は水付近の陸にあがっただけで、爬虫類はさらにそこから進化して水場から離れて生きることができたのです。
つまり、両生類と爬虫類の違は、水から離れて生きられるかどうかの違いです。
子孫の卵を陸に生める爬虫類と、陸に生めない両生類の違いもあります。
ヤモリの生態は爬虫類の特徴をもっています。
このため、ヤモリは爬虫類に属するということになるわけです。
ヤモリとイモリは見分けにくい
ヤモリの両生類ではない理由についてでした。
イモリとヤモリってほとんどの人が違いがわからないと思いますが、
こういった違いもあるんですね!またひとつ勉強にりましたね。