タコといっても棲息海域や姿かたちは千差万別です。

ディズニー映画のダンボが公開されたのは1940年頃だそうですが、それ以前から実はいたのかも知れない、ダンボオクトパスと呼ばれる深海の生物に関する話です。

ダンボオクトパスについて

ダンボオクトパスはタコの一種です。ダンボオクトパスは14種類ほどいるとされます。

ダンボオクトパスの外見の特徴は、頭のような部位に耳のように見える器官がついている事です。

 

この耳のようなものがダンボオクトパスという通称名の由来です。

この耳をダンボオクトパスは何に使うのでしょう?

ダンボオクトパスの耳

一般のタコは、漏斗といわれるタコの口のようなところから水を噴射し、その力で移動しています。

ダンボオクトパスの耳のようなものはヒレ(fin)です。ダンボオクトパスは移動する時にそのヒレを動かすのです。

 

この移動する姿が可愛いすぎる!のです。

しかし結構な深海なので周りには何も映らず、ダンボオクトパスはずいぶん孤独な生活をしているように見えます。

 

ダンボオクトパスの仲間は300mほどの中深層から1000mを超すような超深海までの幅広い海域に棲息するとされます。

深海は海の表層部を除く200m以下から1000m以下の超深海の事を言うようですが、ダンボオクトパスたちは可愛い通称名に似合わず(?)高圧で餌の少ない深海にも棲息できるタフなタコです。外見もいろいろな個体がおり、例の耳は大きい個体もいれば、中くらいの個体もいます。

 

全体の大きさが大きいダンボオクトパスは一見タコに見えず、やっぱり深海に棲む生物の個性は豊かだな、と思わされます。

ダンボオクトパスとメンダコ

ヒレを使った独自の遊泳方法から、ダンボオクトパス、という呼び方が定着しているのですが、一応和名があり「オオクラゲタコ」といわれる事もあります。

メンダコとよく似ているので外見だけ見てもはっきり区別がつかない事もあります。

 

属する属はヒゲダコ亜目のようで、メンダコと明らかに異なるのは外見です。

メンダコの体は平たく、その間を膜が覆っています。ダンボオクトパスはもっところりとした姿で、ヒレも大きい事が多いです。

 

ダンボオクトパスの方が棲息海域が幅広く、どちらかというと深海にいるようです。

メンダコのように表層部に姿を現す事は少ないようです。タコと言えばスミを吐くような気もしますが、メンダコもダンボオクトパスもスミを持ちません。

深海では煙に巻くような行動をとる必要はないのでしょう。

ダンボオクトパスのヒゲ

意外な事にダンボオクトパスにはヒゲがあります。

深海に棲む事が多いヒゲ亜目のタコたちには触手のあたりに毛があるらしい事も特徴のひとつです。

 

マダコ亜目のマダコなどの触手には吸盤がありますね。ダンボオクトパスの吸盤は1列で、その隣に感覚毛などと訳されている毛があります。

ダンボオクトパスは、餌を探すのにこの毛で砂や泥を探るといわれています。

 

ダンボオクトパスは甲殻類やゴカイなどを食べるようですので、動物食です。

ダンボオクトパスの泳ぐ姿を見ると、脚の部分が巻いているように見えますが、脚の構造については今一つはっきりしていないようです。

ダンボオクトパスの姿

現在ダンボオクトパスが見つかるのは、オーストラリア、カリフォルニア、フィリピンなどです。

北半球から南半球の広い海域に棲息しているようです。ダンボオクトパスは何となく体が柔らかそうで触ってみたくなるような質感に見えます。

 

その通りダンボオクトパスの体は柔らかすぎるくらい柔らかく、ゼラチン質のようなものであるようです。

一般の筋肉質なタコ類とはひと味もふた味も異なる、毛の生えた触手をもち、耳のようなヒレを使い優雅に移動するダンボオクトパスは、タコ界のスターといえるでしょう。

(ライター:おもち)