みなさんは、別名「ゴジラザメ」と呼ばれているサメをご存知ですか?
その正式名称は、「ヨロイザメ」。
名前からして強面なイメージがありますが、その特徴は「目」にあるんです。
目が特徴的なサメ…一体どんなサメなのでしょうか。
日常では姿を見かけることのないヨロイザメ、その実態に迫っていきましょう。
ヨロイザメってどんなサメ?
ヨロイザメは、水深200~600mの海に生息している、深海ザメです。
「ゴジラ」なんて言われるくらいだから、よっぽど大きいのだろうか?と思われるかもしれませんが、体長は1m~1.5mほどとそう大きくありません。
それではなぜヨロイザメがゴジラザメと呼ばれているのかというと、それは「大きな目」と「皮膚の質感」にあります。
普通、深海では真っ暗で何も見えないので、目が小さく退化してしまっているものが多いですよね。
しかしヨロイザメは、とても大きな目を持っているのです。
しかもその目はあまり魚っぽくなくて、目単体で見ると猫っぽい…。
目だけを見ると「キレイだなぁ」「可愛いなぁ」と思えるのに、これがヨロイザメの顔についていることで、めちゃくちゃ気持ち悪くなっています。
細長い体に、ザラザラとしたサメ肌。
宇宙から来た生命体だと言われたら納得してしまいそうな、そんな見た目をしています。
ゴジラというよりは、宇宙人ですわ…。
ヨロイザメの口は一般的なサメのイメージと比べると小さめですが、じつに様々な生き物を餌とします。
魚や小型のサメ、甲殻類、多毛類、クラゲなどを食べるのは想像通りですが、その他にもなんとクジラや大きなサメすらもエサにするというのです。
体長1mちょっとしかないヨロイザメが、どうやってクジラや大きなサメを捕食するのでしょうか。
どう考えても、力じゃ太刀打ちできそうにないですよね。
群れで襲う?それとも毒でもある?なんて考えが思い浮かびますが、そのどちらでもありません。
答えは…「生きたまま肉を齧り取って食べる」です。
考えただけでも痛い!
ヨロイザメは見た目の割にとても強靭なあごを持っており、噛む力がとても強いのです。
深海ザメなので人間と遭遇することはまずないでしょうが、もしも万が一遭遇することがあれば、気を付けてください。
ヨロイザメと人間
普通の海水浴などでヨロイザメと遭遇することはありませんが、じつは人間とヨロイザメには深い関わりがあることを知っていましたか?
食べられそうにもないし利用価値がなさそうに見えますが、肉は食用、皮は家具などの材料に使用されるのです。
その中でも特に重要視されているのが、肝臓に溜められた「肝油」。
これはみなさんもご存知の通り、健康食品や化粧品に重宝されている成分です。
かつては戦闘機の潤滑油としても使われていたんだとか。
一時期は肝油目的での漁獲量がどんどん増加し、現在ではヨロイザメは準絶滅危惧種になってしまっています。
現在ではヨロイザメをターゲットとして漁をすることはないようですが、他の魚に紛れて水揚げされることはあるようです。
(もし生きて捕獲できても、深海に戻ることができずに死んでしまうそう…)
現在ではなかなか一般に食用として流通することはありませんが、見た目に反してとても美味しいらしいです。
サメはアンモニア臭くて食べられないと言われることが多いですが、ヨロイザメは刺身など生で食べるのもおすすめだそう。
ヨロイザメについてのまとめ
不気味な見た目のヨロイザメですが、ずっと見ているとなんだか可愛くも見えてきますね。
肝油ならば「肝油ドロップ」などで口にしたことはあるけれど、身を料理して食べたことがあるという人はほとんどいないでしょう。
もし機会があれば、一度はヨロイザメ料理を食べてみたいですね。
(ライター もんぷち)