皆さんはウミグモという生物の存在をご存知でしょうか。

そう、その名前の通り海に生息しているクモですが、詳しい生態が明らかになっていない分野の生物です。

今回はそんなウミグモについて、現在までわかっていることについて詳しくお話します。

ウミグモの特徴

ウミグモはユメムシともいわれ、節足動物ウミグモ類の総称です。

形はクモに似ていますが、クモ類とは直接のつながりはなく、4対の大きな歩脚を持っています。

 

体は小さく、体長は1~数十㎜ですが、3㎜位のものが多くいます。

ただし、深海性のオオベニウミグモは脚を伸ばすと30㎝ほどにもなると言われています。

 

体は頭、胴、腹に分かれていて、頭部には鋏のような肢があり、触肢、担卵肢の3対の付属肢もあります。

卵を抱えるための担卵肢はウミグモ類特有で、オスでよく発達して卵塊を保持する役目をします。

 

頭部先端の吻で食物を吸い込み、頭部背面には4つの単眼からなる眼丘が突出しています。

頭部には4対の細長い歩行肢があり、オスではセメント腺とよばれる粘着液を分泌する器官を備えていて、メスの産んだ卵をその粘着液で自分の担卵肢に付着させます。

腹部は単節で小さく、先端に肛門が開いていて、消化管は鋏肢と各歩行肢の中に分岐しています。

ウミグモの生態

ウミグモは世界中の寒帯から熱帯の潰瘍に分布し、潮間帯から6000mの深海まで分布。成体は自由生活をし、海中を遊泳したり、海底を歩行したりします。

生殖は体外受精で、受精卵はオスの担卵肢に保持されて孵化します。

 

孵化した幼生はプロトニンフォンと呼ばれ、3対の付属肢を持っていて、他の動物に寄生し、そこで脱皮をして変態成長しますが脱皮のたびに歩行肢を1対ずつ増やしていきます。

運動はとても緩慢で、多くの場合は海底の岩や海藻にが実ついてゆっくりと歩きます

ウミグモの中の一種、ツメナガウミグモでは、受精卵が成熟するまでに約5か月かかることがわかっていますが、他の種に関しての生活史はほとんどわかっていません。

ウミグモの分類

ウミグモの現生種は世界中に800種類ほど。日本近海には約100種が知られています。

分類には頭部の付属肢の形や有無などが用いられ、ユメムシ科、カニテノウイグモ科、ホソウミグモ科、ミドリウミグモ科、イソウミグモ科、スイクチウミグモ科、オオウミグモ科、イボウミグモ科、ヨロイウミグモ科に分けられます。

ウミグモの種類と特徴

余り多くのことがわかっていないウミグモですが、そんな少ない情報の中でもいくつかピックアップしておきましょう。

カイヤドリウミグモ

不明な点も多いウミグモですが、カイヤドリウミグモは体がパイプをつなぎ合わせたスケルトンのような状態に見えます。

アサリやハマグリなどに寄生し、体の体液を吸って育ちます。別名を海の吸血鬼と言われ、現在木更津沖では被害が拡大しています。

ヤマトトックリウミグモ

ヤマトトックリウミグモはスイクチウミグモ科に分類されるクモで、太平洋に生息しています。

体長は10~30㎝で、体が小さすぎて消化器官や生殖巣など内臓の多くが足の中にまで入り込んでいます。

体全部が肢のように見えますが、中心部が胸部になっています。

食用としてのウミグモ!?

昆虫食が流行る昨今、クモは意外に美味しいというのが定番になっているようですが、ウミグモは一体どうなのでしょう。

実は、ウミグモを素揚げすると、細い脚の中には油が詰まってしまって、ほぼ油の味。

更に、その油の中にウミグモの体液が混ざってしまっているので、かなり不味いのだそう・・・・・見た目は小エビやカニのような雰囲気がありますが、実態は全く別物のようです。

(ライター ナオ)