ウツボというとどこか凶暴でものすごい形相をした魚を思い浮かべますが、実は美しいと見とれてしまうほどのウツボも存在しているということをご存知でしょうか。

今回はそんな最も美しいと言われるハナヒゲウツボについてご紹介します。

ハナヒゲウツボの特徴

ハナヒゲウツボはウナギ目ウツボ科に分類される魚類です。

ウツボ類の中でも特に鮮やかな体色と鼻先の肉質突起がまるで花でも咲かせているかの様に美しいウツボです。

 

インド洋から西太平洋の熱帯海域に広く分布し、日本では南西諸島に分布しています。

最大で全長130㎝に達し、体は前後に細長い円筒形ですが他のウツボ類よりも比較的細長い体型をしています。

 

片側に2つある鼻孔のうち前の鼻孔が管状に伸び、更に管の先端が花びら状に開き、その様子から名前が付けられたと言われています。

管状に伸びている部分がいわば鼻孔になり、鼻の穴が花びら状に開いているという状態。

上下のあごに細い肉質突起があり、鬚のように見え、体色が成長と共に変化することと雄性先熟の性転換を行うことが知られています。

 

幼魚や未成熟魚では体色は黒色ですが、成魚になると体色が鮮やかな青色に変化して、鼻先から背ビレが黄色になります。

この時点まではオスですが、更に成長するとメスになり、体の大部分が黄色になり非常に美しくなります。

 

オスからメスに代わる途中の色もとても美しいですが、黄色まで成長したメスの個体を見ることはなかなか難しいそうです。

また、腎臓と生殖巣が肛門より後方にありますが、これは他の脊椎動物には見られない特徴です。

ハナヒゲウツボの生態

ハナヒゲウツボは海面から水深50mほどのまで浅瀬のさんご礁や岩礁に生息しています。

砂底に掘った穴か、岩の隙間を巣にしていて、顔だけを出して巣に潜り込むこともあります。

 

通常は単独で生活していますが、同じ巣穴に2~3匹が同居することもあります。

食性は肉食で主に小魚を捕食し、エサを捕食する時や敵を威嚇する時には巣穴から半身を乗り出しますが、全身を出した状態が観察されることはほとんどありません。

ハナヒゲウツボと人間の関係

ハナヒゲウツボが人に危害を加えることはありません。

インドネシアなどで観賞魚として漁獲されていますが、分布域が広いことからIUCNは保全状況は軽度懸念としています。

ウツボ類の中では比較的おとなしく、体色が鮮やかなことからダイバーたちの観察や撮影の対象として人気があります。

ハナヒゲウツボが見られる水族館

ハナヒゲウツボは沼津深海水族館や美ら海水族館などで飼育され、その綺麗な姿を見ることができます。

しかし、水族館まで行けない!という人は自宅で飼育することも可能です。

 

ハナヒゲウツボの飼育はそれほど難しいものではなく、ポイントを押さえれば初心者でも飼育することができるのだそう。

熱帯魚ショップやネット通販などで購入することが可能で、価格は7000円前後。体長は40~70㎝程度で販売されていることが多く、大きなサイズは暴れやすい傾向があるので購入後の取り扱いは注意が必要です。

 

肉食の為、他の魚を食べてしまう恐れがあるので、基本的には単独で飼育することが望ましいと言われていますが、同種であればその心配もないので混泳も可能だそう。

水層は90㎝程度のものでも十分に育つようです。隠れ家等がしっかりとあれば小さめでも構いません。

 

水温の適温は23~24℃。夏は水槽用のクーラーを使用して水温の上昇を防ぎましょう。

ウツボは比較的丈夫で病気にもかかりにくいと言われていますが、ハナヒゲウツボは稀に白点病にかかる場合があります。白い点を見つけたら水温を28~30℃まで上げてグリーンFクリアーやメチレンブルーなどで治療しましょう。

 

餌付けしずらいという点が飼育の最大の難関ですが、エサの種類を固定したりせずにバリエーションを持たせ、根気よく餌付けすればいずれ食べてくれるようになるようです。

綺麗なウツボ、ハナヒゲウツボを見たい方はぜひチャレンジしてみて下さい。

(ライター ナオ)