皆さんは、「この世で最も熱に強い生き物」は何だか知っていますか?
人間を含め、普通の生き物は最高でも50度を超えると生存できなくなると言います。
2017年に起こった世界的な「熱波」では、数千人が熱中症などで命を落としたとも言われているほど。
しかし50度なんてまだまだ生ぬるい!とさえ思っていそうな生き物、それが「ポンペイワーム」です。
ポンペイワームとは一体どのような生き物なのか?その生態や秘密に迫っていきましょう。
ポンペイワームってどんな生き物?
ポンペイワームは「多毛類」に分類される生き物であり、身近なものでは釣り餌にもなる「ゴカイ」などの仲間です。
その見た目はなんとも独特で、毛虫のようなヒトデのようななんとも言えない不思議な外見。
虫が嫌いな人にとっては、ちょっと気持ち悪いと思われるかもしれません。
しかし見た目の気持ち悪さに反して、ポンペイワームはじつにすごい生き物なのです!
彼らが生息しているのは、水深2000~3000mの深海。
「深海だったら、日の光も届かないしむしろ寒いのでは?」と思われるかもしれませんね。
事実、深海の水温は水深1000mを超えると、1.5~3度くらいだそうです。
しかし、中には例外な場所も。
それが、「熱水の噴出孔」です!
いくら深海の水が冷たくても、噴出孔付近は当然相当な温度。
ポンペイワームの他にも噴出孔「付近」に生息する生き物はいますが、彼らはいずれも噴出孔そのものからは少し離れた、そう温度が高くない場所に潜んでいます。
しかしポンペイワームは噴出孔の間近、じつに水温80度にもなる場所に生息しているのです!
80度なんて、普通に食材が煮える温度です。
ゆで卵だってローストビーフだってできちゃう。
ポンペイワームは、なぜそんな高温に耐えられることができるのでしょうか。
その仕組みについては、まだ詳しいことはわかっていません。
しかし一説によると、巣穴の中の部分は80度近い噴出孔の近くにありながら、頭の部分は巣穴の外の冷たい海水にさらすことで、ヒートポンプのように体液を循環させているのでは、と言われています。
まぁこの説明ではよくその仕組みを理解することはできませんが、とにかく熱に強い!ということだけわかっていただければ十分です。
耐熱性がすごすぎて、天変地異が起きても生き残る生物、とさえ言われています。
彼らにとっては地球温暖化なんて誤差の範囲、って感じですね。
ポンペイワームの名前の由来は?
「ポンペイ」という言葉、どこかで聞いたことがあるなぁと思った人も多いかもしれません。
ポンペイというのは、かつてイタリアのナポリ近郊にあった古代都市のことです。
何故そんな古代都市の名前が、ポンペイワームの名前になっているのでしょうか。
ポンペイの近くで発見されたからとか、ポンペイ出身の人が発見したから、というわけではありません。
じつは古代都市ポンペイは、火山の噴火によって、一夜にして火砕流と火山灰の底に消えてしまった都市なのです。
そんな火山に埋もれた街と同じような焼けるように熱い環境に棲んでいる、ということで、「ポンペイワーム」という名前が付けられたとされています。
ポンペイワームの耐熱性に関する仕組みがハッキリと解明されれば、もしかすると火山の噴火などに人間が耐えられる日が来るかもしれませんね。
ポンペイワームについてのまとめ
他の生物が生きていけないような高温の環境下でも生きていける、ポンペイワーム。
その点では、ある意味最強の生物といっても過言ではありません。
人間は知恵や道具を駆使してそれなりに高温に耐えることも可能ですが、体一つではどうにもなりませんよね。
もしも地球の温度が大きく上がるようなことがあれば、ポンペイワームは唯一生き残れる存在になるかもしれませんね。
(ライター もんぷち)