「ピーター・ラビット」の作者として知られるビアトリクス・ポターは、幼少時から動物に関心を持ち、ウサギなどの他コウモリも飼育し、スケッチは勿論あらゆる角度から小動物を観察したといわれます。コウモリは飛ぶ哺乳類であり、日中は森や洞窟、岩の隙間など暗がりに身をひそめる夜の生物です。

コウモリたちは何を餌としているのでしょうか?

アブラコウモリの一年

日本の北海道を除くほぼ全域に棲息するとみられるコウモリはアブラコウモリです。

別名イエコウモリともいわれ、およそ1,5cmの隙間から内部に侵入する事もできることから昨今では害のある生物としても知られます。

体長は5cmほど、7~8,9gほどしかない体に皮膜があります。

顔や腹部などには体毛もあり歯も揃っています。

 

アブラコウモリの繁殖期は10月頃です。

交尾を行うとコウモリのメスは体内に精子を持ったまま、いわば冬眠状態に入ります。

 

川の橋の下や暗いところにやはりさかさまになっています。コウモリの冬眠は、体力を温存する為代謝を抑えている状態です。

最低限の代謝として水分補給や排泄は行っているようです。春になるとメスのコウモリは排卵し、妊娠します。

 

その後小さいコウモリを出産します。赤ちゃんのコウモリは母のミルクで育ちます。

夏頃には体毛も生え、40日くらい経つと自力で飛翔し餌となる昆虫を捕らえるようになります。

 

コロニーと呼ばれる群れをつくる事もあります。

日本に棲息するコウモリの餌は飛んでいる蚊などの昆虫類です。

コウモリの餌と寿命

コウモリの寿命は一般に長いのですが、41年生きたという記録があるほどですから驚きですね。

日本にいるアブラコウモリたちは昆虫を食べるとされますが、最近では南米に棲息するフルーツを主な餌としているコウモリの長寿が研究されていたりします。

 

コウモリたちの長寿の秘密は餌にあるのではないかといわれる事もあります。

今の日本にいるコウモリをペットとする事は出来ませんが、ペットショップなどで見かける多くのコウモリは通称フルーツ・バットと呼ばれる、フルーツを主食とするコウモリたちです。

 

ただし、日本に棲息するアブラコウモリより体は大きく、沢山のバナナやリンゴなどを必要とします。

コウモリの仲間は世界中に1000種はいるといわれますが、人間が手出ししすぎると寿命が短くなる傾向がある種もいるといわれ、野生下での具体的な生態は分かりにくいようです。

コウモリの皮膜

コウモリの飛ぶ為の膜は皮膜といわれます。

広げるとコウモリ傘を思わせるような形になります。

 

上腕の骨と手の指の骨が発達しその間に飛ぶための膜があります。

コウモリは空を飛びますが、皮膜の構造は水かきをもつ生物のようでもあります。

 

この膜の側部が体を持ち上げる為の揚力を作り出し、後ろの方の皮膜はブレーキのような役割を担っていると考えられています。

コウモリが飛んでいるところを下から見ると、獣が上腕を広げて飛んでいるように見えます。

コウモリの反響定位

コウモリは口腔などから超音波を発し、物体との距離をはかるのでどこにもぶつからずに飛ぶといわれます。

原理的にはこの時に発する音波が高周波であればあるほど、近い距離の小さい獲物との距離を短時間で認識するとされます。

 

出した音波が早く帰ってくる、という事のようです。このようなわけで、アブラコウモリが空を飛びながら蚊や蛾のような1mm程度の生きた餌を捕らえる事ができるといわれます。

このエコローションは南米などに棲息する大きなコウモリは持たない能力のようです。

 

ある実験によると、コウモリはプラスティックの昆虫と生きた昆虫を認識し分ける事ができるそうです。

最近ではこのコウモリの優れた探知機能をいかしたロボットまでつくられています。

 

水の中の探知機能はある程度進んでいますが、空中での探知は難しいのです。

なんせ人間は飛べませんからね。コウモリがどのようにその機能を認識しているかというと、それはよく分からないようです。

コウモリの聴覚

また、アブラコウモリをはじめとしたコウモリは耳が大きいですね。コウモリは聴覚も発達しているようです。

口の中の喉のあたりから自ら発した音を検知できるコウモリもいるといわれています。

 

確かに自分で出した音波を認識できなければ餌の捕獲はあまりうまくいかなそうでもあります。

このような行動を行うコウモリは、出生時から音を聞く部位の発達が進んでいるともいわれます。

 

耳の外耳という出ている部分は、一般に音を集める機能があると考えられています。

日本に棲息するアブラコウモリもあの大きい外耳で様々な音声データのようなものを集めているのかも知れません。

コウモリはだいたい逆さま

コウモリの事を思い浮かべると、何故逆さまにぶら下がっているのだろうか、と思うのではないでしょうか。

飛んでいる時はさすがにさかさまではありませんが、ほぼいつも頭を下にしています。

 

出産時ですらコウモリはさかさまです。

コウモリは一般に体重が軽く、哺乳類ではありますが体の中を流れる血液はそう多くはありません。

 

比較対象になるか定かではありませんが、人間の場合はそうはいきません。

人間がさかさまで生活してしまったら血液が頭に流れ過ぎてめまいがする事でしょう。

コウモリはその反対です。さかさまになっていた方がコウモリには自然な状態であるようです。

コウモリの餌について

日本の本州で一般に見られるコウモリは小さいコウモリの仲間であるアブラコウモリです。

彼らがエサとするものは生きた蚊などの双翅類などの昆虫で、成体のコウモリが見られるのは6月~8月にかけてです。

冬眠もしますが、都市部では気温が高いと冬眠しない事もあります。

(ライター:おもち)