ヤスデといえば日本にもたくさんの種類がいて、目にしたことがある人も多いと思いますが、日本のヤスデとは比べ物にならないほどの大きなヤスデが世界には存在していることをご存知でしょうか?

今回はそんな大きなヤスデについてお話します。

ヤスデの特徴と生態

ヤスデは多足亜門ヤスデ網に属する節足動物の総称です。

ムカデのように細長くて、沢山の脚のある昆虫なのですが、ムカデとは生殖口の場所や脚の付き方など、明らかに違いがあります。

 

大きさも2㎝ほどのものが多く、ムカデよりは小型です。

また、肉食のムカデとは違い腐食食性なので、キノコなどの菌類や落ち葉、生ごみなどを食べるのも特徴的です。

目もあるものとないものがいたりと様々。

 

世界最大のヤスデはアフリカオオヤスデやタンザニアオオヤスデといって30㎝ほどあるものもいます。

毒も持っているものといないものがいます。

ちなみに日本の最大級のヤスデは沖縄にいて、ヤエヤママルヤスデといって7㎝ほどだそう。

 

日本のヤスデは8~10月にかけて交尾をし、150~300ほどの卵を産みます。

10月頃には幼虫になり、越冬しながら脱皮を繰り返し、徐々に体節と脚の数が増えて大きくなります。

 

翌年の6~7月には成虫になり、産卵し、短い命を終わります。

ムカデ同様夜行性なので、高温多湿の夜や曇ったどんよりとした日に活発に活動しているようです。

ヤスデは咬むの?

結論から言ってしまえばヤスデは咬んだり、刺したりはしません。

日本に生息するヤスデはムカデのように顎に毒性を持っているわけではないので、噛まれて危険なことはないのですが、体から出す体液には多少の毒があります。

 

ヤスデは攻撃されると防御の為に悪臭を放ちます。その悪臭の正体が、体表にある毒腺から出す刺激物で、青酸やヨードなどの成分が含まれているのです。

この液体は皮膚につくと痛みを感じる場合もあり、誤って目に入ってしまった時等は結膜炎を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。

ヤスデ自身も瓶の中などで仔の臭いを嗅ぐと、死んでしまうのだとか・・・。

ヤスデの害

ヤスデは一か所に大量に発生する習性があります。

都市部で時折被害を及ぼしているのはヤケヤスデという種類で、線路上に大量発生して、電車の車輪がスリップするほどの事態が報道されることもあります。

彼らは生殖時期や越冬前に群れる習性があることが分かっていて、このような被害は6月と9~10月などの時期的なもののようです。

 

多くの種類のヤスデは都市部や近郊には現れず、森の中の落ち葉の中や土の中で暮らし、せっせと腐葉土を作っているので、被害をもたらすヤスデは全体の内のほんの一部の種類なのだそうです。

ヤスデの天敵は昆虫類、爬虫類、両生類、鳥類になります。

 

しかし、積極的にヤスデを捕食する天敵はいないようです。

その原因として、やはりヤスデが体から出す臭い液体が関係していると考えられています。

防御する固い殻などは持ち合わせておらず、敵に襲われるとただただ丸まるだけなのですが、臭液だけはかなりの武器になっているようです。

世界最大のアフリカオオヤスデ

アフリカオオヤスデは南アフリカに生息する世界最大のヤスデで、体長は20~30㎝ほどにもなります。

 

黒い体色と関節部分と脚、触角部分が赤いのが特徴で、日本最大のヤエヤママルヤスデの3倍以上にもなる巨体と色合いは迫力がありますが人間にとっては無害でペットとして飼育する人もいるほど。

 

熱帯雨林の底部生息し、土の中や朽ち木の近辺に住み、また木に登って木の葉を食べることもあります。

エサは主に落ち葉やキノコなどの菌類や動物の死体などですが、果実等口に入るものなら何でも食べるという習性もあり、その習性ゆえに巨大になったとも考えられています。

 

性質は大人しく、実の危険を感じると体節の赤い部分より悪臭を放ち毒液を出して身を守ります。

寿命は数年程です。

他にも巨大ヤスデとして体長20㎝程になるタンザニアオオヤスデやマレーオオヤスデ等がいます。

(ライター ナオ)