「大量発生」「閲覧注意」などと記載されている事例がそれほどでもない、という事もわりとありますね。

しかしこのキシャヤスデの大量発生は本物の大量発生です。どうすればいなくなるのでしょうか。

キシャヤスデの特徴

キシャヤスデ(parafontaria laminata armigera)は日本固有種です。

日本の中部、八ヶ岳付近に分布し、秋になると大量に姿をあらわします。

最近では2016年がキシャヤスデの発生時期にあたります。

キシャヤスデの大量発生は8年おきに起こるといわれています。

 

8年というのは微妙な年数です。

5年より長く10年より短いという絶妙なタイミングで発生するのがキシャヤスデです。

 

キシャヤスデは節足動物の中ではムカデに近い種の生物です。ムカデとの違いは主に体の作りと食性です。

ヤスデは腐敗した植物性のものを食べますが、ムカデはゴキブリなども食べる肉食です。また、ヤスデの体節からは2対の脚が出ているようです。ムカデは1対です。

キシャヤスデの生涯

キシャヤスデは幼虫時代と成虫時代では餌とするものが異なります。

幼虫の間は主に土の中にある、植物性の腐植物を食べています。

 

脱皮を7回繰り返して成長します。この7回という数字で何となくわかるように、キシャヤスデは成虫になると地上に出てきて、土の上に溜まった落葉や枯草などを食べるようになります。ちょうど秋頃になると大量に発生します。

 

発生条件は湿度の高いジメジメした夜などが多く、出てくるキシャヤスデたちは交尾相手を求めて密集しうごめくのです。

キシャヤスデのオスとメスの外見的違いはわかりにくく、とにかくキシャヤスデが密集する、という事態になります。

 

電車がキシャヤスデの体液で止まります。汽車を止めるほど大量に発生するのでキシャヤスデと呼ばれています。

キシャヤスデは成虫の姿で越冬し、翌年産卵すると死亡します。

キシャヤスデの役割と特徴

キシャヤスデを含むヤスデ類は土中の分解者です。

成虫のキシャヤスデの糞に含まれる微生物などが分解され土壌は肥沃になります。

 

幼虫のキシャヤスデは脱皮室をこしらえます。

これも土の状態が良くないとううまくいかないようです。

 

キシャヤスデは嫌な気分になるとある分泌物を体節から出します。

キシャヤスデが体内に分泌物をもつ細胞がありマンデロニロルという物質を蓄えており、ベンズアルデヒドと青酸を含むガスとして放出します。

これがキシャヤスデおよびヤスデが臭いといわれる原因のようです。

キシャヤスデの駆除について

キシャヤスデは基本的には土の中や森に棲む生物です。

キシャヤスデの餌は主に腐食した植物性のものなので、それらのものを取り除くことが一番です。

一般家屋に浸入する事はキシャヤスデの場合あまりなさそうです。しかしヤスデの姿は皆似ていますね。

加えて夜行性であり、よっぽど見慣れていないと分かりにくい事もあるでしょう。

 

キシャヤスデは、8年に一度、成虫となって土の上に姿を現します。

その年数を覚えておけば、それらがキシャヤスデなのか他のヤスデなのか分かるはずです。

 

ヤスデ類は植物性のものを好みます。人間に危害を加えることはまずないと考えてよいでしょう。

家屋内に浸入したヤスデが不快な場合は、まず掃除ですが、それでもなぜかいる場合は殺虫剤タイプのもので対処しましょう。

キシャヤスデの見た目は酷いですが、性質は大人しめです。

8年目のキシャヤスデ

キシャヤスデは8年おきに八ヶ岳や秩父付近の電車を止めるほど大量に発生します。

それ以外の時期は忘れがちになるくらい、地味な森林に棲むヤスデの仲間です。

 

最近では秋口以外にも梅雨時期に出てくる事もあるようなので、登山などで森に入る場合は踏んだりしないように気をつけましょう。

2016年のあとは2024年がキシャヤスデの発生時期と考えられます。

(ライター:おもち)