気密性の高い住宅、エアコンなどの普及により温かな家のなかで、冬でも弱らずしぶとく生き続けるゴキブリに遭遇する機会が増えてきました。
そんなとき、あなたはどんな方法で退治しますか。
スリッパや雑誌で叩く、殺虫スプレーを吹きかけるなどの方法が一般的ですが、ゴキブリ退治には消毒エタノールが効くといううわさがあります。
今回は、そのうわさについて調べます。
ゴキブリのしぶとい生態!
ゴキブリは生きている化石ともいわれ、約3億年前にはすでに存在していました。
時速170km、瞬間的には時速300kmともいわれる速さで逃げ回り、ものすごい繁殖力をもち、さらに水を飲むだけで90日も生きられるという、人間にとって手強いやっかいな昆虫です。
通常のゴキブリは、卵から幼虫になり脱皮を繰り返して成虫になります。
寿命は1年から2年ぐらい、雑食性で、残飯、動植物の死骸、人間の垢や毛髪、髪や油など、塩と醤油以外なら何でも食べるというたくましさです。
ゴキブリは、小豆のような卵鞘(卵が入る袋)に1回で数十個の卵を産みます。
1度交尾をすると精子を保存しておく器官があり20回は妊娠できるとのこと。
1匹のメスは生涯500個の卵を産み、「ゴキブリ1匹見かけると30匹はひそんでいる」といわれますが、あながちまちがってはいないようです。
ゴキブリの呼吸
ゴキブリの体表には気門という穴があり、そこから空気を取り入れて、体内を流れている血液に酸素を直接溶け込ませて呼吸をしています。
またゴキブリは体表と羽のすきまに空気を蓄えておくことができ、その空気を使って呼吸をすることもできます。
さらに、ゴキブリの体の表面全体は油で覆われています。ゴキブリを「アブラムシ」と呼ぶ地域もありますが、油で光ってギラギラしているからでしょう。
表面の油のおかげで体内の水分蒸発がおさえられるので乾燥にも強く、水をかけてもはじくので、水回りなどの湿った環境でもゴキブリは平気でいられるのです。
エタノールとはどんな薬品?
さて、問題のエタノールとはどんな薬品でしょうか。エタノールはアルコールの一つです。
アルコール類のなかでも、もっとも身近で使用され、揮発性が強く殺菌・消毒のほか、燃料としても用いられます。
エタノールには消毒用エタノールと無水エタノールがありますが、両者の違いは濃度です。
消毒用はアルコール濃度80%程度で、揮発を防ぐため精製水で薄めています。
100%よりも、80%程度のエタノールの方が殺菌力が高くなります。
一方、無水エタノールはほぼ100%です。
エタノールは、消毒・殺菌・除菌だけでなく、掃除や頑固な油汚れにも使える万能薬としても注目されており、ドラッグストアなどで簡単に入手できる薬品です。
ゴキブリ退治にエタノールは効く?
結論からいうと、ゴキブリ退治にエタノールは有効です。ただし、消毒用エタノールに毒性があるためではありません。
ゴキブリの体表には、呼吸をするための気門や管があります。消毒用エタノールは水に比べて強い浸透力があるので、気門や管に液体がつまり、呼吸ができなくなり窒息死するのです。
ゴキブリに洗剤をかけても退治できますが、その理由は、エタノール使用時と同様、洗剤の界面活性作用により気門がつまってしまうからです。
エタノールを使用することの効用
ゴキブリの退治方法として、ゴキブリが通りそうなところにホウ酸団子などの毒エサを置くというのがあります。
けれども、小さなお子さんやペットがいる家庭で使用することは危険です。
そのような家庭では、市販の殺虫スプレーなどの使用もできるだけ避けたいですよね。
エタノールであれば、食品や食器などを汚染することはなく、すぐに揮発するので人や家具などに害が及ぶことはありません。
人やペットにやさしいゴキブリ退治薬として、スプレー容器に入れて常備し、愛用している人が増えています。
さらにエタノールには、ゴキブリを退治するだけではなく、キッチン、水周り周辺に吹きつければ殺菌・除菌もできるので、カビなどを防ぎ、さらにそれらをエサとする虫の発生も抑えられるというメリットもあります。
エタノール使用時の注意点
ただし使い方には注意しなければいけません。
火に噴射すると家事につながる恐れがあります。火の気のある場所では使用しないように!火気厳禁です。
また、フローリングに噴射すると、ワックスに作用して白く濁ることがあるので、フローリング上では使用は控えたほうがよさそうです。
まとめ
ゴキブリに遭遇したら、ゴキブリに対抗できる敏捷性のない方や、市販の殺虫スプレーを使用したくないという方は、エタノールスプレーを常備しておいてはいかがでしょうか。
掃除にも使えるし、一家に1本あればとても便利です。
(ライター sensyu-k)