ヨチヨチ歩きがキュートなペンギン、けれどもいざ水中に飛び込むとスーッとなめらかな泳ぎを見せてくれます。
動物園のペンギンコーナーでは、あきないでいつまでも見ていられますよね。
立ってヨチヨチ歩く姿に親近感を覚えて、私たち人間同様に哺乳類の仲間ではないかとも思われるのですが、生物学的分類では、ペンギンは哺乳類ではありません。
その理由を探ります。
哺乳類とは?
哺乳類とは、おっぱいで乳を与えてこどもを育てるのが特徴なので、これが名前の由来となっています。
哺乳類とはどんな生き物のことをいうのか、内臓のしくみなどについてはわかりにくいので、外見上の特徴をみていきます。
■乳房:こどもに乳を与えるためにあるが、哺乳類であるのにカモノハシの仲間にはない。
■口唇:乳頭に吸いつくためにある口の周りの柔らかい部分。カモノハシ類にはなく、クジラ類は退化している。
■体毛:体表を覆う体毛をもち、皮膚の角質層が発達して角や爪、トゲやウロコになっているものがいる。クジラ類でも胎児期に一部に体毛をもつものがいる。
■胎生:哺乳類の特徴ともいわれるが、カモノハシ類は卵生。
ペンギンは哺乳類?
では、ペンギンは哺乳類といえるのかを観察してみましょう。
■乳房:写真や動物園で見るかぎりでは、首の下からお腹にかけてはつるっとしており、乳房があるとは思われません。
毛のようなものをかき分けて地肌を直接見ればでてくるかも?ということもありますが、ペンギンは卵を産むので乳房はありません。
■口唇:ペンギンがもっているのはクチビルではなく、クチバシです。カモノハシもクチビルをもっているので、哺乳類のカモノハシの仲間なのでは?
とも思われますが、カモノハシのクチバシは、ペンギンなどのクチバシに比べてゴムのような弾力があり、獲物が動くときに発する電流や水流をとらえるセンサーのような働きをしています。
クチバシというよりクチビルが進化したものといえます。
■体毛:ペンギンの体表を覆っているのは羽毛です。
体毛のように見えますが、羽毛がすきまなくびっしり生えているのです。
そのため水が入り込めないので、氷点下の海でも平気で泳げます。
ちなみにペンギンが見られるのは南極です、北極にはペンギンはいませんよ。
■胎生:先ほども述べましたが、ペンギンは卵を産みます。
カモノハシ類も卵を産むので、ペンギンはカモノハシの仲間とはいえないでしょうか。
カモノハシ類は卵からかえった赤ちゃんに、乳房はありませんが、お腹の下のほうにある乳腺からにじみでてくるお乳をなめさせます。
ペンギンはお乳を与えることはないので、そこがカモノハシ類とは違うところです。
ペンギンは哺乳類ではなく、鳥類!
ペンギンは、哺乳類ではなく鳥類です。
鳥類というと、クチバシがあり、卵を産み育て、なにより翼をもち自由に空を飛ぶことができるというイメージですが、ペンギンには翼がなく空を飛べませんよね。
けれども、鳥のなかにはダチョウのように飛べない鳥もいるし、ペンギンの場合は、水中を泳ぐためにヒレのように変化してはいるものの翼はもっているのです。
さらに、体毛ではなく羽毛をもっているので、ペンギンは鳥の仲間なのです。
ファースト・ペンギンとは?
2015年度下半期放送のNHK連続テレビ小説の『あさが来た』でディーン様(ディーンフジオカ)扮する五代が、「ファースト・ペンギン(ペングイン)」という言葉を発したのですが、ご覧になった方はいるでしょうか。大阪経済の礎を築いたといわれる洋行帰りの五代が、女性実業家などの存在がなかった時代に炭鉱経営に乗り込んだ主人公の「あさ」を、「ファースト・ペンギン」とたとえています。
ファースト・ペンギンとは、集団で行動するペンギンのなかで、エサの魚をとるために、南極の冷たく、天敵がひそんでいるかもしれない危険な海に、最初に飛び込む勇気のあるペンギンのことを指します。
まとめ
東京スカイツリーの足元にあるすみだ水族館の飼育員さんによると、マゼランペンギンはほかの種にくらべて特にカップルの絆が強いそうです。
マゼランペンギンの離婚率は3%とのこと。
ただし、卵を産むほど絆が強いカップルになるまでは、片思い、三角関係、相手の浮気まで、さまざまな恋愛模様を経験するのだそうです。
このへんも人間そっくり(!?)なのですが、ペンギンは私たち人間とは違い、哺乳類ではなく鳥類なのです。
(ライター sensyu-k)