山奥の暗い洞窟の探検中、ばたばたっと黒い翼を広げて動物が飛んでくる、ふと見ると天井に黒いコウモリが密集して逆さまにぶら下がっている。
コウモリというとこんなイメージですが、意外にも都市部で簡単に見ることができるんです。
筆者が今住んでいる東京近郊の町に引っ越してきたとき、夕方、堀の周囲でコウモリが密集して飛び交っているのを見て驚いたという記憶があります。
そんなコウモリの出産方法について調べます。
都市部のコウモリ
全国的に市街地に生息して家屋の隙間や軒下・天井裏などをねぐらにしているコウモリは、アブラコウモリで、人家に棲みつくのでイエコウモリとも呼ばれています。
体長は約5センチ、翼をのばすと20センチぐらいになります。ただ体重は5~10グラム程度と小さいコウモリであるため、2センチぐらいの隙間があればどこでも潜り込めます。
空を飛ぶことができますが、鳥類ではなく、哺乳類です。
夜行性で、主食は虫です。精度の高い超音波をだし、その反響をキャッチすることによって、夜でも飛行中の障害物を避け、エサの昆虫を見つけることができるのです。
冬は冬眠し、春~秋に活動が活発になります。6~8月の夏が繁殖期です。
コウモリは鳥獣保護法の対象動物
コウモリは鳥獣保護法で守られている生き物のひとつです。
コウモリは、蛾やゴキブリなどの害虫を食べてくれるという人間にとって好ましい面ももっています。
けれども、感染症を引き起こす原因となる病原体やウィルスのキャリアでもあり、勝手に捕まえて飼育したり、殺傷したりすることは禁止されています。
もし駆除してもらいたい場合は、専門業者に依頼するか自治体の環境衛生などの部門に相談してください。
コウモリがぶら下がり生活を選んだ理由
コウモリの代名詞ともいえる、逆さぶら下がり生活、コウモリがなぜそれを選んだのか進化の道筋は、化石などが見つかっていないのでわからない部分が多くあります。
- 洞窟の天井などをすみかにすると、イタチやテンなどの天敵になりそうな動物が近寄れなくなる。
- ぶら下がって生活すると無駄なエネルギーを消費しなくてすむ。
- 歩くのに前脚を使わず自由にできたほうが、前脚を翼に進化させるのに都合がよかった。
- ぶら下がり生活だと脚を使わずにすむので、脚の骨や筋肉が退化し体が軽くなり、飛ぶのに都合がよかった。
以上のような理由が考えられています。
コウモリの翼の構造
コウモリは鳥のように空を飛ぶことができますが、コウモリの翼は鳥の翼とは大きく構造がことなっています。
鳥の翼は羽毛に包まれていますが、コウモリの翼は前脚であり、指の間が「飛膜」と呼ばれる伸縮性のある膜で覆われています。
翼である前脚のなかで親指だけは指として機能し、爪も生えており、後脚でだけでなく、この爪でぶら下がることもできるようになっています。
コウモリの出産方法
では、コウモリの出産方法について見ていきます。
コウモリは哺乳類なので、卵ではなく赤ちゃんを産みます。出産のときは、後脚で逆さまにぶら下がるのではなく、頭が上の状態、翼のような前脚の親指の爪で天井にぶら下がります。
ぶら下がったままだと、赤ちゃんが産まれたら落ちるのではないかと心配になりますが、産まれた赤ちゃんは、尻尾についている膜や片方の翼を広げて受け止めます。
もし失敗してもへその緒でつながっているので、落ちそうになっている赤ちゃんを拾い上げることができます。
そして赤ちゃんを胸元まで引っ張り上げて授乳します。
赤ちゃんも後脚の5本指と前脚の親指でお母さんの胸にしっかりとしがみつきます。
お母さんコウモリは出産直後もエサを狩る必要があるので、胸に赤ちゃんをつけたまま飛び回ることもあるそうです。
赤ちゃんは40日ほどで自立するそうですが、コウモリのお母さんも子育てには苦労しているんですね。
そのため、コウモリの1回の出産頭数は、1頭か2頭のみということです。
まとめ
ベランダの手すりなどに、数ミリぐらいの黒いフンが落ちていることがあります。
なんのフンかわからなかったのですが、どうやら夜間に飛び回っているアブラコウモリのもののようです。
お母さんコウモリが、蛾やゴキブリを食べてがんばって子育てしているのだということはわかったのですが、やはり出産するのはうちではなく、別の場所でと思わずにはいられません。
(ライター sensyu-k)