大地のリンゴともいわれるカモミールはどのような植物で、見頃の季節はいつ頃なのでしょうか?
カモミール・ジャーマンについて
ハーブティーなどでおなじみのカモミール・ジャーマン(matricaria reutia)はキク科マトリカリア属の植物です。
花盛りには中心の黄色い部分が盛り上がり白い花弁が反り返るのが特徴です。
草丈は50cmほどになり、羽のような葉をつけます。春先から5月頃までがカモミール・ジャーマンの開花時期です。
原産地はアジアからインド地方とされています。繁殖力が強く自然に種がこぼれていき、広まっていく事もあるそうです。
香りが良いため、芝生のように地植えされる事もあります。
よく見るであろうハーブティーのひとつ、「カモミールティー」のカモミールは、カモミール・ジャーマンの場合が多いようです。
カモミール・ローマンについて
カモミール・ローマン(anthemis nobilis)はキク科アンテラシス属の常緑多年草です。
草丈は30cmほどで、開花時期は6月~7月です。
カモミール・ローマンは横に広がっていく性質があります。
原産国はヨーロッパ地方とされています。このように開花時期なども違うふたつのカモミールですが、基本的にはそんなに気にせずに利用されてるようです。
カモミールの利用
カモミールは、ハーブティーの中では比較的飲みやすい部類に入る事などから欧州のみならず世界中で飲用されています。
南米メキシコでもハーブティーの飲用は一般的です。
もともとカモミールは、鑑賞用というより薬草扱いになる植物です。
日本に移入したのは19世紀頃とされ、薬草としてオランダから伝来したといわれています。
古代エジプトでは4000年前から薬草として利用されていたようで、だいたいその時代あたりが薬草を人間が利用し始めた頃とされます。
古代エジプトといってもずいぶん幅がありますが、その後古代ローマのヒポクラテスを経て中東で発展し、世界中に広まったとされます。
カモミールの効能は多岐に渡り、安眠、鎮静、婦人病などに効能があるといわれます。
カモミールの和名はカミツレです。漢字では「過密例」と書くそうです。
すごい当て字ですね。化粧品の成分表示にカミツレ花エキス、という表記があるのを見る事もあると思います。
カモミールには優れた抗炎症力があるとされており、しばしば見かける成分です。
この皮膚の炎症を鎮める効能ですが、カモミール・ジャーマンの抗炎症効果のある成分は、植物の中に含まれるマトリシンという物質が分解される事で生じるカマズレンという物質だそうです。
しかしカモミールはキク科の植物ですので、いくらいいとはいっても重大なキク科アレルギーの方は使用しない方が無難です。
カモミールの成分について
このようなカモミールの効能を植物のどこから抽出しているかというと、カモミール・ジャーマン、カモミール・ローマン共に花の部分です。
カモミール・ジャーマンの開花時期は春から初夏にかけてです。
開花してから2、3日後に花を摘み取り、半乾燥させてお茶や入浴剤などに利用されています。
現代の主な産地はハンガリー、モロッコなどです。
ローマンの場合も夏に花が咲いてから2,3日後に摘み取り、乾燥させます。
カモミール・ローマンの産地はフランスやハンガリーなどです。
園芸におけるカモミール
昨今の園芸ブームで注目されるコンパニオンプランツですが、生育促進効果に優れるのは多年草のカモミール・ローマンだそうです。
一緒に育てると生育に良い効果をもたらすといわれているのは、キャベツなどのアブラナ科の作物だそうです。
一般にカモミール・ローマンはアブラムシがつきやすく、スズメバチを引き寄せてしまうなどともいわれるので育ててみないと分からないようですが、万が一ぱっとしなくても、お茶などに利用しても良さそうです。
カモミール・ローマンのお茶の味は好き嫌いがある味です。
薬臭いと思う人も多いかもしれません。そんなときは思い切って薬だと思って飲んでみると何かに効くかもしれませんね。
カモミールの季節
花から甘い香りがするカモミール・ジャーマンの反り返った花が見られるのは、春から初夏にかけて、植物全体から香りが漂うのは匍匐性のカモミール・ローマンで、花は夏に咲きます。どちらも薬草園などで見る事ができます。
カモミールの一般的な花言葉は逆境に耐える、などとされています。
(ライター:おもち)