「国花」や「国鳥」など、国を代表する植物や動物が決まっている国はたくさんあります。
例えば、日本の国花は「桜」と「菊」、国鳥は「雉(キジ)」です。
世界では実に様々な動植物が国の代表となっているわけですが、今回ピックアップするのは「カナダ」。
カナダを代表する動物に選ばれているのは、じつは「ビーバー」なんです!
いったいなぜカナダの国獣はビーバーなのか?その理由や、生態などについて詳しく見ていきましょう。
ビーバーってどんな動物?
ビーバーの生息地は、南アメリカとヨーロッパ周辺。
カナダもバッチリ生息域に入っています。
なんとなくあまり大きくないイメージがありましたが、じつは体長80~120㎝と結構大柄。
これに尾の長さ(25~50㎝)が加わるので、思ったよりもかなり大きいということが分かりますね。
鋭い前歯の特徴からも分かるようにビーバーは「齧歯類」ですが、ネズミなど小柄な生き物が多い中でカピバラと並ぶ最大級の齧歯類です。
この前歯はかなり強力なパワーを持っており、直径15㎝もある木ですら数分で倒してしまえるほど!
ビーバーはこのように鋭い前歯を使って枝や木を集め、それらを使って「ダム」を作ります。
数メートルにもなる川幅もものともせず、なんと世界最大のビーバー作ダムは長さ850m!
これは40年以上も前から建設が始められたものと考えられており、数代にわたって作り上げたのではと言われています。
正に川の建築家。
「匠」と呼ぶにふさわしい動物ですね。
ダムによって作られたダム湖の中心には、密閉されたドーム状の巣が作られます。
出入口は水中に作られているため、天敵は絶対に入ってこれない仕様。
これらのことは親から子へと教えられるのではなく、全て生まれながらにして本能的に知っているというから驚きです。
なぜカナダの国獣はビーバーなのか
じつはビーバー、カナダでは至る所でシンボルモチーフとして使われています。
国獣というのは国を代表する生き物なわけですが、なぜカナダの国獣はビーバーなのでしょうか?
こう言ってはなんですが…かなり地味ですよね。
しかも全く「カナダっぽい」感じもありません。
確かにビーバーはカナダにも生息している動物ですが、国獣に選ばれたのが不思議です。
ビーバーが国獣として選ばれた理由を探ると、それはカナダ建国以前にまで遡ります。
16世紀以降、ヨーロッパの人々は、様々な資源を求めて現在のカナダを含む南アメリカ大陸を開拓していきました。
その中でも特に重宝されたのが、ビーバーの毛皮。
ヨーロッパではビーバーの毛皮を使って作られた帽子が大流行しており、その毛皮は高値にも拘わらず飛ぶように売れたと言います。
ビーバーの捕獲は先住民たちの仕事となり、毛皮をやり取りするために作られた交易所が、多くの街の礎となったそうです。
つまりは、ビーバーの存在無くしてカナダの発展はなかったかもしれない、といっても過言ではないでしょう。
そんな歴史から、ビーバーはカナダの国獣となったのです。
…しかし、近年ではカナダの国獣をホッキョクグマに変えようという動きが出ているという情報も。
「ビーバー」という単語は女性器を表す隠語でもあるらしく、そういったイメージの付きまとう動物よりも、風格も申し分ないホッキョクグマのほうがいい!ということらしいです。
今後、どうなるのかが気になりますね。
ビーバーについてのまとめ
ビーバーがカナダの国獣となったのには、納得の理由がありましたね。
もしカナダにビーバーがいなかったら、カナダは今も開拓されずにいたかもしれないわけですから、国獣として大切にするのも当然。
一時期は乱獲で絶滅寸前にまでなってしまったそうですから、これからは例え国獣がホッキョクグマになってしまったとしても、きちんと保護してあげてほしいです。
(ライター もんぷち)