眼光が鋭い鳥類であるキジは何をエサとして生きているのでしょうか?

キジについて

鳥のキジというと、思い浮かぶであろう派手な色の羽をもつのは、キジのオスです。

体長は約80cmほどだそうで、光線によって黒色にも見えますが、顔の周囲には真っ赤な肉だれがあり、首までは紫、腹部は緑色です。

羽は茶系で独特の模様があります。

メスはそれよりやや小ぶりで全体的に茶系の目立たない色の鳥です。

 

北海道以外の草地などに広く分布し、春になると求愛の時期を迎えます。

オスのキジの鳴き声は有名です。「ケーン」というよく響く音声を発し、メスのキジを求めます。

 

キジの繁殖期は3月から7月頃だとされます。

抱卵はメスが行い、期間は25日程度の事が多く、7ヶ月ほどで巣立ちます。

オスのキジの習性

オスのキジはメスのキジを見定めるディスプレイという行動をみせ、気に入らないメスのキジをボロボロに痛めつけ時に死傷させる事があり、飼育の際はメスのキジは飼育場所を別に設ける事になります。

 

このようなキジの習性は「乱婚性」などとも言われます。

ずいぶんな言葉ですが、実際にキジのオスは気に食わないメスのキジを死傷させる事すらあり、飼育の際はメスのキジが隠れられるところを必ず用意しないと繁殖は不可能とも思われるほどです。

 

お気に入りのキジのメスがいれば良いのですが、それはオスのキジにしか分かりません。

野生下では繁殖期以外はオスとメスは用心のために別のところに生息するといわれます。

 

また、「ケーン」という特有の音声はキジの他のオスに対し自分の強さをアピールするものでもあります。

縄張り争いは激しく、オスのキジ同士の争いにもやはり死傷するキジが出るほどです。

 

そのようなわけで、近年でも食肉としての需要があり「家禽」とされる事もあるキジの飼育及び繁殖は難しいようです。

キジは草や昆虫なども食べる雑食性とされますが、その目つきや嘴は鋭く草などを積極的に食べるとはあまり思えないほどです。

キジの移入

動物たちは何等かの目的のために人為的に持ち込まれるケースもあります。

北海道の天売(テウリ)島にはマムシの駆除を主たる目的としてキジを移入させています。

 

もともとマムシも天売島にいたわけでもなく、木材などを運び入れる際などに移入されたと考えられています。

天売島の隣の焼尻(ヤギシリ)島にも、1980年くらいに放鳥されたそうですが、はっきりとした資料がなく、現在の焼尻島にはキジはいません。

 

1983年には両島合わせて90羽が北海道本土の羽幌町(ハボロチョウ)から移入されたのだそうです。

肝心のマムシですが、キジがマムシを食べているかどうかは不明であり、結局よく分からないようです。

いずれにしろキジ科の鳥類は気温が下がる地方でも繁殖は可能なようです。

キジの分類

国鳥とされるキジですが、その分類は難しいものであるようです。

一般に北海道以外に日本国内に生息しているキジ科のキジ(phasianus vesicolr)は、日本固有種とされます。

 

移入されたキジはキジ科のコウライキジ(phasianus colchicus)である事もあるようです。

コウライキジは固有種とされるキジと異なり、首のあたりに白い輪があるようです。

 

しかし鳥というものは元来飛ぶものです。

あまり飛ばないキジですが、種が自然交配している可能性もある事から、分類は混乱をきわめているようです。

キジのエサは?

キジの食性は一般に雑食である、とされていますが、実際どうなのでしょうか。

キジの気性を考えるとそれだけでは足りなそうにも見えます。キジは植物、動物質のもの両方を食べます。

 

昆虫、ナメクジ、カタツムリなども食べるようです。また、好むのではないかといわれる植物質のエサとして、スズメノカタビラがあります。

イネ科イチゴツナギ属のスズメノカタビラは外来種です。

 

現代ではほぼ全国的に見られ、土さえあればどこででも成長できそうなほど定着しています。

キジはスズメノカタビラの「実」という、種子のような部位を食べるようです。

 

時期は春先の事が多く、葉の先についている小さな実のような部分です。

スズメノカタビラは状況によっては雑草にされますので、スズメノカタビラの繁殖力の強さに弱っている人は、キジが飛んできて食べてくれると良いですね。

キジの羽

しかしキジは殆ど飛びません。

稀に飛びますが低空飛行です。キジが羽を使う時はごく限られており、キジの「母衣打ち(ホロウチ)」と呼ばれます。

 

キジのオスが縄張りを示すときに、羽を胴体にぶつけようにして出す音の事です。

キジのオスは思うところあって自らを鼓舞し叱咤激励しているのかも知れません。

 

祭りや絵巻物で戦国武将のように甲冑姿をした人を見た事があるかも知れません。

体の後ろあたりに赤い布製の風船のようなものがありますが、あれが「母衣(ホロ)」です。敵軍からの矢を防ぐ為の防具のようなものだそうです。

 

戦国時代は常に命の危険を感じるため、甲冑だけでは防ぎきれない何かを防ぐ必要があったのかも知れません。

しかし母衣は目立つ赤です。これもまた気性が荒いキジのオスの肉ダレをお手本にしたのかも知れません。

キジについて

キジは漢字で「雉」または「雉子」ですが、矢のように飛ぶ鳥という意味を表しているそうです。

キジにまつわることわざや言い回しは多くあります。

 

「けんもほろろ」というのは取り合わず一切無視する、というような意味合いですが、キジの鳴き声からとったものとされるのかと思いきや、そうでもないようであります。

キジはケーンと鳴くとは限らないようで、キーッというよう声や様々な音声を発するようです。

 

登山において男性が「キジ撃ちに行く、と言うと意味は「トイレに行ってくる」と言う事として使われ、女性の場合は「花を摘みに行く」と言うのだそうです。

「頭隠して尻隠さず」もキジの行動に由来するとされます。

 

また、「雉の草隠れ」という言葉もあります。隠れたつもりで隠れていない状態を示す言葉として使われます。

キジのオスは特には体色が華やかなので体の一部が出ていると目立ってしまいます。

 

メスの茶系の羽の色は、抱卵時のための保護色だとされます。

キジは植物質も動物質のものも食べ、最近ではスズメノカタビラの実を好むと言われています。

キジは少し前までは一萬円券の裏側に印刷されるくらいよく知られた鳥であり、昔話の「桃太郎」にも登場するなど昔から日本にいたようですが、生態がつかみにくい鳥のようです。

(ライター:おもち)