オンシツコナジラミという名前の害虫をご存知でしょうか?
比較的最近になって日本中に分布するようになったオンシツコナジラミ、その生態と対策について詳しくお話していきます。
オンシツコナジラミの特徴
オンシツコナジラミはカメムシ目に分類される温帯域に生息するコナジラミ科に属する昆虫です。
多くの野菜や果物、花卉の害虫でもあり、名前の通りビニールハウスや音質の中でもよく見られます。
北米や中南米が原産で菅、日本にも移入分布して農作物に被害をもたらしました。
原産地はアメリカ大陸で、観葉植物や苗、花卉などに混入して移入し、現在では世界中に分布しています。
日本では1974年に広島県で初記録され、現在では日本全国に分布し、日本の侵略的外来種ワースト100にも含まれています。
成虫は体長1~2㎜で、体は黄色みがかり、4枚の翅はワックスのような物質で覆われています。葉に止まる際には翅を葉の表面とほぼ平行にして止まります。
一方形態のよく似たシルバーリーフコナジラミは葉に対して翅を45度以上立てて止まるので、両者はこの点で区別することができます。
オンシツコナジラミの生態
オンシツコナジラミは様々な植物に寄生し、吸汁して生活しています。
生息の適温は20~24度で、30度を超えると死亡率が増加します。休眠性はなく、温室内では一年中発生するほか野外では卵で越冬します。
メスは羽化してから24時間以内で交尾を行うことができ、卵を葉の裏に産み付けます。
卵は薄い黄色で負荷の前位に灰色になり、羽化したばかりの一齢幼虫は幼虫の中で唯一移動できる段階で、葉の上を歩行しますが、2齢幼虫以降は固着生活を送ります。
発生は秋が多く、野外では1年に3~4回、温室内では1年以10回以上発生します。
卵と4齢幼虫である蛹の段階以外は茎に口の針を突き刺し、師管液を吸い取ることで植物を直接加害しますが、その副産物として甘露と呼ばれる排泄物を生み出し、葉や茎に付着した甘露はすす病菌の繁殖原因になります。
また、吸汁する時にいくつかのウイルスを媒介することが知られていいて、本種に寄生すされるのは主にキュウリやジャガイモ、トマトなどの野菜が中心になります。
オンシツコナジラミの駆除
オンシツコナジラミの駆除方法としては薬剤を使うのが一般的ですが、使用にあたってはいくつかのポイントがあります。
まず薬剤の散布はオンシツコナジラミがついている株、ついていない株によらず、ついている株付近にあった植物全てに散布するようにします。
葉の裏をまんべんなく散布し、葉が大きい品種や立ち性の品種、大発生した品種はあらかじめ覚えておくようにして、その株には集中的に散布するようにします。
3つの薬剤を用意して、散布するたびに2ペアずつ違ったペアを作り散布します。これはコナジラミに薬剤への耐性をつけさせない為です。
夕方散布を心がけ、散布後は株がある場所を密閉状態にして翌朝までその状態を保つようにします。抗することで、薬剤がガス化して飛んで逃げたコナジラミへも効果が期待できるからです。
また、温室の場合は扉をしっかりと閉め、株一つだけであれば大きなビニール袋内で散布すると良いでしょう。
オンシツコナジラミの繁殖ペースはとても早いので、薬剤散布は3から4週間間隔で数度散布するようにしましょう。一度だけでは再度すぐに発生してしまいます。
薬剤の散布の時には必ず風通しの良い場所でやるか、散布用の衣服やマスク、ゴーグルなどを用意するかしましょう。
オンシツコナジラミに対する薬剤散布での問題点は卵に効果的な薬剤がないということ。
薬剤は散布しても卵は残ると考え、継続的な散布が必要です。
大発生する前に駆除するのも重要です。
薬剤を使わない時には、オンシツコナジラミの黄色に引き寄せられるという習性を利用して黄色い粘着テープを使って駆除するか、石鹸水などを葉裏に散布するといった方法があります。
(ライター ナオ