「南京虫」という昆虫がいます。これは「寄生昆虫」という、人などの血を吸う虫なんです!
ということで、人間にとっては大変いやな虫に分類されますよね。日本にもいるようなので心配ですね。ここでは南京虫、トコジラミについて説明してみましょう。

トコジラミは吸血昆虫

南京虫は正式名称を「トコジラミ」という、トコジラミ科トコジラミ属に分類される吸血昆虫です。

シラミという名前なんですが、同じ吸血性であるシラミ科の虫は鳥やこうもりなどの血を吸いますが、この南京虫は主に人間の血を吸うんです!いやですよね〜。

成虫になると5mm〜7mmくらいに成長する不完全変態の虫で、幼虫から成虫はになるまでほとんど同じ形をしています。

体の色は吸血する前は薄黄色〜赤褐色ですが、人間から吸血するとその血が透けるので濃い茶色になります。

これもいやな感じですね〜。もっともこんな虫をよく見ようと思う変わった人も少ないでしょうけど。

 

形は卵形で、雄の成虫は腹の端が雌の成虫よりも鋭く尖り、末端には発達したペニスがあります。

メスの成虫は腹部の第4節の腹中央から左に、ユニークな切れ込みがあり、交尾するときに雄がこの切れ込みにペニスを入れ、子作りをしているようです。

ちなみに南京虫は近親交配を日常としていて、雌から生まれた子供同士で交尾して繁殖しているんだそうです。

 

南京虫は、季節で言えば夏ごろになると大量発生しています。
また、気温が13度以下になると冬眠するとされています。

 

トコジラミ、南京虫は幼虫から成虫まで雄も雌も、人の血を主な栄養分としています。

いやですね。ふ化〜成虫になるまで2週間から7週間くらいですが、この差はどれだけ血を吸ったかとか温度等によってできます。

ただし血が吸えなくてもなかなか死なずに、実験室では1年以上も血を吸わなくても生きていたというケースがあります。

 

普通の昆虫などは「走光性」という明かりによってくる性質がありますが、南京虫は逆に明るいところが嫌いで、血を吸うときも夜間が多いです。

翅を持たないので自力で長距離移動ができず、壁の割れ目やベットの下のような小さい隙間に潜んでいます。

 

しかし、これがいやなところなんですが、人間そのもの、または荷物や輸送される物などに取り付いて長距離を移動することができて、これが後ほど説明する宿の被害にもつながっているのです。

 

刺された人の話しによれば、それはもうひどいらしいですよ。
かゆみと痛みがあってメンタル面が低くなり、一匹でも見つけるようなら心配で眠れず、睡眠不足になってしまうとか。

実際に南京虫に刺されて1ヶ月間仕事ができなかった人もいるそうです。

南京虫のルーツはかなり古い

南京虫のルーツなんですが、アメリカはオレゴン州南部にあるペイズリー洞窟で5100年〜1万1000年前の世界最古のトコジラミの化石が発見されています。

数千年前からヨーロッパ・アジア・アフリカで、人間がコウモリがいる洞穴に住むようになったとき、トコジラミ・ネッタイトコジラミがヒトの血を吸ようになったと考えられています。

 

さて、問題なのが、日本に南京虫はいるのかということです。

1595年のイエスズ会員の日本についての辞書ではすでにトコジラミに
ついての記述があるので、このころからいたのではとされています。

 

また、明治維新ごろから政府が外国船を購入したときに紛れ込んでいたという説もあります。
このころからは特に衛生面が悪い場所等には普通にいたようです。

 

江戸川乱歩の自叙伝にも南京虫の被害にあったという記述があります。

現在の日本では、有機リン系殺虫剤の効果で普通はめったにお目にかからなくなって
いたんですが、最近は外国人観光客が増えてきたこともあり、たびたび被害が起きています。

 

外国人観光客の体・荷物に付いたトコジラミが泊まった施設に入り込んで、東京・大阪等の宿泊施設においての発生例が多くなり、旅館経営者の悩みとなっているんだそうです。

 

NHKのニュース番組など、メディアでも多く取り上げられていて、日本みのならず世界中で被害が増えているんだとか。

 

アメリカなどでも、最近またトコジラミが大発生して観光産業に大きな打撃となっています。
アメリカでは50年ほど前に、「DDT」を使ってほとんど根絶やしにされたトコジラミでしたが、なんと殺虫剤の耐性を身につけたという、スーパーナンキンムシ(!)になって、駆除しにくくなっているんだそうです。

人間の血を吸う嫌なヤツ

トコジラミ、通称南京虫についてでした。
ちなみに、なぜトコジラミが南京虫なのかというと、江戸時代に世界から来た珍しいものや小さいもには「南京」という名前がついており、この虫もそのひとつということでつけられています。

しかし、近年の出現しているという、スーパーサイヤ人ならぬ「スーパーナンキンムシ」、嫌すぎですね!

旅行好きの著者にとってはかなり嫌な話でした。

ライター名:nabex