シラミ類の中でヒトシラミと呼ばれるものは人間の周囲にしか棲息できないものですが、衣類などにつくシラミもいます。
コロモジラミと呼ばれるものです。
吸血のみならず、感染症を媒介する事もあると言われる、恐ろしいシラミです。
コロモジラミの発生場所など
コロモジラミは衣服などに発生するシラミの一種です。
シラミの中でも人間にのみ寄生するタイプのものです。
衣服といっても人間の体により近い下着類などの縫い目など、見つけにくい箇所に発生する事があるようです。
コロモジラミは成虫でも大きさは約4mmほどです。
体は白っぽく米粒のように見えます。
コロモジラミは人間が身に着けている、下着類などの目立たないところに卵を産みつけ、幼虫になると人間の皮膚にうつり吸血するようになるのです。
どこからどうコロモジラミがくるか、という事についてですが、長期間洗浄していない衣類や下着などにコロモジラミが見られる事があると言われています。
人間が生存しているところに彼らはいる可能性があるようです。
日本でコロモジラミなどの人間に寄生するシラミ類が見られたのは、戦前や戦後とされます。
多くはないものの、1992年あたりから少しずつ症例数が増えているそうです。
コロモジラミは気温が30度ほどになると、卵から孵化するまで約7日、幼虫時代は15日ほど、3回の脱皮で成虫になります。
コロモジラミは幼虫、成虫、オス、メスともに吸血します。
コロモジラミの被害
コロモジラミは幼虫、成虫ともに吸血します。
吸血の頻度や回数はアタマジラミほどではないとされていますが、コロモジラミがついた衣類や下着を取り替えない状態が続いた場合などに多くみられるようです。
人間の皮膚につくシラミには、アタマジラミやコロモジラミ、ケジラミがありますが、コロモジラミはアタマジラミと姿かたちや行動などが似ているので、亜種ではないかと言われる事があります。
コロモジラミがアタマジラミと分かれて人間の頭皮や頭髪に寄生するようになり、コロモジラミは人間が身に着ける、衣類のようなものにくっついて生存するようになったと言われています。
コロモジラミの特徴は体が白っぽい事です。
歩くお米の粒のようなものがいたら、コロモジラミの可能性があります。
吸血すると、コロモジラミの体色は赤茶っぽくなります。
コロモジラミの駆除について
コロモジラミは熱湯に弱いので、コロモジラミがいると思われるような下着類や衣類を60度以上の熱湯に10分漬ければ死滅します。
その後、体を洗浄し、新しい衣類に取り替えます。
コロモジラミの媒介する感染症
シラミによる感染症はシラミ媒介感染症といわれます。
コロモジラミの被害は吸血もありますが、深刻なものは感染症です。
コロモジラミの発生により媒介される感染症は主に発疹チフス、塹壕熱、回帰熱です。
コロモジラミが媒介する発疹チフスなどについて
発疹チフスの潜伏期間は1,2週間の事が多く、悪寒、脱力感、手足の疼痛や急激な発熱などを引き起こします。
コロモジラミは吸血すると共に排泄も行い、その糞が体内に入り感染症の要因となります。
現在では気温が低い地帯や人間が密集した地域などにみられる感染症とされます。日本で発疹チフスの症例が確認されたのは1957年であるようです。
塹壕熱は発疹チフスのようにコモロジラミの糞と共に病原体が体内に入る事で感染症を引き起こし、発熱などの症状が出ます。
塹壕熱の最も大きな流行は第二次世界大戦中で多数の死者が出ました。
回帰熱はアフリカで数年おきに流行がみられる感染症のひとつです。
特にエチオピアでは周期的に死者が出ているという、恐ろしい感染症です。
日本の感染症法では四類感染症になっています。
四類感染症とは動物またはその死体、飲食物、衣類、その他の物を媒介して健康に影響が出る恐れのある感染症だそうで、対策として動物の輸入や輸入の際に検疫を行う事などとされています。
コロモジラミが媒介すると考えられている発疹チフスや塹壕熱の病原体は、リケッチアといわれるものです。
発疹チフスは別名リケッチア症とも呼ばれています。
リケッチアという病原体に感染したコロモジラミから人間に感染すると考えられています。
感染したコロモジラミは人間の皮膚から吸血後少なくとも2~6日程度その病原体を持つと言われています。
しかしその状態のコロモジラミは60度の蒸気をあてればほんの20秒で死滅します。
コロモジラミは高温に弱く、吸血できないと数日で死亡します。
コロモジラミの感染症について
コロモジラミの発生で心配される感染症は、コロモジラミが人間の皮膚から吸血した時に排泄した糞に含まれる病原体が体内に入る事が原因で起こります。
予防するには下着類など人間の皮膚に近い衣類を清潔に保つ事です。
通常生活でコロモジラミの被害に遭う事は多くはないでいでしょうが、見た目がアタマジラミと似ているので万が一の時は対処法を勘違いしないように注意が必要です。
コロモジラミが発生するのは主に衣類などです。
卵・幼虫・成虫全て60度以上の熱湯に10分以上つければ死滅するようです。
(ライター:おもち)