コナジラミの特徴と生態
コナジラミはカメムシ目コナジラミ科に属する昆虫の総称です。
植物から吸汁するので、農業害虫として扱われることも多く、世界では17属、1550種以上が知られています。
幼虫は翅がなく、最初の脱皮までは脚があって移動しますが、その後2~4齢は脚がなくなり、葉裏などに固着して吸汁し脚と翅のある成虫になります。
成虫は1㎜前後で大型の翅があり、粉状の蝋質で覆われています。
成虫の平均寿命は35日前後で、メス1頭あたり100~250個の卵を産卵します。
野外では年に3回前後、施設内では年10回以上発生すると考えられ、5℃以上の気温があれば、20日以上生存できるという報告もあります。
日本ではタバココナジラミやシルバーリーフコナジラミ、オンシツコナジラミ等が特に問題になっています。いずれもトマトのハウス栽培では特に重要な病害虫として扱われています。
このうちシルバーリーフコナジラミは北アメリカの原産で日本にポインセチアに付着して導入されたと言われ、1989年に侵入が確認されました。そして、その年のうちに定着は22県まで拡大し、現在では全国に移入分布していると言われています。
体長は1㎜で葉に止まるときに波面に対して翅を45度以上立てて止まるのが特徴です。トマト以外にもカボチャ、メロン、イチゴ、キュウリ、ピーマンなど多くの植物に寄生します。
オンシツコナジラミの原産はアメリカ大陸で、日本へは観葉植物や苗などに混入したと考えられていて、1974年に初めて広島県で確認されました。
体長は1~2㎜で、体は黄色みがかかり、4枚の翅は蝋質のワックスで覆われています。
葉に止まる時には翅を葉の表面とほぼ平行にして止まります。
様々な植物に寄生し、生息適温は20~24℃。30℃を超えると死亡率が増加します。
休眠性はなく、温室内では1年中発生するほか、野外では卵で越冬することも知られています。
メスは羽化してから24時間以内で交尾を行うことができ、卵を葉の裏に産み付けます。
コナジラミのトマト被害
コナジラミによるトマトの被害は吸汁による直接的成長阻害と、もう一つは吸汁されることによって黄化葉巻ウイルスなどウイルス病の伝播を引き起こすしすす病が出ることです。
すす病の原因の一つはコナジラミの排泄物。
この排泄物にすす病菌が付着しており、温度等の条件がお揃った時にすす病が発生します。
すす病にかかった葉は黒っぽくなり、光合成が出来なくなります。
また、すす病にかかったトマトの実も黒っぽくなり、商品価値が下がってしまいます。
コナジラミ対策
コナジラミの具体的な対策としては、トマトの定植前に圃場近くの雑草は綺麗に除去しておくこと。
トマトの育苗中に寄生されないように育苗床を寒冷紗などで覆い、成虫の侵入を防ぐこと。
寄生されたトマト苗の持ち込み防止のために定植前の葉の裏をチェックし、寄生された苗は処分してしまうことです。
また、定植した後に寄生されてしまった場合は、特に幼虫の寄生の多い下葉を中心に除去し、コナジラミ類の密度を下げます。
成虫は粘着テープなどを使って除去しますが、この時黄色のテープを使うと高効率です。
また、防虫ネットで株全体を覆って産卵を防止することも必要です。
コナジラミの駆除
コナジラミの天敵となる3種のツヤコバチは生物農薬としてコナジラミだけでなく多くの昆虫の駆除に使われています。
これらを利用して駆除するのが一つの方法ですが、ツヤコバチは外来種なので、施設栽培のみの利用に限られます。
在来の天敵はリュウミュウツヤテントウやヨコスジツヤコバチ、タバコカスミカメ、クモやカマキリなどですので、これらの昆虫を放すことで数を減らす方法もあります。
農薬による駆除を行うなら、まずはチェス水和剤で成虫を殺し、その後ベストガードなどで卵と幼虫を駆除しましょう。
(ライター ナオ)