皆さんはスギカミキリという生き物をご存知ですか?
スギカミキリとはいわゆる害虫で、1980年代にスギカミキリ被害が大きな問題となり防除対策が成功し一時期は被害はほとんど見られなくなったそうですが、最近になってまた被害が増えてきているという問い合わせが増えているようです。
今回はそんなスギカミキリの生態や特徴、そしてどのような被害が起こるのかを紹介していきたいと思います。
スギカミキリってどんな生き物なの?~生態と特徴について~
スギカミキリの生態は、コウチュウ目カミキリムシ科カミキリ亜科に属する昆虫です。
日本にはスギカミキリは約28種類存在していると言われています。
生息地は、海外ではサハリン・中国東北部・台湾・ニュージーランド、日本では北海道・本州・四国・九州・沖縄に広く分布しています。
スギカミキリは、広葉樹を中心とする各種樹林とその林緑・社寺境内・公園・樹幹の暗い部分を好む傾向があるようです。
平均体長は12mm~27mm程の大きさです。
体の特徴としましては、身体つきは扁平で狭い場所にも潜り込む事が出来るようになっていて、体の色は黒色で触角と肢は赤褐色を帯びており、各上翅には2個の黄褐色紋があるのが特徴ですが、個体によっては消失しているものもいて全体が黒色化するものもいます。
前胸背は丸みを帯びていて、中央らへんには平滑部があります。
雄雌の見分け方としましては、雄の触角は翅端を超えますが、雌の触角は短いです。
日中は食樹の樹めくれた皮下などに潜んでじっとしている事が多いが、夜間になると活発に活動を始める夜行性です。
活動は比較的活発な方で、樹皮上を敏捷に歩行します。
スギカミキリ虫の幼虫は、樹皮直下の形成層を食い進み、特徴的な食痕を残します。
食性は植物性で、名前にも入っているようにスギ科のスギを特に好むようで、稀にヒノキ科のヒノキやサワラにつく事もあります。
スギ林内よりも、独立したやや大きな樹を好み、好適な食樹には集中的な加害が見られ、しばしば枯死に至らしめる事もあるそうです。
発生時期は年に1回の3月下旬~4月に見られます。
冬の間は、材内で摂食しながら冬を越しますが、老熟幼虫は初冬には蛹になり、その後羽化し翌春まで蛹室内で休眠します。
ちなみにスギカミキリの天敵となるものは、成虫は大型のカマキリ類や大型のサシガメ類や大型造網性クモ類、幼虫は捕食性コメツキムシ類の幼虫やヒラタムシ類やカッコウムシ類とされています。
スギカミキリの成虫の平均寿命は30日前後と言われています。
スギカミキリが起こす被害~スギカミキリの雑学~
スギカミキリはスギのヒノキの枯れ木や倒木や生木の枯れ枝に集まり、幼虫はそれらの皮下や内部を食害すると言われています。
道路沿いに生えているスギやヒノキが所々枯れているのは、ほとんどがスギカミキリの仕業だそうです。
特に、里山や耕作跡地の植栽地で被害が多く見られ、逆に奥山の造林地ではほとんど被害は起こりません。
スギカミキリの幼虫はスギやヒノキの内樹皮を食害しますが、スギでは上下方向に食害し、ヒノキでは水平方向に食害するのが特徴のようです。
食害されるスピードはとても速く、たったの1匹~2匹が寄生するだけでも枯死してしまうそうです。
被害を予防する方法としては、カミキリホイホイなどを木に巻き付けて置くのが一番効果的なようです。
スギカミキリについてのまとめ
今回はスギカミキリについて紹介しましたが如何でしたでしょうか?
スギカミキリは木に寄生して食害するだけでなく、屋根裏などにも寄生して柱などを食害する場合もあるようなので、スギカミキリが生息する地域に住んでいる方は気を付けて下さいね。
ライターMISAKI