美しいと言われる甲虫の中でもその美しさは超一流とされるルリボシカミキリムシをご存知でしょうか?
ルリボシカミキリについて
名前まで美麗なルリボシカミキリ(rosalia batesi)は、日本固有種とされる甲虫の中で最も美しいとされます。
学名のrosaliaは、美しい女性という意味を表すそうですよ。
カミキリムシ科ルリボシカミキリ亜科のルリボシカミキリの体は頭部・胸部・腹部に分かれ、頭部から長い触角が伸び、胸部から3対の細い脚が伸びています。
触角まで青く、黒い毛のようなものがあります。体の腹側も青い色です。
前翅の斑点や青さ具合には地域差があるようです。
成虫の大きさは、20mm~29mmほどです。
オスとメスの違いは触角の黒い毛の部分にあります。
ルリボシカミキリのオスの触角の黒い毛は第3節から5節辺りまでは特にくっきりしていますが、メスの場合は第7節くらいになると少し小さいように見えます。
しかしこの違いはオスとメスを同時に見ないとよく分からないように思えます。
外見から分かる違いは大顎の発達具合です。明らかにオスの方が大きく発達しています。
ルリボシカミキリの棲息地と成虫の時期
ルリボシカミキリの棲息地はほぼ日本全国です。
最近では都市部でも見かける事があります。
青い体色の成虫が現れるのは、初夏から夏の6月~8月末頃です。
街路樹にじっととまっている事もあるかも知れません。
ルリボシカミキリは樹液などを餌としますので、クヌギやブナなど樹木のあるところを探してみましょう。
あるいは公園や緑地帯、ダムにもいるかも知れません。
ルリボシカミキリは広葉樹を好むようです。
山地では倒木のあたりにいる事もあるようです。
ルリボシカミキリはもともとブナ林などに棲息していたようです。
ルリボシカミキリは飛ぶ!
ルリボシカミキリは斑点のある前翅を広げ、中の後翅で飛翔します。
後翅は濃い茶色です。翅を広げるとルリボシカミキリの胸部も見えますが、中まで青く体節は鍛え上げられた腹筋のように分かれています。
ルリボシカミキリは昼行性の甲虫ですから、ルリボシカミキリを見つけたら飛ぶ姿も見られるとより良いですね。
ルリボシカミキリの生態
ルリボシカミキリの成虫は、生きている樹木を食べる事はありません。
主に樹液や花粉などを餌としています。
ルリボシカミキリの卵は倒れた樹木などの隙間に産みつけられ、幼虫はその木の中で朽ちた木を食べながら育ちます。
脱皮しながら成長し、サナギの時期を経て約3年後に成虫になり、木から出てきます。
それが初夏の頃です。成虫になったルリボシカミキリは交尾を行い、その年の秋には死亡します。
ルリボシカミキリの体色
青い生物にも色々なものがいます。ルリボシカミキリは漢字で「瑠璃星髪切」です。
ルリボシカミキリのブルーの前翅は、細かい毛で覆われています。
光線や見る角度によって緑がかった色や濃い青に見えるともいわれるこのブルーですが、個体が死亡すると徐々に失われてしまいます。
青い体色をもつ生物は、構造色という青く見える仕掛けのようなものが働き青く見えるといわれます。
たとえばモルフォ蝶の青は、そういう仕組みだとされます。
ルリボシカミキリの体色は構造色によるものなのかは、はっきりしていないようでもあります。
しかし、ルリボシカミキリが青いのは生きている間のみというのは、はっきりしているようです。
ルリボシカミキリについて
ルリボシカミキリは目を奪われるほど美しい甲虫です。
カミキリムシは種類が多く木を食害する種類もいるため、イメージが良くない場合もあるでしょう。
しかし、食害するカミキリムシというのはカミキリムシのごく一部です。
ルリボシカミキリは幼虫・成虫時代を通して、生育中の木を食害する事はありません。
幼虫の時には朽ちた樹を好み、成虫になると花粉や樹液などを好みます。
青いルリボシカミキリが見られるのは夏のひと月ほどの間です。「動的平衡」で有名になられた福岡伸一氏の著作に『ルリボシカミキリの青』という書籍があります。
ルリボシカミキリの事を多方面から知りたければ、ルリボシカミキリの成虫が現れるまでの間、読んでみるのもいいかもしれませんね。
(ライター:おもち)