皆さんはミノムシという虫をご存知でしょうか?
昔は秋になると木の枝から大きなミノムシがぶら下がっているのをよく見かけました。
ですが、近年ではその姿を目にする事も少なくなってきましたね。
何故一気に減少して絶滅危惧種になってしまったのでしょうか?
今回はミノムシの生態や特徴、そして絶滅危惧種になってしまった原因について紹介していきたいと思います。
ミノムシってどんな生き物なの?~生態と特徴について~
名前の由来は、昔雨具として用いられたミノ(蓑)に形が似ている為に「ミノムシ(蓑虫)」と呼ばれるようになったそうです。
ミノムシの生態は、チョウ目・ミノガ科のガの幼虫です。
日本には約6種類のミノムシが生息していると言われていて「ホソオビヒゲナガ」「マダラマルハヒロズコガ」「オオミノガ」「チャミノガ」「ニトベミノガ」「クロツヤミノガ」などです。
生息地は、主に北海道・四国・九州を中心に広く分布しています。
平均体長は約40mm~50mm程の大きさです。
特徴としましては、ミノガの幼虫で自ら吐いた糸と枯れ葉・枯れ枝を合わせて蓑を作る習性を持っています。
蓑の材料となるものは身の回りにある適度な大きさであれば何でも良いようで、例えばミノムシを捕まえて蓑を剥いだのちに細かくちぎった色紙などを側に置いておくとそれを使って蓑を作る為、カラフルな蓑を持ったミノムシが出来上がるんだそうです。
ミノムシの幼虫は、蓑の中に入った状態で冬を越して、春になると成虫になります。
通常はミノムシは蛾の幼虫で成虫になると蛾になると認識されていて、実際に成虫になれば蛾になって飛び立っていくのですが、実はすべてのミノムシがそうなるとは限らないのです。
どういう事かというと、ミノガという蛾の姿に変わって飛んでいくのは雄のみであり、雌は蛾の姿にはなれず飛ぶことも出来ないのです。
雌は成虫になっても蓑から出てくることが無く、そもそも羽も足も持たないので動く事すらままならないのです。
生殖は雄が雌の入ったままになっている蓑を訪れる事で行われ、雌は自分の蓑の中に大量の卵を産み落とすようになっています。
なので、雌は一生蓑から出てくることはなく蓑の中で過ごします。
雄雌共に成長したミノガは口が退化して無いので餌を摂る事はありません。
餌を食べるのは幼虫の期間だけで、幼虫の頃に蓄えたエネルギーを使って生きることが出来ます。
ミノムシが餌にしているものは主に枯れ葉などを食べて生きています。
ミノムシでいる期間は約10ヵ月とされています。
ミノムシが絶滅危惧種になったワケとは?~ミノムシの雑学~
ミノムシが激減した理由は、中国から渡来してきたミノムシのみに寄生する「オオミノガヤドリバエ」が原因とされています。
オオミノガヤドリバエは元々、中国で害虫として扱われていたミノムシを駆除する為の生物兵器として使われていました。
それが日本にも入ってきたことで、日本に生息するミノムシが絶滅に追いやられてしまいました。
このオオミノガヤドリバエは、ミノムシを見つけるとミノムシが餌としている葉などに卵を産みつけ、ミノムシは卵と一緒に葉を食べてしまい腹の中に入った卵はミノムシの体内で羽化して体を食い荒らすという生き物です。
オオミノガヤドリバエに捕食されたミノムシの蓑袋の中には、干からびて小さくなり黒く変わり果てた姿で発見されます。
このようにして個体数が減っていき、現在ではあまり見かけなくなりました。
ミノムシについてのまとめ
今回はミノムシについて紹介しましたが如何でしたでしょうか?
小さな生き物ですが、日々やるかやられるかの過酷な戦いが繰り広げられているのですね。
ライターMISAKI