春の訪れを告げる鳥、ウグイス。遠くからでも聞こえる彼らの声はうららかな日差しと共に始まります。
そんなウグイスたち、自然界では一体何を食べているのでしょう。
そして、餌付けすることは可能なのでしょうか?
ウグイスの特徴と生態
ウグイスは東南アジアに生息しています。
日本やサハリン、中国、台湾、東南アジアで越冬し、ハワイには日本から移入されたものが定着しています。
日本ではほぼ全土に分布する留鳥で、寒冷地の個体だけは冬季に暖地へ移動することが知られています。
環境適応能力が広く、笹の多い林下や藪を好みますが、臆病な性格ですぐに隠れてしまうので、声は聞こえても姿が見えないことが多い様です。
体長はオスが16㎝程度で、メスは14㎝ほど。
スズメとほぼ同じ大きさです。
体色はオリーブ褐色で、背面は白色、全体的に地味な色合いをしています。
食性は雑食、夏場は主に小型の昆虫や幼虫、クモ類などを捕食し、冬場は植物の種子や木の実なども食べます。
繁殖期は初夏で、オスは縄張りをつくり「ホーホケキョ」と1日に1000回程鳴くことがあります。
横穴式の壺型の巣を作り、1回の産卵で4~6個の卵を産みます。卵の大きさは直径1.8㎝程度。
ホトトギスの卵の大きさが2.2㎝程度で、色も似ている為、よく托卵されます。
ウグイスの地鳴きは「チャッチャッチャッチャ」というもので、さえずりは「ホーホケキョ」。
威嚇の時には「ケキョケキョケキョケキョ」と激しく鳴きます。
日本の本州辺りでは2月の初旬頃からさえずりをはじめ、8月の下旬ころまでよく聞かれます。
ウグイスの餌
ウグイスを餌付けしたい場合、どんなものをエサ台に置いたら良いのでしょうか。
自然界では時期によって食べるものが違っています。
春先から秋にかけてはトンボやカナブンといった昆虫やクモ、ミミズなどを食べますが、昆虫が少なくなってくる冬場では木の実などを食べます。
ですから、卵の孵化時期を考えるとメスの親鳥がヒナに与えるのはミミズやクモなどの昆虫ということになります。
エサ台に餌を設置する場合にもこの自然の法則を無視したエサを置くのはあまり良くありません。
市販のウグイスの餌などはあまり与えず、果物など自然界に存在するものを与えるようにしましょう。
ウグイスの飼育は基本的に鳥獣保護法によって禁止されていますが、やむを得ない場合における一時的な保護の目的でなら可能です。
そんな時はウグイス用のすり餌が販売されているので、それを利用すると良いようです。
気をつけなければならないのは水切れです。小さな鳥は水切れによってすぐに死んでしまうので、くれぐれも水は切れないように注意しておきましょう。
ウグイスの飼養文化
かつて日本では足利義政の頃、ウグイスの飼育が盛んに行われていました。
鳴くようになったウグイスは籠ごと大きな桶に入れられ、ウグイスの声が共鳴して聞こえるようにして楽しんでいたそうです。
その頃の餌はすり餌が中心で、他には活き餌も与えていました。
すり餌の材料としては玄米、米、糠、青葉で、活き餌はアオガエル、ボクトウガの幼虫、コウモリガの幼虫、ブドウスカシバの幼虫、イナゴなどです。他にもシンクイムシ、ミルワーム、ヨーロッパイエコオロギ、ヒメツメガエルなどの入手しやすい活き餌なども与えていたようです。
さえずりが見事なウグイスはこの当時鳴き合わせという遊びに使われ、互いに鳴き合わせてその鳴き声を競うことに使われていました。品評会なども開かれ明治維新の頃まで盛んに行われていたようです。
和歌の中にも盛んに登場し、中でも古今集に掻かれた詠み人知らずの「うぐいすの なく野辺ごとに きてみれば うつろふ花に 風ぞふきける」などは有名。
(ライター ナオ)