キラービーというハチを聞いたことがありますか?
オオスズメバチは日本でも有名な凶悪なハチですが、このキラービーとオオスズメバチ、どちらが凶悪で驚異的なのでしょうか。
キラービーの特徴と生態
キラービーとはアフリカナイズドミツバチのことで、アフリカミツバチとセイヨミツバチの交雑種です。
攻撃性が強く、人間の死亡例も多いので怖がられていますが、最近はセイヨウミツバチとの交雑が進んで攻撃性が弱まりつつあると言われ、危険な個体はアメリカ合衆国南部に限られるようになっています。
交雑されたものはアメリカ合衆国全土に分布しています。
キラービーの特徴は群れを作りやすく警戒心がとても強くその範囲も広いこと。
キラービーを養蜂している場所では養蜂家が頻繁に巣に近づくだけで巣を捨てて他の場所に移動することも多いのだそう。
防御専門の役割を持ったハチがいて、縄張り内に入ってきた生き物を防衛反応で攻撃し、その攻撃は多数の個体が長い距離を追いかけるといった厄介なもの。
これはハイパー防御行動とも呼ばれ、過去には数十人が犠牲なったこともあるのだとか。いずれにしても人間にとってはかなりの強敵なのです。
オオスズメバチの特徴と生態
オオスズメバチは八目スズメバチ科スズメバチ亜科スズメバチ属に分類される昆虫の一種です。
インドから東南アジア、東アジアにかけて広く分布しています。
体長は女王バチが40~55㎜、働きバチが27~40㎜、オスバチが27~45㎜で頭部はオレンジ色をしていて、胸部は黒色、腹部は黄色と黒色の縞模様が特徴的です。
翅は茶色でオスバチは毒針を持っていません。
木の根元などの土中、樹洞などのエイさ空間に枯れ木など殻集めた繊維を唾液のタンパク質で固めて和紙のようにして六角形の管を作って巣を作ります。
日本に生息するハチ類の中でも最も強力な毒を持ち、かつ攻撃性も高いのでとても危険なハチです。
毒液の中には警戒フェロモンも含まれていて、巣の危機を仲間に伝えるという役割も持っています。
オオスズメバチの攻撃は大きな顎で噛みつき、毒針から毒を噴射し、また毒針を直接注入するという3つの方法があります。
毒液が目に入ると失明の危険性もあるほど強力な毒液で、針も抜くことさえできれば何度でも使うことができます。
キラービーとオオスズメバチ
さて、ではキラービーとオオスズメバチ、どちらが凶悪なのでしょう。
実はアメリカで脅威とされているキラービーですが、結論から言うとオオスズメバチの方が圧倒的に危険です。
アメリカではキラービーの脅威をなくすためにその駆除のため、オオスズメバチの利用が検討されました。
しかし、圧倒的な恐ろしさにその導入が断念されたという逸話が残っています。
実際に人の被害で考えると最も被害が多いのがキイロスズメバチと言われ、次いでオオスズメバチ。
キラービーの脅威はさほどでもないのだそう。
実際先にも書いた通り、今恐れられているのはアメリカの一部の地域のみで、年々キラービーの威力もセイヨウミツバチとの交雑によって落ちてきているのだそうだから、やはりオオスズメバチの方が脅威的で凶悪ということになるようです。
しかし、一方でそんなオオスズメバチもミツバチの大群に蒸し殺されることもあるというのだから、凶悪のナンバーワンというよりは、あくまで人間にとっての凶悪という観点でみれば、ということになるのでしょうか。
こんなに凶悪なオオスズメバチでも45℃前後の熱で死んでしまうという弱点があり、また自然界でもしっかりと天敵は存在していて、オニヤンマやシオヤアブ、オオカマキリなどとは互角の戦いを繰り広げるのだそうです。
他にも鳥類やクマ等も天敵になり、実は意外に天敵も多い昆虫でもあったりするのです。
(ライター ナオ)