「どじょう」と「うなぎ」は見たことのある人ならその違いは一目瞭然。
しかし、生態や味はどれほどの違いがあるのでしょうか?
聞かれると意外に答えられない「どじょう」と「うなぎ」の違いについて詳しくお話します。
「どじょう」の特徴と生態
「どじょう」はコイ目ドジョウ科に分類される淡水魚の一種です。
日本の平野部の水田や湿地などに全国的に生息しています。
中国大陸、台湾、朝鮮半島にも分布しますが、日本をはじめとした東アジア地域では食用魚としての養殖も盛んに行われています。
日本では低湿地で水田の多かった東京の北東部地域の強度料理としても古くから親しまれ、「どじょう」すくいは泥田で「どじょう」を掬う姿を滑稽に表現する忘年会の宴会芸の定番でした。
雑食性でユスリカの幼虫などを主に摂食します。
体は細長い円筒形で、全長は10~15㎝程度。口ひげは上顎に3対、下顎に2対の合計10本あり、このひげには味蕾と言われる食物を探すのに使われる感覚器があります。
呼吸はエラで行い、水中の酸素が不足すると水面まで上がってきて空気を吸い、腸で空気呼吸も行います。
体色は茶褐色で、背部に不明瞭な斑紋を持つものがほとんどですが、まれにヒドジョウと呼ばれれるオレンジ一色の白変種もあり、人工繁殖されたもの等が観賞魚として商業流通します。
個体差はありますが、危険を察知した際や水温などの条件によって水底の砂や泥に潜ることもあります。
「うなぎ」の特徴と生態
「うなぎ」はウナギ科ウナギ属に属する魚類の総称で、世界中の熱帯から温帯にかけて分布しています。
ニホンウナギ、オオウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギ等世界で19種類が確認されています。
種類や地域によっては食用とされ、日本でもニホンウナギが古くからかば焼きやうな丼などの調理方法で食べられてきました。
漁業、養殖が広く行われてきましたが、近年は国外からの輸入が増えています。
「うなぎ」は遊泳速度が遅く、ヘビのように体を横にくねらせて波打たせることで推進力を得て移動しています。
一般的には淡水魚として知られていますが、海で産卵・孵化を行い淡水にさかのぼってくる降河回遊(こうかかいゆう)という生活形態をとっています。
臭覚がとても優れていて、その感度は犬並みと言われています。
ニホンウナギは日本をはじめ、朝鮮半島からベトナムまで東アジアに広く分布しています。
河川生活を行っている時は黄色をしていて、海洋生活期には銀色に見えます。
成魚は全長1mほどにもなり、細長い体型で体に断面は円形デス。
目は丸く、口は大きく、体表は粘膜に覆われてぬるぬるしていますが、皮下に小さな鱗を持っています。
腹ビレはなく、背ビレ、尾ビレ、臀ビレが繋がっています。
体色は背中側が黒く、腹側は白いのですが、野生個体には背中側が青緑色や灰褐色、腹側が黄色の個体もいます。
また、産卵のため降海した成魚は背中側が黒色、腹側が銀白色になる婚姻色を生じ、胸ビレが大きくなります。
成魚が生息するのは革の中流から下流、加工、湖などですが内湾にも生息しています。
細長い体を隠すことが出来る砂の中や岩の割れ目などを好んで、日中はそこに潜んでじっとしています。
夜行性で夜になるとエサを求めて活発に動き出し、甲殻類や水生昆虫、カエル、小魚など色々な小動物を捕食します。
鰓の他にも皮膚で呼吸できるため体と周囲が濡れてさえいなければ陸上でも生きることが出来、度々路上に出現することもあるほどです。
「どじょう」と「うなぎ」の違い
「どじょう」と「うなぎ」は大きさや形態、生態も大きく違うということはもうお分かりになったと思います。
見た目で区別するには、その大きさ、そして土壌についている10本の口ひげが目印です。
また、それぞれ食材として利用されていますが、味は全く違うものです。
どじょうは身そのものにはほとんど味がないので、濃いスープや味の付けられた鍋などと一緒に食べるのが一般的ですが、うなぎは肉厚で身の旨味も強いので白や木のような薄味の調理法でも十分味わいがあり、脂乗りの面でもうなぎが突出しています。
同じと言われるのは栄養価で、「ウナギ一匹、ドジョウ一匹」という言葉があり、ドジョウ一匹でウナギ一匹に匹敵する程高い栄養価を持っているということです。
特にカルシウムに関して、「どじょう」は「うなぎ」の9倍も含まれているのだそう。
どじょう恐るべし!です。
(ライター ナオ)