一度は目にしたことのあるテントウムシ。

子供の頃からとても馴染みのある昆虫のひとつです。

 

このテントウムシたちの寿命はおよそ2~3年と言われているのですが、冬の間はどうしているのでしょう?

テントウムシの冬眠について詳しくお話しします。

テントウムシの生活史

てんとう虫は卵から幼虫になり蛹、成虫という完全変態を行う昆虫です。

成虫は交尾の後に食べ物近くに数十個ほど固めて産卵を行います。

孵化した幼虫は翅がなく、腹部が後方へ伸び、体には突起や棘があるのでその姿から、初めて見る人はとても成虫がテントウムシだとは思えないようです。

テントウムシの幼虫は成虫と同じエサを食べることが多く、肉食の場合は時に蛹や幼虫を共食いすあることもあります。

 

終齢幼虫は植物の葉の裏などで蛹になり、蛹は楕円形で翅こそ短いものの成虫の形に近く、腹部の先で壁面にくっつき、落下しないようになっています。

蛹から羽化したばかりの成虫の翅は黄色く、翅が固まるにつれて特徴的な模様が現れます。

ナミテントウの冬眠

ナミテントウムシは日長が長くなり、平均気温が20度以下になると越冬のため体の変化が起き始めます。

東京近県では10月~11月上旬、平均気温が15℃、日最低気温が10℃付近になると越冬場所へ移動をはじめることが観察されています。

 

越冬場所として温度変化の少ない場所が選ばれます。急激な温度変化のあるような場所では基礎代謝量が高くなってしまい、長期間の越冬に不利になるからです。

越冬は数十匹の集団で行われます。木の割れ目や家屋の屋根や壁などの隙間などが対象になることも多い様です。

ナナホシテントウの冬眠

ナナホシテントウの場合、年2化で、秋に羽化した成虫は越冬します。

春にアブラムシが活動を始める頃には産卵が行われ、それを食べた最初の世代が晩春に現れるというサイクル。

 

ナナホシテントウの越冬は陽当たりの良い葉の裏などで行われます。十数匹で集団越冬する種類の多い中、ナナホシテントウの場合は1匹で越冬する場合もあり、多くても5~6匹ほどだと言われています。

これは後にも述べますが、ナナホシテントウの体がかなり低い温度にも耐えうる構造を持っているからと考えられます。

サカハチテントウの冬眠

北米に分布するサカハチテントウは数千万匹もの大集団で越冬することが知られています。

サカハチテントウは呼吸によってわずかな熱と湿気を発生させていて、1匹で越冬していたらすぐに熱、湿気は逃げてしまいます。

 

しかし、大集団を形成してサカハチテントウ同士が接触していると、個体あたりで空気に接する表面積が減り、その結果湿気が逃げるのを減らすことが出来て寒くて乾燥しやすい冬を乗り切ることが出来るのだそうです。

越冬中のテントウムシの体

昆虫の越冬は常に低温にさらされることになります。

越冬中に寒さから身を守るには体を凍らないようにすることと、体が凍っても細胞が破壊されないようにするという2つの方法があります。

昆虫の血液はおおよそ-2度くらいで凍り始めると言われています。体が凍結しにくい昆虫は血液中に不凍液の成分を貯めこんだり、氷の角となる物質を減らしたり、氷の結晶成長を抑える物質を増やすなどの仕組みを持っています。

 

また、体が凍っても生きられる昆虫は細胞内に氷が出来ないように-5~-10℃位の温度で細胞外凍結を始める仕組みを持っています。

テントウムシの場合は体が凍り付かない仕組みを持ち合わせていて、ナナホシテントウは-20℃位までは凍結しないのだそう。

テントウムシの冬眠のまとめ

テントウムシは種類によって冬眠の仕方は様々。

基本的には風当りや急激な温度変化を避けられる場所で集団で越冬する。

ナナホシテントウは一匹でも越冬することが出来る。

(ライター ナオ)