キアゲハの幼虫は緑色の芋虫ですが、アゲハチョウ亜科アゲハチョウ属に分類されるチョウの幼虫は大抵緑色の芋虫。
それらの幼虫たちとの違いはどこにあるのでしょう。
キアゲハを含めたアゲハの幼虫の見分け方を詳しくお話します。
キアゲハの特徴と生態
キアゲハは日本のアゲハチョウの中でも比較的見かけることの多いアゲハチョウ。
体長は36~70㎜で北海道から九州までの明るい草原に分布しています。
よく似ている種類にナミアゲハが挙げられますが、キアゲハは前翅の付け根が黒ずんだ色彩で塗りつぶされたようになっていて、ナミアゲハのような縞模様にはならないのが特徴です。
成虫は年に2回、4~10月にかけて発生します。
オスは薫り高いリナロールやゲラニルアセトン、n-ドデカンなどを成分としたフェロモンを発することが知られています。
開けた山頂部で占有行動をとることもあります。
キアゲハの幼虫
キアゲハの幼虫は薄い黄緑色と黒色の縞模様をしていて、そこにオレンジ色の斑点があるのが特徴です。
アゲハチョウやクロアゲハ、カラスアゲハ、モンキアゲハなどの多くのアゲハチョウが緑一色で多少模様や顔つきの違いこそあれど、良く見なければ区別がつかないものが多い中、キアゲハの幼虫だけはこれらの青虫との区別は一目瞭然です。
黄色みが強く、縞模様。これがキアゲハの最大の特徴です。
また、他のアゲハの幼虫である緑の芋虫にはぱっちりとした目がついていますが、キアゲハの場合は目がありません。
齢によって幼虫の色や模様は変化し、アゲハチョウ属に分類されるチョウの幼虫は1齢虫の頃は皆黒っぽい色をしています。これは鳥などに補色されないようにするために鳥の糞に擬態していると言われています。特にキアゲハ以外のアゲハの仲間の若齢幼虫は見事なまでに鳥の糞。
キアゲハも1~4齢位までは同様に濃い黒色をして擬態していますが、どうしてもオレンジ色の模様が斑点として所々に入るので、他のアゲハ類の若齢幼虫のような擬態ぶりは発揮できません。
5齢虫くらいか徐々に黄緑色が濃くなって今度はいかにも毒を持っているかの様な警戒色に変化していき、他の幼虫には見られない独特の模様になっていきます。
まだはっきりと全身の模様が見分けられない場合でもキアゲハの場合は、黒色の模様の中にオレンジ色が点在するので区別がつきます。
また、ナミアゲハやアゲハチョウの幼虫がミカン科の植物を幼虫の食草としているのに対し、キアゲハの幼虫はセリやニンジンなどのセリ科の植物の葉を食べます。
家庭菜園などで人参を育てていて、葉っぱに緑っぽい芋虫がいたら、それは間違いなくキアゲハの幼虫です。
キアゲハの味!?
最近はやっている昆虫食。
果たしてキアゲハの幼虫はどんな味がするのか・・・・。
柑橘系を食草とするアゲハ類の幼虫は、味もミカンやサンショウの味がするのだそうですが、だとするとキアゲハの幼虫はセリの味がする!?
実際食べた方のブログによると、キアゲハの幼虫の風味は大分薄いのだとか。
実際にミカンなどの香りと比べると、セリ自体の香りがパンチの効いたものではないので、味自体も薄くなって当然。
また、肉質の部分も少なく、食べるなら蛹がオススメだとか。
幼虫は美味しくないわけではないけれど、微妙な味だったそうです。
ちなみにこの方、幼虫の糞もお茶にして飲んでいらっしゃいました。
そちらの方はかなり癖の強い自己主張の強いお茶が出来上がったとか・・・・
いずれにしても凄い時代です。
日本が飢餓状態になった時にはお世話になるかもしれませんが、私は今のところは蝶の姿のキアゲハを楽しませてもらうことにし要と思います。
(ライター ナオ)