クサギカメムシの特徴と生態
クサギカメムシは日本全国に分布するカメムシの仲間。
成虫の体長は14~18㎜程で真っ黒な五角形の殻を背負ったような見た目をしています
クサギカメムシはカメムシの中でも最も臭気の強い種の一つと言われています。
腹部分には臭いを出す臭腺が存在し、敵に襲われそうになった時に、そこから強烈な臭いの液を出すことが原因です。
成分はアルデヒドやエタノール酢酸などですが、この液体は実はカメムシたちにとっても有害な成分。この液体から身を守るためにカメムシの体はしっかりとエナメル質で覆われているのです。
4月に交尾し、5~6月頃にはクサギなどの植物に20~30個のほどの卵を産み付けます。
6月中旬ころから幼虫が見られるようになり、8月中旬~下旬には成虫へと成長します。
寒くなってくると家屋や積み重ねた木材、石の下、樹皮の隙間などの狭い場所に潜り込んで冬を越します。
クサギカメムシの被害
クサギカメムシはウメやミカンなどの果樹や豆類をはじめ、草花や野菜などほぼすべての植物に被害を及ぼします。
4~10月の間に活動が盛んになり、新芽や茎葉、果実など植物の様々な場所に口の針を刺して吸汁します。
栄養をとられた植物は弱って枯れてしまう他、奇形の葉が生えることもあります。
特に実への被害は深刻で、寄生すると針を刺されたところが凸凹になり、腐ったり木から落ちたりすることもあります。
また、最近の研究ではてんぐ巣病を引き起こすファイトプラズマという細菌の運搬者としての疑いもあると言われています。
カメムシの天敵
実はクサギカメムシに限らず、カメムシには意外に多くの天敵が存在するのです。
例えば、カメムシの卵の中に産卵するチャバネクロタマゴバチやカメムシタマゴバチ、マルボシハナバエなどの寄生バチ。
カメムシの卵を食べるゴミムシやオオトビサシガメ、グンバイメクラガメ、アブ、サシガメなども天敵です。
特に寄生バチは生物農薬としての研究も進められているほどで、カメムシたちにとってはこれからもますます危険な存在になっていく天敵です。
他にも、ミミカキタケというキノコは別名をカメムシタケともいい、カメムシの成虫を宿主として栄養を吸収し成長していきます。
これもまた、天敵の一種と考えられるでしょう。
クサギカメムシの駆除
クサギカメムシを完全に防除することは不可能です。
防虫ネットやミントなどの忌避植物を近くに植えるなどの対策は無駄ではありませんが、それでも完全にクサギカメムシを寄せ付けないようにすることは不可能です。
ですから、どうしても見つけてから駆除するということになります。
まずは植物をよく観察して、クサギカメムシの幼虫や成虫を見逃さないようにすることが大切です。
表面にいない場合でも土中に潜っていたり、見えない場所に隠れていることもあるので、丹念に調べることが重要です。
見つけた時には決して直接触らないように気を付けてください。
とにかくクサギカメムシの匂いは強烈ですから、素手や手袋などで触ってもかなりの期間、臭いが染みついて離れないということになりかねません。
方法としては活動が鈍る早朝などの気温の低い時を狙って木や枝、植物をゆすって地面にクサギカメムシを落とします。落ちてきたところを踏みつぶすか、粘着テープなどにくっつけて取り除きます。
かなり、原始的な方法ですが、少ない時にはこの方法が一番。
万が一大量に発生した場合にはベニカ水和剤などクサギカメムシに効く農薬を繰り返し散布するしかありません。
植物によって、またはカメムシの種類によっても微妙に薬剤が違う場合尾あるので、園芸店などで相談してからの購入をオススメします。
(ライター ナオ)