ウスタビガという名前の蛾を知っていますか?

日本にも生息するヤママユガの一種であるウスタビガについて詳しくお話ししていきます。

ウスタビガの生態

ウスタビガは北海道、本州、四国、九州など沖縄以外の地域の里山などに生息しています。

10~11月の秋の半ばから終わりにかけてみることが出来ます。

翅を広げた時の大きさは90~100㎜ほどで、黄色い翅に6つの目玉模様が入ります。

前翅端が細長くのび、メスは全体的に黄色を帯びていて、触角は櫛状。オスでは櫛が長く、羽毛状です。

 

各翅の中央に円形の丸い半透明紋が入っていて、外側には稲妻形の暗色横帯があります。

翅の中央分から端にかけてはやや褐色を帯びていて、これは秋のコナラの葉に擬態していると言われています。

幼虫はクリ、サクラ、ケヤキ、クヌギ、ナラ、ハンノキ、エノギ、カエデなど様々な種類の広葉樹の葉を食べます。

 

1齢の時は全体的に黒っぽく、腹の部分に黄緑色が見られます。

黒っぽかったウスタビガは2齢になると背中にも黄色の帯が入り、黒い斑点が入り、3齢ではもちろん体も大きくなりますが、全身が緑色になり、ブルーの斑点が入ってきます。

こともあります。4、5齢になると水色の斑点も消え、鮮やかな緑一色になります。5齢虫では大人の人差し指くらいの大きさになり、つまりすべての齢で形態が大きく変化する、面白い幼虫時代を過ごしします。

 

また、幼虫時代は刺激などによって、キー――ッと鳴き声を上げることもあります。

6月頃になると蛹になり、5か月後には羽化。蛹も綺麗な緑色です。

 

扁平でかます形をしていて、長い柄で木の小枝などにぶら下がって、属にヤマカマスやツリカマス、ヤマビシャクなどと言われます。

ウスタビガの最大の特徴は秋も深まる時期に羽化することですが、成虫になってからは口吻がないので、何も食べずにオスもメスも繁殖に徹します。

 

夜中ではなく、早朝などに活発に活動し、越冬は卵の状態で行います。

秋おそくなってから羽化するのは、天敵が少ないからではないかと考えられているようです。

ちなみに、ウスタビガは漢字で書くと薄手火蛾となりますが、それはまるで掌のような薄い羽を持っているからかもしれません。

ヤママユガ科の特徴

モモイロヤママユの分類されるヤママユガ科は全世界に2300種の記載種が分布すると推測されます。

成虫は大型で、太い体と小さい頭部、羽毛のような鱗粉、ふくらみのある翅を持っているのが特徴。

口器は退化していて、羽化後は生食の為だけに活動し、飲まず食わずでその生涯を終えます。

 

オスは触覚が葉脈状に広がり、メスの放つ性フェロモンを検知します。

いくつかの種は翅に極彩色や半透明の目玉のように見える紋様があり、多くの種類は翅を広げた時に2.5~15㎝程の大きさになります。

 

熱帯に生息するアトラスガ類は30㎝に達するものもいます。

日本においてヤママユガ科の蛾と言えば、年に複数回発生するのが一般的。

 

春・夏に孵化した個体はそのまま成長して秋に孵化した個体は幼虫や蛹の状態で越冬します。

メスは半透明のやや潰れた丸い卵を1体で200個ほど食草に産み付け、幼虫は4~6回の脱皮を経て終齢幼虫で5~10㎝程に生長します。

 

一部の種は集団生活を送り、多くの種は単独で生活します。

日本産の種をはじめ、大多数は無毒で北米産のポリフェマス・モスやルナ・モスなど一部の種には天敵が近づくと顎を鳴らして威嚇音を発するものがあります。

 

ほぼ大本食で、草本食はごく一部。

農産物に大被害をもたらす一方でアフリカ南部のモパネワームと言われる蛾のように人の食料として活用される種もあり、アフリカ全土で幼虫を昆虫食の対象としています。

(ライター ナオ)