「オコゼ虫」っていう昆虫がいます。
これは正式名称を「イラガ」といって、チョウ目のイラガ科に属している昆虫とその総称です。「オコゼ虫」のほかにも、「蜂熊」「シバムシ」「ヤツガシラ」「キントキ」「オキクサン」「デンキムシ」などの呼び名があり、なんとほかにも数十もの地方独特の名前があるんだそうです。
ちょっと変わった毛虫のような形をしているんですが、あまり知名度は高くないのではないでしょうか。ということで、ここではこの「オコゼ虫」、イラガの正体についてご紹介してみましょう。
オコゼ虫(イラガ)とは?
「オコゼ虫」、イラガは、一般的に7月から8月ごろに幼虫として誕生します。体長は25mmほどで、短足でずんぐりむっくりなボディには多くの「トゲ」があります。
カキノキ・ウメ・サクラ・リンゴ等のバラ科や、カエデ類・ヤナギ類・クリ等の葉の裏に
多く集まっています。
このときの名前は「イラムシ」といって、鮮やかなライムのような緑or薄茶色で、ウミウシのようなフォルムになっています。
この幼虫が「繭」を作って冬を越します。この「繭」は茶色の線がある白くて固い殻で
、日本の昆虫類では最強の固さの繭だとされています。
春になると孵化して6月になると羽化しますが、このときに繭の上がまるで蓋のように開き、桶状になります。これを地方によって「スズメノショウベンタゴ」(笑)とも言われています。
ほかにも「スズメノツボ」「スズメノタマゴ」等の呼び名があり、子供が笛代わりにすることもあるそうです。
画像で見ると面白いですよね。なにかのおしゃれ小物なんかにも見えるような気がします。
これが、成虫になります。
羽化後の成虫の開張は30mmほどで、翅に黄色・橙色の独特な模様があります。
口吻が退化していて、なんと成体は何も食べないんだそうです。
刺されるととんでもなく痛いんです
知られざる「オコゼ虫」の正体ですが、さて、ここからが問題です。
このオコゼ虫、幼虫のときは上記のように体に多くの「棘」ががあります。
地方名には「デンキムシ」という名前があるのは、幼虫時にうっかり触れると飛び上がるほどの激しい痛みがあるからなんだそうです。
イラガ類というのは葉の裏に生息していることが多いので、葉の裏には注意したほうがいいですね。
この針に刺されると、その痛みは10年間忘れないくらいと言われているほどなんです。
これは、いやですよねえ〜。
しかも!ただ棘にささるから痛いのではなく、触れられると危険を察知して全身の棘から毒液を出すからなんだそうです!幼虫のくせにすごい防衛本能ですよね。
この刺激が強烈で、皮膚にかなり大きな水泡ができることもあり、痛みは1時間くらい、かゆみは1週間も続いてしまうそうです。
また、卵の状態でもかぶれがおきることもあり、繭にも毒が
ある場合があるので注意しましょう。
イラガ類にさされた場合、すみやかに水で棘と毒を流しましょう。
それでも棘が取れない場合は粘着テープ等を使って取ることもできます。
痛くてしょうがないという場合は皮膚科等の医者の治療を受けましょう。
イラガ類の駆除方法
このようなやっかいなイラガ類なんですが、道端で見つけても「触らぬ神にたたりなし」で触らなければいいだけですが、自宅の庭とかにいるとちょっと問題ですよね。小さいお子さんなんかがいると余計問題になるでしょう。
イラガの駆除方法についてですが、まず幼虫を見つけたら「絶対に手で触れない」ように
しましょう。
手袋をしていても、袖口の隙間を刺されるということもあるので危険です。数が少なければ割り箸か火箸等でつまんで、新聞紙等に包んでゴミ袋に捨てるとよいでしょう。
薬で駆除する場合は有機リン系殺虫剤を散布します。
散布してしばらくすると葉から落ちてきますから、落ちた虫を見落とさないために先に新聞紙などを敷いておくことをおすすめします。幼虫では死んでいるものにも毒があるので気をつけましょう。
数が多ければ、1週間から2週間してもう一度駆除するようにしましょう。
自然の世界は奥が深いですね
「オコゼ虫」など、地方でもさまざまな異名を持つイラガ類についてでした。
「10年間忘れない痛み」とはどのようなものなんでしょうか。想像しただけでもいやな感じですね。
幼虫でもおどろくべき防衛本能を持っているんですね!
ライター名:nabex