私たちが普段目にする芋虫は何色が多いでしょう?
緑?茶色?薄黄色?
私たちが芋虫と呼んでいるものは、おそらく蛾の幼虫である場合、蝶の幼虫である場合、そして甲虫やハチの幼虫である場合等様々。
また、色にしても幼齢を重ねるごとに茶色から緑に変わるものいれば、逆に緑から茶色になるものいますし、黒一色のものや黒や緑や茶色が混ざったようなもの、ラインや斑点が入ったもの等実に様々です。
しかし、元来、芋虫というのはサトイモやサツマイモなどの葉につくスズメガ科の幼虫を指す言葉。
決して毛がない幼虫のことを言っているわけではないのです。
よく名前の知られた芋虫の中にはヨトウガ類の幼虫であるヨトウムシ、イチモンジセセリの幼虫のツトムシ、モンシロチョウの幼虫のアオムシ、シャクガ科に属する蛾の幼虫のシャクトリムシなどが挙げられます。
幼虫の色は身を隠すために食べる葉や土の色に似せているものも多く、個体差があるものも。
その中で、茶色の芋虫と言われるいくつかの幼虫をまとめてみました。
スズメガ科の茶色い芋虫
ビロウドスズメガ
本来の芋虫!?スズメガ科の芋虫の中で茶色の芋虫と言えば、ビロウドスズメガの幼虫。
体色には変異がありますが、淡褐色、黄緑色のものがいます。
体の前方に眼状紋があり、その付近が膨らんでいて、よく見ると茶色一色ではなく、うろこ状の模様が入っているので、近づくとまるでヘビのように見えます。
オオマツヨイグサやノリウツギ、ブドウなどの葉を食べます。
エビガラスズメガ
こちらも元祖!?
サツマイモの葉を激しく食害する害虫のエビガラスズメ。
幼虫には個体差があり、緑色のものと茶色のものに分かれます。
体長は約8㎝もある大きな芋虫で、その大きさと繁殖力を買われて遺伝子研究の実験動物として養殖されていた李、最近では栄養価に富むことから将来の非常食として注目を浴びています。
シャクガ科の茶色い芋虫
シャクガ科の幼虫、シャクトリムシにも茶色の芋虫は何種類かいます。
シロオビフユシャク
日本全国に分布していて10~2月に成虫が発生するのが特徴です。
フユシャクという名前はそこからついた名前と考えられます。
ハンノキ、ウメ、サクラ、コナラなど多くの広葉樹の葉を食しますが、成虫になってからは口器はなく、エサを食べません。
また、メスは蛹から羽化したときには翅がありますが、徐々に退化するか短くなっていきます。
他にもクロバネフユシャクやヒロバフユエダシャクなども茶色をしています。
蝶の茶色い幼虫
蝶の幼虫では幼齢で変化するものが多く、ある1齢のみ茶色と言えるものや、若齢の時に茶色く徐々に緑色になるもの、逆に緑色から茶色っぽく変化するもの等がいます。
毛が生えている幼虫も多く、純粋に芋虫と呼べる幼虫として挙げられるのは、アゲハチョウ科の若齢幼虫ということになるでしょうか。
ミカドアゲハ
ミカドアゲハは分布が局所的で変異種が多く、日本国内では対馬や屋久島以南の島々、球種全域と香川県を除く四国、本州の一部の西日本地域に生息しています。
蛹で越冬し、芋虫は初春に見られ、成虫は初夏から初秋まで見られます。
オガダマノキやタイサンボクなどの木に見られ、基本的には茶褐色で毛の短い芋虫ですが、脱皮が近くなると色が薄まります。5齢虫くらいになると緑色に変化します。
アオスジアゲハ
アオスジアゲハは公園や神社、街路樹などで一般的にみられるアゲハチョウの一種です。
日本では本州以南に分布し、北限は東北地方南部辺りといわれていて、北海道には生息していません。
クスノキなどの葉を食べ、成虫の時期は5~11月程。
蛹で越冬し、茶色い芋虫が見られるのは初春で、形はクスノキの葉に似せていると言われています。蛹になる直前は緑色になります。
他にもシロチョウ科の芋虫は1~2齢で薄い黄茶色をしており、シジミチョウ科でも同じような現象が見られます。
(ライター ナオ)