日本の夜長を彩る秋の虫の一種、コオロギ。

彼らの耳は実は足にもあるってごぞんじでしたか?

コオロギの特徴

日本に生息するコオロギはエンマコオロギ、ミツカドコオロギ、オカメコオロギ、ツヅレコオロギなど数種類。

体長はおおよそ10~40㎜ですが、海を隔てた台湾には50㎜を超えるタイワンコオロギという種類も生息しているのだとか。

コオロギは紡錘形の体つきをしており、頭部には体長以上はある毛髪状の触角がついています。

後ろ脚が太く発達していて、後ろ足を利用して跳躍することが得意です。

翅にはやすり状の発音器や共鳴室を持っていて、発音器をこすり合わせて鳴いています。

エンマコオロギの生態

日本を代表するコオロギのひとつ、エンマコオロギは体長が26~32㎜。

昼間は草木の茂みや資材の陰に隠れていて、夜は徘徊してエサを探します。雑食性で植物から小動物の死骸までなんでも食べます。

 

成虫は8~11月頃に出現し、鳴き声が聞こえるのもこの時期ということになるのですが、その鳴き声にも種類があるようです。

縄張りを主張する時の本鳴き、メスが側に来た時のささやき鳴き、そして、オス同士が相手を威嚇する時に鳴く脅し鳴き。

 

それぞれはっきりと鳴き方が違うのだから、そんなことに注意しながら耳を傾けるのも楽しいかもしれません。

エンマコオロギのメスは地面に産卵管を突き刺して卵を産みます。

 

卵はそのまま越冬し、翌年の5~6月頃に孵化。

幼虫も成虫と同じく雑食なので、なんでも食べて大きくなります。

不完全変態で、成虫期間は1~2か月ほど。寿命は1年です。

コオロギの耳

人間でいう耳の役割を果たす器官はコオロギにとっては触覚などの感覚器になります。

コオロギは頭部にある体長以上もの毛髪状の触角と、尾端にある尾毛で周囲の状況を感知することが出来ます。

 

しかし、この2つの感覚器だけではなく前肢頸節の付け根には立派な耳を持ち、これで物音や他の個体の鳴き声を聞きとることが出来ると言われています。

メスのコオロギにオスのコオロギの鳴き声を聞かせる実験では、メスはオスの鳴いている声が両方の脚の耳から同じ音量で聞こえるように身体の向きを変えたのだそうです。

 

これは、まっすぐ進めばオスにたどり着けるということの証。

特に跳躍に優れたわけでもなく、かといって飛ぶこともできないコオロギは、こういった感覚器を身に着けることで子孫を残す確率を高めているというわけなのです。

コオロギと人間の関係

エンマコオロギは古く枕草子の時代から日本人に馴染みの深い昆虫として取り上げられてきました。

その鳴き声はコロコロ~やヒヨヒヨヒヨ~といったもので、おそらく本鳴きにあたるものだと思われます。

20世紀後半ぐらいまでは民間療法の薬としても使われていたのだとか。

 

一方、こちらも馴染みのある童謡、「蟲のこえ」で歌われているコオロギの声はキリキリキリキリキリ~でこれはカマドコオロギの鳴き声と言われています。

東南アジアなどでは食用としてたくさんのコオロギが今でも売られているのだとか。

 

食用とはかけ離れたところで、秋の虫の声を聞くために水槽などで飼育する人もいます。

キリギリスやコオロギなど綺麗な声で鳴く昆虫は秋の夜長を一層豊かな時間にしてくれるオーケストラ。

コオロギの鳴き声に関する秘密

コオロギたちの鳴き方は実は温度と深い関係があったってご存知でしたか?

夏の暑い時期には夜に鳴き、曇りの日や涼しい時期になると一日中鳴き、寒くなると日中だけ鳴くコオロギ。

 

コオロギの鳴き方によって、気温が割り出せるのだとか‥‥!?

その計算方法は15秒に何回コオロギが鳴いているかを数え、その回数に8を足して、5をかけて、9で割るのだそう。

興味のある方は是非お試しを!

(ライター ナオ)