彼岸花は日本人との関りを持ってきた花であり特徴的な性質も持っています。
この彼岸花の季語や生態についてまとめていきます。
彼岸花の生態
9月に花を咲かせる彼岸花ですが、その生態は植物と比べて生態が変わっており、見た目に関しても特徴的で、真っ赤な花が輪を描くように広がります。
ほとんどが赤い花を咲かせますが、中には白い色をしたものもあるようです。
花弁は4㎝ほどで細長く反り返るように成長します。
また通常、葉が広がり光合成によってエネルギーを蓄えることで花を咲かせるのですが、彼岸花では逆に花が咲くころに葉が生えていません。
花が咲き終わる頃に葉が生えてきて、冬の期間に光合成を行います。
そもそも夏までに最盛期を迎え日射量の多い時期に光合成をする植物が多いことからしても性質が異なることに気が付きます。
まるでサイクルが逆であり、葉が生えたまま冬を越えますが、ようやく暖かくなり始める春には枯れてしまい秋の花が咲くまでの間には葉が何も生えてきません。
彼岸花の分布域はユーラシア大陸東部がメインで、日本においても南北に広がっています。
有毒で虫除けにもなる
日本にも生えていますが、湿った場所を基本的に好むため基本的には田んぼや畑周辺、堤防の近く、また墓地で見かけることも多いです。
とても鮮やかな見た目とは裏腹に毒性を持っている植物でもあります。
そのため虫や小動物は彼岸花を避け、近づかなくなります。このことを利用し、人為的に彼岸花を植えることもあるため人里に生えていることも多く、墓地や水田の近くに生えているのもそうした背景であることが多いです。
こうして田んぼを荒らされないように工夫しており、墓地についても土葬した死体を荒らされないようにする必要があったため植えられていたのです。
人がこれを食べた場合にも人体に影響があるほどの毒性があり、下痢や嘔吐の症状、場合によっては神経の麻痺によって死んでしまうこともあるようです。
そのため間違っても彼岸花を食べるには注意が必要です。
実際にはちゃんとした知識を持って調理を施せば食べられる植物でもあり食用として使われていた時代もあったようです。
また、毒があるということは薬になり得る可能性も秘めているということでもあり、彼岸花に含まれる毒の成分の一つはアルツハイマー病の治療にも活躍しています。
彼岸花と文化との関連
9月頃に花を咲かせるため、彼岸花は秋の季語として俳句等に用いられています。
昔から日本文化との親しみも深く、各地域による呼び名が多数存在していること、そして彼岸花のその特異な性質から特徴的な花言葉も付けられています。
季語にも関連していますが、そもそも彼岸花という名前も秋の彼岸のころに開花するということや、毒性があることで食べてしまうと死ぬといったことが由来で名付けられています。この他、異名として「死人花」、「幽霊花」、「捨子花」、「地獄花」などがあります。
どれも不吉な言葉があてられていて、彼岸が関連していることでこうしたイメージが定着してしまったようです。
一方で真っ赤な花が綺麗に咲くことからめでたいものを表すこともあり、地方によって呼び名やその名付けられた背景も大きく異なっているようです。
花言葉に関しても同様に彼岸が関係した意味を持っています。特にそれが前面に出ている言葉は、「悲しい思い出」や「あきらめ」などがあります。
「転生」や「また会う日を楽しみに」、「想うはあなた一人」、「独立」、「再開」なども彼岸という亡くなった方のことを想う、この時期に咲く性質から考えられたものでしょう。見た目から付けられた花言葉もあり真っ赤に花が咲くことから「情熱」というものもあります。
彼岸花の季語や花言葉はお彼岸に関係していた
花の名前にそのまま「彼岸」があてられているように、彼岸花を季語として使った俳句などもお彼岸のイメージが根底にあることが多いです。
またそうしたイメージがつくこととなったきっかけは彼岸花の、他とは変わった性質によるものなのでした。
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