ハエ目ブユ科のブヨの成虫は、主に山の中や水辺など、自然の多い場所に生息しています。
幼虫時代に水のあるところで育つので、水辺に近い平地などにも出現します。
渓流釣りやキャンプをする場合、気になりますよね。
そして大抵、大人数で行動する時には一人くらい虫が異様に苦手な人、または極端に虫に狙われやすい人なども含まれています。
そんな場合、ブヨに蚊取り線香は効くのでしょうか。
ブヨの吸血に関する特徴
ブヨの正式名称はブユですが、一般的にはブヨと呼ばれる事が多いようなので、以下ブユとします。
また、ブユ科には種類があるようですが、日本国内においてごく一般的にみられるブヨに蚊取り線香は効くか、という事についての話です。
ブヨの成虫は全国各地の自然の多いところにほぼ一年中みられます。
春から夏にかけて交尾を行い、産卵、吸血を繰り返します。
吸血するブヨはメスで産卵時の栄養補給の為です。
朝早い時間帯や夕暮れなど、比較的涼しい時間帯に出る事が多いようです。
体長は約5mm程と、小さめのハエのようでもあります。
狙われやすい部位としてはヒトの足です。
キャンプなどには長袖長ズボンで行くという方もいると思いますが、皮膚の露出が多い場合にはブヨに吸血される可能性が高くなってしまいます。
ブヨは吸血する虫として知られています。
ヒトなどの皮膚を顎で破り出血させその血液を栄養とします。
また、皮膚を噛み切る前には、その部分に素早く麻酔効果のある物質を塗りつけており、その唾液には酵素毒が含まれているので「痛い」と気付いた時には既に皮膚を噛み切られ吸血済みとなっています。
ブヨに吸血された場合は、腫れが大きく患部は痒みと共に痛みが出てくるのが特徴です。
ただ、個人差がありすぐに腫れあがらない場合も多く何等かの虫に刺されたのかな、と思いがちです。
ブヨ特有の痒みと痛みという症状はブヨの持つ毒によって引き起こされるアレルギー反応によるものなので、重症になると危険です。
ブヨは皮膚を噛み切りますから、患部は傷口です。その為、掻きむしったりすると場合によっては雑菌が入りますので、余計ダメです。
蚊取り線香はブヨに効くのか
蚊取り線香は、蚊やハエなどに効くとされています。
ブヨは一応ハエの仲間ですから、もしかして効くのではないか?!と考えられます。
しかし、蚊取り線香の主な効能としては蚊成虫の駆除、となっています。
ブヨの成虫は蚊の成虫ではありません。
蚊取り線香といえば、有効成分ピレスロイドです。
除虫菊に含まれる天然成分ピレトリンの類似化合物です。
自然に優しく即効性もあるのが特長であり、日本の夏を楽しくするのに一役買っているに違いない物質です。
ですが、どうもブヨには効かないようです。
また、森林用にパワーアップした腰につけられる蚊取り線香もあります。
農業などに携わる方用に開発されたようで、効果のある害虫として、ユスリカ、チョウバエ、アブ、などとなっています。
ブヨは入っていません。
こういった製品は煙が多いようなので、お子様連れの場合は顔にかかりむせ返るかもしれません。
蚊取り線香は、煙そのものではなく蚊取り線香に含まれる有効成分が気化した際に効果を発揮します。
ブヨに効くかも知れないものなど
薄荷油を希釈したスプレー
ごく普通に市販されている薄荷油を、無水エタノールと精製水で希釈し、適宜使用します。
お子様の目や顔などに当たらないように留意します。
薄荷油はアルコールに溶けやすい性質がありますから、無水エタノールを使用すると薄荷油の成分が溶け込みやすく効果が期待できますが、用意できない場合やアルコールを使いたくない場合などは精製水に混ぜて作ります。
使用する際にはよく振ってからスプレーします。
精製水100mlにつき薄荷油は10~15滴くらいにします。
薄荷油には揮発性や引火性もありますから、取り扱いには注意してください。
薄荷油は薄荷の葉から水蒸気蒸留法という方法で抽出された濃度の濃いものです。
扱いに慣れていれば、靴などに原液を垂らしてみる、コットンなどに1,2滴垂らしたものを持ち運ぶなどの方法も考えられます。
この場合は事前にコットンを幾つか用意しておき、チャック付きのビニール袋などに入れておくと使い勝手がいいかもしれません。
ブヨよけ専用スプレーを使用する
このような製品には、害虫を避ける効果があるディートという成分が含まれています。
ジエチルトルアミドという化合物だそうですが、もとは米軍用に開発された成分であり、蚊はもちろん吸血性のあるブヨやアブなどにも効果があります。
蚊が媒介するマラリアなどの感染症などを防ぐ目的もあり、当然強力な薬剤という事になります。
このディートという成分は国内製品に成分表示が記載される場合は、忌避剤などとされている事が多いです。
忌避というのは、虫を避ける効果があるというようなやや柔らかめの意味合いで使われますが、ディートを含む製品による神経障害や皮膚炎などの副作用が報告されています。特にカナダでは12歳以下の小児に対する使用に規制がかかりました。
北米やカナダなどでは、日本で生産された製品より高濃度のディートが配合されているものが使われていたようです。
その為、日本でも6ヶ月未満の乳児には使用しないこと、2歳未満の小児には1日1回、12歳未満の子供には1日1~3回という規定があります。
これらを受けて、ディートを含む製品にはディートの濃度を明記する事になっていますので、特にお子様連れの方はご注意ください。
虫よけ製品について
虫よけスプレーなどに記載されている、医薬品と医薬部外品の違いはどこにあるのでしょうか。
使用にあたり効果の違いは気になります。虫よけ製品における医薬品と医薬部外品の違いは、主に濃度と対象とされる虫にあります。
虫よけ製品などの医薬部外品の場合適用されている害虫は、蚊の成体、ブヨ、サシバエ、ノミ、ダニなどです。
濃度が高いと、効果が強力になると思いがちですが、実際は害虫よけ効果の時間が長くなります。
日本国内で販売される一般向け虫よけスプレー等にはそれまでジエルトルアミドは12%含まれる製品が最高濃度でしたが、2016年秋以降は、ジエチルトルアミドの濃度が30%まで高くした製品が発売されるようになりました。30%の場合持続時間は約6時間ほどです。虫の忌避効果はほぼ変わりありません。
ブヨ対策について
ブヨは非常にしつこく、また一年中いる事から対策が難しい害虫です。
一番効果的と思われるのは、やはり肌を露出させた格好で釣りや登山をしない事です。
長袖長ズボンという服装にはケガをしにくいという利点もあります。
気温がとても高い場合は難航しそうですし、若い方はそのような服装に抵抗がある場合もあるでしょうが、最近では比較的おしゃれというか割合普通っぽいものもありますしね。ブヨに吸血された場合、病院にかかった方が無難でしょう。
ブヨに咬まれた経験者によると驚くほど痛いそうです。
(ライター:おもち)