シャコバサボテンと50回言えるでしょうか。
きっと5回目くらいにはさこばさぼてん、などと言ってしまうに違いありません。
そんなシャコバサボテンの挿し木などについての話です。
シャコバサボテンとは
サボテン科シュルンベルゲラ属のサボテンです。
原産地はブラジルで森林の中の樹上や岩石などに張り付く着生型のサボテンの一種です。
着生というのは、樹や岩など土以外のところに付着して生活している植物の事です。
シャコバサボテンは、このような地域に自生する原種をもとにして作られた園芸種のひとつです。
シャコバサボテンは耐寒性が低く、夏の暑さに弱いサボテンです。
シャコバサボテンは節のついた葉のような部位が下垂する事が特徴です。
この部分は茎節(ケイセツ)といいます。成長すると丈は20cm~50cmになり、垂れた茎節の先に花芽をつけ花が咲きます。
花はフューシャピンクが多いようですが、他の色もあります。花の色が途中で変わる事もあります。
開花時期は10月末から1月くらいまでです。
クリスマス頃に花が咲く為、クリスマス・カクタス(christmas cactus)と呼ばれる事もあるようです。
カクタスはサボテンの英名です。
シャコバサボテンの漢字表記について
仙人掌は漢字で書くと何らかの仙人のようでもあります。
仙人掌という面白い当て字は、古い小説の古い版のものを読んでいると出てくることがあります。
確か林芙美子の『浮雲』に巨きな仙人掌、というくだりで出てきます。
仙人掌(センニンショウ)は中国が由来のようですが、ひとつの説として中国にあった仙人の手のひらを象ったものに、漢の武帝が器のようなものを載せ不老長寿を願うものとしていたものが仙掌(センショウ)と呼ばれていた事柄と関係があるのではないか、といわれています。
林芙美子は『放浪記』で知られていますが『浮雲』をはじめ『晩菊』など、多くの作品に花や植物などが点在しています。
シャコバサボテンに近い品種に、カニバサボテンというものもあります。
シャコバサボテンは漢字で「蝦蛄葉仙人掌」と書きます。
茎節にある節が蝦蛄に似ているからだそうです。
蝦蛄はエビに似た海の生物です。
カニバサボテンは「蟹葉仙人掌」です。
蟹葉仙人掌は葉が丸いのが特色です。
シャコバサボテンの特徴
現在日本で流通しているサボテンは、園芸用として非常に沢山の種類がありますが、ウチワサボテンかハシラサボテンの系統が多いようです。
しかしシャコバサボテンはシュルンベルゲラ属です。
ちょっと珍しいともいえます。
名前が奇妙であるともいえます。
シャコバサボテンは葉に厚みはあるものの、他のサボテンたちよりはだいぶ薄く、花弁も薄くひらひらしています。
園芸用のシャコバサボテンの花の色は、白いものが赤くなったり、赤いものが薄くなったりという現象がしばしば起こります。
原因は不明ですが、気温が関係するという説もあるようです。白いシャコバサボテンの花は綺麗ですが、園芸種として純白の花色を出すのは難しいようでもありますね。
シャコバサボテンの水やりについて
冬の間は水を控えます。越冬させる事を念頭におき様子をみてひと月に1、2度くらいです。
温度が5度以下になると弱るので位置を移動します。
サボテンを枯らしてしまう要因のひとつに、水のあげ方にあります。
夏場は水が必要です。一日一度くらいが目安です。
水をあげたら。鉢に余分な水が残らないようにする事が重要です。
20度から25度程度が生育に最適なようです。
花芽もつけやすくなります。
夏は肥料を与えない方がいいようですね。
シャコバサボテンの葉摘み
春の葉摘みは、シャコバサボテンの形を整える為に行います。
上から見て丸くなるように茎節を摘みます。
手でややねじるようにすれば取れます。
この剪定も思い切って摘みます。
3~5節くらい摘んでも良いです。
冬の開花時期も咲き終わった花はすぐにしおれるので、どんどん摘みます。
状態が良ければシャコバサボテンの花は順番に咲きます。
秋の葉摘みの目的は、花を咲かせる事です。茎節の先に花の咲く元になる花芽をつけます。
新芽がつくと花芽をつけませんから、何かの種のような粒が茎節の先についていたら摘みます。
新芽も花芽も非常に小さいので、見逃さないようにします。
シャコバサボテンは短日植物の一種です。
日が長くなり始める9月頃には、いそいそと花芽をつける準備を始めます。
気温との兼ね合いが難しいですが、鉢植えをそれとなく日陰に移動させるなどして様子をみます。
シャコバサボテンの挿し木
挿し木という手法は、うまくいけば実に便利です。
株を新たに買う必要もなく、成長しきった葉の利用にもなります。
茎節はひとつずつではなく、1~3くらいとってまとめて挿します。
新しいサボテン用の土と新たな鉢を用意します。
そして挿します。
根がつくのを待ちます。
状態が良ければ、特に何もしなくても根付くはずです。]
挿し木には4~5月が向いているようです。
シャコバサボテンについて
挿し木を根付かせるためには、日ごろのお手入れと生育状態が肝になります。
状態が良いシャコバサボテンの茎節は、表面に張りがあるのでそれを目指して生育環境を整えます。
基本的に冬を超えれば大丈夫ですが、あまりに何もしないと気になってしまい、つい水をあげてしまうような心優しい人は特に水のあげ過ぎに気をつけましょう。
サボテンの花は咲くととても綺麗です。
子供の頃、ほぼ放って置いたサボテンに突然花が咲き驚いた事があります。
シャコバサボテンは思った以上に大きく成長する場合もありますから、その時の為に挿し木をマスターしておくと良さそうです。
(ライター:おもち)