早春に花をつける杏の樹にはやがて果実が実ります。
杏の実の旬の季節はいつでしょうか?
杏の原産地や生産地
杏は東アジアやヒマラヤ東部などが原産とされ、欧州系の甘い果実をつける杏と東アジア系の酸味の強い杏に系統が分かれています。
杏の実の旬の季節は品種によりばらつきがあるものの、6月~7月です。杏の樹は3月下旬になるとピンク色の花弁をつけます。
花の下の子房の部位は赤い事が多く、開花時期には葉がありません。梅と似ていますが、杏の花の花弁は枚数が多く、一時につける花の数も多い事が殆どです。
杏はバラ科アンズ属の落葉小高樹になる果実です。
樹高は高いもので10mほどにもなり、葉も大きいので庭木として植えられている場合もあります。
杏の果実は原産が比較的寒冷な地方であるためか、日本では寒い地方で栽培されています。
主な産地は長野県や青森県、北海道南部などです。杏の収穫は6月下旬頃から行われます。
杏の果実に傷をつけないようにひとつずつ手で収穫します。
気温が上がる日中に杏をもぐと品質が落ちてしまうとの事で、朝方や夕方など涼しい時間帯に収穫します。
杏のお尻の部分まで杏色になった頃が収穫に適した時期だそうです。
杏の品種や旬の時期
杏にはたくさんの品種があります。品種や気象条件により、出荷時期が変わります。
また、味や食感も異なるようですよ。平和は昔からある杏です。
大正時代に日本国内で発見された杏で、重量は70gから80gほどと小ぶりです。
旬の季節は6月下旬頃です。幸福丸は6月下旬、昭和は7月上旬、長野県産の信州大実は7月上旬から中旬、カーチスは7月中旬、信月は7月中旬から下旬、新潟県で昭和初期から栽培されていた新潟大実は7月下旬、信州丸は7月上旬、ハーコットは7月上旬から中旬です。
この中ではハーコットやカーチス、幸福丸が生食に向いています。
ハーコットは果実が約100gと大きいのですが、結実させる事が難しいようです。
杏は交雑もされますが、偶然できた品種もあります。
特に山形県、新潟県、長野県などでは古くから杏の樹があったようなので、長い冬が終わりまだ寒さの残る春に杏の可憐な花を見るのを楽しみにしていたかも知れません。
杏は一般的にシロップ煮、ジャムや果実酒など加工に向いている品種が多いのですが、青森県で栽培されている八助杏という杏は一風変わった品種といえるでしょう。
八助は青森県の三戸に昔からある杏の樹で、同じバラ科の梅と似ているので八助梅とも呼ばれる事もあります。
八助も日持ちがしにくい果実のため、梅漬けにして販売もされています。
杏にはカロテンや鉄分、クエン酸や食物繊維が含まれています。
あまり日持ちしない果実なので、ドライフルーツも良く見かけますね。
ドライアプリコットの生産地はトルコなどが多いです。ドライにする事で栄養素が凝縮され甘みも増します。
杏の種の利用
杏の果実は中央に種をもつ核果実の中でも種と果肉を分ける事が容易です。
種の中の肉は杏仁(キョウニン)といい、古来では薬用として利用されました。
日本に杏が入ってきた時はカラモモ、と呼ばれていたようです。
杏の種にはシアン化系の毒があります。
種に含まれている青酸ガスはすり潰すと揮発するので、杏を食べるとどうかなる、という事はありません。
杏の種の茶色い皮をむき、中の白い部分の杏仁霜を香りづけにして作られるのが杏仁豆腐です。
最近はアプリコットカーネルオイルというスキンケアに使用するオイルもあります。
杏の種の中から低温で抽出したオイルです。オレイン酸を多く含むのが特徴です。さらっとしていて肌なじみが良く使いやすいオイルです。
杏の食べ方
皮に傷がなく綺麗な色のものがおいしい杏です。
カットする時は、杏の果実のお尻のところをそのまま切ります。
杏ジャム
洗った杏を鍋に入れ煮詰めます。
裏ごしし種と果肉を分けます。ペースト状になったら、杏の重量の30%から40%くらいの砂糖を加えます。
ジャムを保存する際は、必ずジャムが熱いうちに瓶に入れます。予め瓶と瓶の蓋を煮沸消毒しておき、中にジャムを入れて蓋を閉め、逆さにして置きます。
杏ジャムといえば、洋菓子の艶出しに使われるナパージュですね。
これは杏ジャムを水で伸ばして簡便に作る事もできますので、ベイクド・チーズケーキの上に塗ると艶が出て美味しそうに見えます。
ドライアプリコット
刻んでヨーグルトに入れておくと翌朝には馴染んでいます。
また、ドライアプリコットの半分に溶かしたチョコレートをつけるのも簡単で美味しいです。
チョコレートを乾かすときはパラフィン紙のようなものにおいて置き、乾かします。
杏の季節
杏の旬の季節は6月下旬から7月と短めです。
杏を手に入れたら、ジャムにするなどして加工しましょう。
(ライター:おもち)