ストレリチアレギネ……
なんだか強そうな名前ですが、実は植物です。
しかも、和名のほうがさらに厳つく「極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)」と、まるでゲームの必殺技のような有様です。
当記事では、そんな荒ぶる植物ストレリチアレギネについて紹介します。
ストレリチアレギネの生態
ストレリチアレギネは、バショウ科・ストレリチア属の植物で、極楽鳥花(ゴクラクチョウカ)とも呼ばれています。
南アフリカ共和国の原産で、常緑多年生植物です。
ストレリチアレギネは、ストレリチアの一種で、ストレリチアにはレギネのほかにも、オーガスタ、アルバ、ジャンセア、ユンケア、交雑種のノンリーフなどがあります。
このなかで「極楽鳥花」と呼ばれているのは、ストレリチアレギネのみです。
どんな花が咲くの?
ストレリチアレギネの花は、太く長い花茎をもち、くちばし状であり、そして鮮やかなオレンジ色をしています。
株元から花までの茎を「花茎」、鳥のくちばし状の部分を「仏炎苞」、花茎上部から仏炎苞の基部のあたりを「花首」と呼びます。
仏炎苞から出てくる橙色の花びらに見えるところは「萼」です。
萼で幅の広いほうを「上萼片」、後ろの幅の小さいほうを「下萼片」と呼びます。
ストレリチアレギネの下萼片をつつむように2つあるのが花冠です。
花冠の先端部が雌しべです。雌しべは3つに分かれています。
ちなみに、雌しべの仏炎苞の近い側には花粉が隠れています。
ストレリチアレギネの花は、写真を見ると一目瞭然ですが、かなり変わっていて、派手な鳥のようにも見えます。
この鳥のようなかたちに由来して、ストレリチアレギネの英名は「バード・オブ・パラダイス・フラワー」、和名はこれを直訳した「極楽鳥花」となりました。
ただ、この「ニューギニアに生息している極楽鳥(Bird-of-paradise)に似ているから、極楽鳥花になった」という説は、実のところその真偽はよく分かっていません。
というのも、ストレリチアレギネは、極楽鳥花のほかにも、鶴に似ているという理由から「クレイン・フラワー」とも呼ばれているからです。
中国では「鶴望蘭」という字をあてます(ここでいう「蘭」とは貴重な植物のことで、単子葉植物のランとは関係ありません)。
なお、ストレリチアレギネは、おもに春と秋に花を咲かせます。
ただし、環境によっては夏でも冬でも咲かせるようです。
1つのつぼみから5回ぐらい花を咲かせる面白い性質もあり、花持ちも2週間ぐらいと長いので、高級切り花としても流通しています。
ストレリチアレギネの季節
ストレリチアレギネの開花時期は、4月~10月です。
この期間は、室内または外の日当たりのよい所に置きます。
それ以外の時期は、室内の日当りのよい窓辺に置きます。温度は3度以上で管理します。
肥料は5月、7月、9月に花用の暖効性化成肥料などを与えます。
ストレリチアレギネのその他雑学など
ストレリチアレギネの学名「ストレリチア」は、イギリス国王ジョージ3世の王妃、シャーロット・オブ・メクレンバーグ=ストレリッツ(1744年5月19日~1818年11月17日)に由来します。
ストレリチアレギネは、大航海時代の1773年、バンクスによって南アフリカから英国に持ち込まれました。
その花の美しさと珍しさは、たちまち人気となり、当時の王妃の名に因んで「ストレリチア」と命名されました。
ちなみに、シャーロット王妃の父親は、神聖ローマ帝国の公国のうちのひとつ、メクレンブルク=シュトレーリッツの公子です。
というわけで、シャーロット王妃はドイツ名も持っていて、ゾフィー・シャルロッテ・フォン・メクレンブルク=シュトレーリッツといいます。
ストレリチアレギネのまとめ
以上、ストレリチアレギネについていかがでしたか?
ストレリチアレギネは、その名前に負けず劣らず厳つい花を咲かせます。
園芸ではまだまだマイナーな存在です。
とはいえ、花が咲いている期間が長めで室内で育てることができるので、興味をもたれた方は、ぜひ、育ててみてくださいね。
(ライター ジュン)