秋が深まると各地から紅葉のたよりが届きますが、観光地にいかなくても各地の街中に、鮮やかな黄色が美しい銀杏並木が見られます。
黄色に燃える高い木々が並び落葉による黄色の絨毯が続くさまは、晩秋の風物詩のひとつです。
けれども銀杏アレルギーで悩んでいる方もいるようです。
銀杏アレルギーの原因やその対策方法を調べてみます。
イチョウとはどんな植物?
イチョウは、中国原産の裸子植物で、樹高が20~30mにもなる落葉高木です。
また、雌雄異株でギンナンが入っている実は雌木にのみ成ります。
扇型の特徴的な葉をもっていますが、広葉樹ではなく針葉樹に分類されます。
鮮やかに黄葉した姿は美しく、剪定にも強いので街路樹として採用されました。
また火に強い性質をもつともいわれ、江戸時代には火除け地に多く植えられました。
銀杏並木を味わおう!
みなさんの地元の学校とか公園などにも銀杏並木が美しいところはたくさんあると思いますが、そのなかでも全国的に有名な場所を挙げてみましょう。
北海道大学/ 山形県総合運動公園/ 明治神宮外苑(東京都)/ 国営昭和記念公園(東京都)/ 東京大学(東京都)/ 日本大通り(神奈川県)/ 渡場のイチョウ(長野県)/ 愛知県稲沢市のイチョウ/ 御堂筋(大阪府)/ 大手前通り東側歩道(兵庫県)/ 蔵本通(広島県)/ 学びの森プロムナード(岐阜県)/ たるみず千本イチョウ(鹿児島県)/ 熊本県庁プロムナード(熊本県)
名前の由来
イチョウは、中国では、葉っぱがアヒルの足の形に似ていることから、「鴨脚(イアチャオ)」と呼ばれていますが、それが日本に渡ってきて「イチョウ」になったといわれています。
またイチョウの種のギンナンは、中国での呼び名「銀杏(ギンアン)」に由来するとのことです。
落ちているギンナンは拾ってもいいの?
イチョウの種であるギンナンは、茶碗蒸しやおでんの具にしたり、串焼きにしたりして食べるとおいしいですよね。
イチョウは日本中の公園の樹木や街路樹に採用されていますが、その下に落ちている実は拾ってもいいのでしょうか?
公共の道路や公園のイチョウの木の周囲の地面に落ちているもの、自然に落ちたものについては、拾っても大丈夫です。
ただし、棒などで突っついたり叩いたりして採ることは違法です。
窃盗罪になってしまうので注意しましょう。
イチョウによるかぶれやアレルギーに注意!
道路や公園に落ちているものは拾ってもいいといっても、むやみに手でつかんだりしてはいけません。
イチョウやギンナンにはかぶれやアレルギーを引き起こす毒性があると言われています。
皮膚に接触したときの害とギンナンを食べたときに生じる害についてみていきます。
アレルギー性接触皮膚炎
イチョウの木や葉っぱや実には、ギンコールやビロボールというアレルゲン性物質が含まれています。
これはウルシの成分に似ており、触ると強い皮膚炎をおこします。
接触してから2~3日後に症状がでることもあるので注意が必要です。
落ちている実を拾って、外側の柔らかい実の部分をとってギンナンにする作業では、ゴム手袋をするなどして直接さわらないほうがいいでしょう。
また、ウルシにかぶれない人もいますが、イチョウの場合も人によりますので、自分がかぶれるかどうかわからず不安な人は、皮膚科でパッチテストを受けるとよいでしょう。
ギンナン中毒
「ギンナンは、歳の数以上に食べてはいけない」という言い伝えを聞いたことはないでしょうか。
これはあながち迷信だとはいえなそうです。
イチョウには「4-O-メチルピリドキシン」という有毒物質が含まれていますが、この化合物はビタミンB6で知られるピリドキシンという化合物に非常によく似ています。
ビタミンB6は、脳内で神経を沈静化してくれる物質のγ-アミノ酪酸(GABA)をつくってくれる身体にとって大切な物質です。
ところが4-O-メチルピリドキシンは、ビタミンB6と構造が非常によく似ているため、ビタミンB6と間違えられて体内に取り込まれてしまいます。
けれどもビタミンB6のようにGABAをつくることはできないので、身体のなかにGABAが不足してきます。
そうすると神経を沈静化することができず、興奮状態が続き、痙攣や嘔吐、意識混濁がおきる恐れがでてくるのです。
ビタミンB6の働きを邪魔しないくらいの少しの量なら食べてもいいのですが、とくにこどもは重篤な症状に陥りやすいので食べる量に注意を払わなくてはいけません。
銀杏アレルギーの症状と対策
イチョウやギンナンによるかぶれやアレルギーの皮膚的症状としては、全身、または身体の一部の赤み、腫れ、発疹、湿疹、蕁麻疹など。
消化器官的症状としては、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐など。ひどくなると、不整脈、呼吸困難、痙攣、意識混濁などアナフィラキシーショックをおこす場合もあります。
まずは、自分に銀杏アレルギーがあるかどうかを確かめておく必要があります。
あいまいなままイチョウに触って身体に異常が発生したならば、触った手で身体の他の部分には絶対触らないようにし、すぐに水できれいに洗い流してください。
そして直ちに皮膚科もしくはアレルギー科の医者にいき、イチョウやギンナンに接触したことを告げて治療してもらいましょう。
まとめ
寒い季節になると茶碗蒸しやおでんの具としてのギンナンはおいしいですよね。
けれども、ギンナンの食べ過ぎには注意が必要です。
イチョウの木の下に落ちている実についても軽々しく触らないようにしましょう。
自分に銀杏アレルギーがあるかどうか確認したうえで、黄金色に輝く銀杏並木の散策を楽しみ、ギンナン入りのお料理をおいしくあじわいたいものです。
(ライター sensyu-k)