ヘリコニアは極彩色の花です。

外見は極楽鳥花に似ている気がしますが、ヘリコニアとは科が異なります。

 

以前はバショウ科という同じグループでしたが、それぞれの特色を鑑みて旧バショウ科はバショウ科、オウムバナ科、ゴクラクチョウ科に分かれたようです。

ヘリコニアについて

花序が下がるヘリコニアの花は、大ぶりな赤い下り藤のようにも見えます。

開花時期は6月から10月頃まで。

目立つ為か、花言葉は「注目」「風変わりな人」とされています。

熱帯植物園や温室では栽培されている事もありますから、見た事がある方もいるかも知れません。

ヘリコニアは原産が熱帯地方の常緑多年草です。タイやベトナム、中国の一部などでも見かけるようです。

 

オウムバナ科ヘリコニア科ヘリコニア属として、ひとつのグループを構成しています。

ヘリコニアの種類は約80ほどだそうで、どれもこれも艶やかな熱帯の花といった様子です。

外見は昔の花簪を大きくしたような感じのものもあり、大きな鳥のクチバシの様なものもありますね。

 

花の様に見える部分は「苞(ホウ)」といい、その中に花があります。

一番見かける確率が高い種は、ヘリコニア・ロストラタかも知れません。

 

3mを超えるような大型種で苞は赤です。

ヘリコニアは花の時期が終わっても苞の色が残るので、一年中極彩色です。

数多ある赤い植物の中でも、熱帯産の赤は目が眩むような赤ですね。

ヘリコニアの種類

ヘリコニア・プシッタコルムという品種は約1m程で小型な方です。

切り花としても園芸用としても売られていたりします。花の中にはこれは花屋にはないだろう、と思う種がたまに販売されていたりします。

先日はなんとヒモゲイトウが売っていました。ですから、ヘリコニアも花屋にある可能性は否定できません。

ヘリコニア・プシッタコルムは赤い苞のところに黄色いものがチラリと見えますが、これは苞が赤くて中の花が黄色いのでしょうか。

 

ヘリコニアの中には、花序が直立するものもあります。

ヘリコニア・アウランティアカという種で高さは1m以上、中央アメリカからメキシコなどに生息しています。

 

苞はオレンジ色です。花序というのは、花のまとまりというような意味です。

そうでないものもありますが、多くの場合花はそれぞれ規則性を持って花をつける為、そのまとまりを花序、と呼ぶようです。

 

このように花序に形態の違いがあることから、ロブスターズ・クロウ(鋏)や、極楽鳥風だとかいうように、それぞれに面白い名前がついています。

そのまま学名になっているheliconiaというのは、ギリシア神話に出てくる芸術を司る女神が住む山のヘリコン山に由来するのだそうです。

ヘリコニアは和名は鸚鵡花ですが、苞と花の形を表したものと思われます。

ヘリコニアの特徴

ヘリコニアの特徴は、偽茎(ギケイ)を持つ事です。

 

ヘリコニア・ロストラタの茎に見える茎は、葉鞘(ヨウショウ)という葉のようなものが巻き付いて出来ています。

その為に本来の茎とは異なり、偽茎といわれます。

 

ヘリコニアの場合、その巻き付かれた中に花茎がありそれを伸ばして成長し花序をつけるようになります。

植物たちは、人間の目を時折いとも鮮やかに欺きます。

幼葉鞘のようなものはイネ科の植物にも見られるようです。

ヘリコニアとハチドリ

ヘリコニアとハチドリの関係は蜜月といってもいいくらいです。

ヘリコニアの仲間は中南米などに多くみられます。

 

ヘリコニアの花粉の媒介者はハチドリです。

花の種類によって、それぞれに違うハチドリが受粉に貢献します。

 

蜜の好みもあるのでしょうか。

ハチドリは鳥類として一時は失ったかも知れない甘味の受容体を再び獲得したそうです。

 

もしかしてヘリコニアの蜜の為かも知れません。

ハチドリの英名はhumming birdです。漢字表記は主に「蜂鳥」ですが、「蜂雀」とされている事もあります。

 

ヘリコニアは鳥媒花という事になります。

日本には鳥媒花は少ないそうですが、メジロやヒヨドリはツバキの蜜を食べているようです。

ヘリコニアという花

いかにもゴーギャンの絵に出てきそうだな、などと思いましたが、彼はどちらかというとハイビスカスなど女性の髪の毛に飾るような、ごく花らしい花々を好むのでした。

※参考『南方熊楠 人魚の話』南方熊楠著/平凡社/2017

(ライター:おもち)