オモダカという植物を知っていますか?

実は田んぼなど何気なく通り過ぎたり、電車から見る風景の中に自然に生えている植物。

 

今回は身近だけれどあまり意識されないオモダカについて詳しくお話しします。

オモダカの特徴

オモダカはオモダカ科オモダカ属の水生植物です。

ハナグワイ、サンカクグサ、イモグサ、オトゲナシなど多くの別名があります。

オモダカの名前の由来は人の顔に似た葉を高く伸ばしている様子を指して面高とされたと言われています。

オモダカの生態

オモダカは日本各地の低地や水田、用水路に見られ、ランナーを伸ばしてその先端に丸い球根を作ります。

 

成長期間は5~11月で、塊茎や種子で繁殖し、全国に分布しますが、特に関東以北、北陸などの寒地に発生が多いのが特徴です。

 

5月中旬~6月上旬にかけて塊茎から発生し、根元からはじめ細長い線形の葉を3~4枚出しますが、このころはウリカワに似ていて、6~8枚になるとへら状の葉が出てきます。

 

葉は根元から多数出ますが、夏に葉の間から高さ20~80㎝の茎を出し、上部の節に3個ずつ3枚の花弁がある純白の白い花が咲き、雄花と雌花が別々です。

 

やがて球形の果実ができます。

秋には地下茎の先に50~150個の塊茎を作ります。

特に葉が細いものをホソバオモダカと呼んだりします。

オモダカの種類

オモダカの種類や似ている植物にアギナシ、ナガバオモダカ、ヘラオモダカがあります。

 

アギナシはオモダカに似ていますが、ふつう葉が細く、虫眼鏡で先端を見ると丸くなっています。

 

また、葉柄がやや短く花茎が高く伸びているように見えるのが特徴で、最大の違いはランナーを出さずに根元に大量のむかごをつける点です。

 

ウリカワという植物もオモダカに似ていますが、こちらは高さ10㎝ほどにしかならない小型の種類で、葉は細長く、矢じり形をしていないので簡単に見分けられます。

 

ナガバオモダカはジャイアント・サジタリアとも呼ばれ、北米大陸に広く分布する種類です。

草丈は10~30㎝ほどで、常緑でランナーを伸ばし、増えていきます。

 

タイリンオモダカはクワイのような葉と花弁の基部が赤い5㎝ほどの大きな花を咲かせる品種で、とても美しく南米から北アメリカの南東部に分布しています。

 

ヘラオモダカは細長いへらのような形の葉と、枝分かれする花茎をのばし、花弁の先に細かな刻みがある点で区別がつけられ、マルバオモダカはスイレンを小さくしたような円い葉をつけます。

 

他にオモダカの八重咲の園芸品種があり、八重オモダカと言われますが、性質は普通のオモダカと相違ありません。

オモダカと人間のかかわり

オモダカは観賞用に栽培されることもありますが、通常利用されることは少ない植物です。

 

水田に良く生え、雑草として扱われますが、オモダカの栽培品種であるクワイは塊茎が大きく肥大し、食用になるためにおせち料理などに利用されています。

 

オモダカの葉や花を図案化した沢潟紋(おもだかもん)と言われる種類があり、慶事用の切手にもツルと一緒にオモダカの文様が描かれています。

古くは徳川家の譜代大名の水野家や毛利元就などが家紋としてつかっていたのだとか。

オモダカの育て方

水生の植物ですので、瓶のようなもので育てると涼し気でお庭の一角に置くのも風流です。

 

強健で育てやすい植物で、抽水性の植物なので根元がしっかりと水に浸るように水深は1~2㎝ほどにしておきます。

 

土は赤玉土の小粒を用い、有機物の入った培養土や腐植土などを使用しないと水は腐敗してしまいます。

 

肥料は緩効性の化学肥料を用い、油粕や骨粉などを用いると水が腐敗してしまうので注意が必要です。

植え替えは5~6月、ラン会を切り離して植え返します。

(ライター ナオ)