秋の七草にも数えられている「フジバカマ」。

かつては日本各地で見られましたが、じつは現在では絶滅危惧種となってしまっているのです。

フジバカマが育ちやすい環境がどんどん失われていった結果ですね。

 

一度も自生しているのを見たことがないという人も多いかもしれません。

そこで今回は、そんなフジバカマの生態や、どんな花が咲くのかについてまとめていきたいと思います。

フジバカマの生態

フジバカマは中国や朝鮮半島、そして国内では関東地方以西に分布している植物です。

原産地は中国ではないかとも言われていますが、日本でも万葉の昔から親しまれてきており、その歴史はかなり古いのです。

川沿いの湿った草原などに自生しますが、近年では自生できる環境が減ってしまったため、絶滅危惧種となってしまいました。

何となくそんなに珍しい花ではないと思っていたので、絶滅の危機に瀕していたとは驚きです。

 

しかし、園芸店などでも手に入るし、本当に数が減っているの?という疑問も。

じつは、市販されているもののほとんどは純粋なフジバカマではなく、他種や雑種なのです。

(多くは、フジバカマとサワヒヨドリの雑種で、「サワフジバカマ」という品種です。)

 

もう身近で本物のフジバカマを目にする機会は、ほとんどないかもしれませんね…。

フジバカマ自体にはほとんど香りがありませんが、茎葉を乾燥させるとまるで桜餅の葉のような良い香りがします。

 

中国では、昔から芳香剤として利用されていたんだとか。

桜餅の香り大好きなので、日本でもぜひどこかのメーカーから「フジバカマの香り」の芳香剤を発売してほしいです。

 

絶対売れると思います。

湿った場所を好みますので、水切れには弱く、栽培する場合はしっかりと水やりをしなければなりません。

 

植えるのは日当たりが良く、かつあまり乾燥しない場所がベストです。

地植えの場合、地下茎から猛烈に繁殖するので、土の中を板で仕切るなどして広がりすぎないようにしましょう。

 

このように、本来は繁殖力の強い植物なんですよね。

それでも数が減ってしまっているということは、いかに自然の環境が破壊されていっているかがわかります。

フジバカマはどんな花が咲く?

フジバカマは草丈60~120㎝で、茎の先端に約5㎜ほどのとても小さな花を房状に咲かせます。

開花時期は8月から9月頃にかけて。

 

花の色は淡い紫紅色で、花の形が袴に似ていることから「藤袴」と名付けられました。

じつはフジバカマには「ピロリジジンアルカロイド」という有毒物質が含まれています。

 

毒と聞くと危ない感じがしますが、この毒によって人間が命を落としたりすることはないので安心してください。

むしろかつては薬草として使われており、利尿剤や黄疸に効くとされていました。

 

また、風呂の湯に入れることで神経痛や皮膚のかゆみを和らげていたとも言われています。

まさに毒と薬は紙一重。

 

そしてフジバカマとよくセットでよく見られるのが、「アサギマダラ」という蝶。

アサギマダラはフジバカマの蜜から毒を体に溜め込んで鳥などの外敵から身を守っており、また人間に対する警戒心も薄いのでよく写真の被写体としても選ばれています。

人間にとってもアサギマダラにとっても、フジバカマの毒はとても有用なものだったのですね。

フジバカマについてのまとめ

フジバカマの花言葉は「躊躇」「ためらい」「優しい思い出」「あの日のことを思い出す」などです。

どことなく儚さや寂しさを感じるラインナップですが、現在のフジバカマが置かれている状況を考えると、なんだかかなりしっくりきますね。

このままではいつか本当に絶滅してしまうかもしれませんし、どうにかして昔のような群生する姿を取り戻してほしいです。

(ライター もんぷち)