栗ご飯、渋皮煮、モンブラン等々。

栗を使った食べ物は秋を感じさせるどこかほっこりとする心温まる食べ物でもあります。

 

そんな栗、食べ物で見ることはあっても、花や木を見たことがあるでしょうか。

今回は栗について詳しくお話します。

栗の特徴

栗はブナ科クリ属の木の一種です。

栽培品種の原種で山野に自生するものはシバグリヤヤマグリとよばれています。

栽培品種は自生しているものより果実が大粒なのが特徴です。

日本と朝鮮半島南部の原産で北海道西南部から本州、四国、九州に分布しています。

 

温帯から温帯域に分布していて、特に暖帯上部に多産する場合があり、この一帯を栗帯と言いますが現在は広い地域で栽培されていて中華人民共和国東部と台湾でも栽培されています。

落葉性高木の栗は生長すると高さ17m、幹直径は80㎝、またはそれ以上の大きさになります。

 

樹皮は灰色で厚く、縦に深い裂け目が入るのが特徴です。

葉は長楕円形か長楕円状披針形でやや薄くてパリパリしています。

 

表は艶があり、裏はやや色が薄く、周囲には鋭く突き出した小さい鋸歯が並んでいます。

実は9から10月頃に成熟し、自然にイガのある殻が裂開して中から硬い果実が1~3個ずつ現れます。

栗の花の季節

栗の花は雌雄異花でいずれも5~6月に開花します。

雄花は穂状で斜めに立ち上がり、全体にクリーム色を帯びた白で個々の花は小さいですが目立ちます。

又香りも強く昆虫もよく集まります。

 

花の香りの主成分はメチオナールとフラノンでサツマイモやイチゴやパイナップルに含まれている成分と同じです。

ブナ科植物は風媒花で花が地味なものが多いですが、クリやシイは特殊で虫媒花になります。

一般に雌花は3個の子房を含んでいて受精した子房のみ肥大して果実となり、不受精のものはしいなになります。

栗と人間の関わり

日本では栗は縄文時代初期から食用に利用され、驚くことにその頃から栽培されていたこともわかっています。

現在は日本全国で生産されていて、中でも茨城県、熊本県、愛媛県、岐阜県、埼玉県などは生産量が多く、名産地と言われるのは京都、大阪、兵庫に広がる丹波地方、長野県小布施町、茨城県笠間市などです。

戦前に中国から持ち込まれたクリタマバチは、昭和20年代には日本全土に存在した100種を超える品種の大半が消滅しました。

現在栽培されている品種はその後育成されたクリタマバチに対する抵抗性品種です。

 

栗の材は固くて腐りにくく建物の柱や土台、鉄道線路の枕木、家具などの指物に使われましたが、近年は資源量が不足し入手しずらくなっています。

成長が早く、よく燃えるので昔は薪木としても使われていて、縄文時代の建築材や燃料に使われていた材の大半が栗だったことがわかっています。

栗の品種

栗の品種は早生、中生、晩生の3種類に分けられます。

早生種としては森早生、玉造、丹沢、出雲、ぽろたん、人丸、大峰、国見、伊吹等があります。

 

森早生は8月下旬から9月上旬に採れる極早生で色つやや肉質が良い品種です。

ぽろたんは比較的新しい品種で美味しく渋皮がとれやすいことで話題になっています。

伊吹は9月中旬に採れる早生品種で病害虫に弱いなどの欠点がありますが非常に豊産の種類です。

 

中生種は筑波、銀寄、利平の3種類があります。

筑波は10月に採れ、結実が良く果実も大きいのが特徴。肉質が緻密で貯蔵にも適しています。受精も旺盛で土質や気候への適応性もあるので栗の中では最も評判の良い品種です。

 

銀寄は9月下旬から10月上旬にとれる、果実が大きく品質も良い栗の代表品種です。

利平は大きくて甘く、品質の良い栗として知られています。樹勢が強いのが特徴です。

(ライター ナオ)