湿地や水辺などでよく見られる「ミソハギ」。
お盆の時期にお墓やお仏壇に供える風習もあるので、ご存知の方も多いでしょう。
薔薇や菊などのように迫力のある華やかさはありませんが、ホッと心を和ませてくれる、慎み深い美しさがあります。
今回はそんなミソハギについて、生態や開花時期、育て方などをまとめていきたいと思います。
ミソハギの生態
ミソハギは日本及び朝鮮半島原産の多年草で、湿地や田んぼの畔、川や用水路のふちなどに分布しています。
日本各地で見られるので、名前は知らずとも見たことはあるという人も多いのではないでしょうか。
草丈は1~2mにもなり、濃いピンク色の花を穂状に咲かせます。
花の大きさは一つが1㎝ほどととても小さいですが、群生して生えるため開花時期はとても美しい光景を見ることができますね。
個人的には、大輪が一つバーン!と咲いているよりも、小さな花が群れて咲いている方が好きです。
園芸植物としても親しまれており、湿った土を好むので、他の植物が植えられないような水気の多い場所にも植えることができます。
ただし、日陰では育たないので、必ず日向で育ててください。
陸上でなくとも浅い水中で抽水植物として育てることも可能なので、水連鉢やビオトープに植えこまれることも多いですよ。
我が家でもメダカのためにビオトープを作成中なので、ミソハギも植えてみようかなと思っているところです。
鉢植えの場合は池や水槽の中に沈めて育てるのが好ましいので、その場合は当然ですが水やりの必要はありません。
地植えの場合は土の表面が乾いたらたっぷりと水をやりましょう。
ミソハギの開花時期は7月から9月頃。
開花期間が長いので、長期間花を楽しむことができます。
ただし、冬になると葉が黄色に変色し、霜が当たるとほとんど枯れてしまいます。
しかし、枯れてしまったからと言って捨ててはいけません。
ミソハギは多年草なので、春になると再び新芽が出てきますよ。
一度完全に葉が枯れてしまってから、春になるとまた芽が出てくるのを見ると…その生命力の強さにいつも感心してしまいます。
動物たちの「冬眠」もそうですけど、人間にもそんな機能が備わってほしいです。
なぜお盆に供えるの?
ミソハギは漢字で「禊萩」と書き、「ミソギハギ」と呼ばれていたものが縮まって「ミソハギ」と呼ばれるようになりました。
お盆のお供え物をミソハギを使って清める風習から、「禊に使う萩に似た植物=禊萩」となったと言われています。
別名、「盆花(ボンバナ)」や「精霊花(ショウリョウバナ)」と呼ばれることも。
それでは、そもそもなぜミソハギを使ってお供え物を清めるのでしょうか。
かつてミソハギには喉の渇きを和らげる効果があると言われており、亡者の喉の渇きを潤すという意味で、ミソハギが使われたのではないかという説があります。
さらに、ミソハギの花言葉は「愛の悲しみ」「純真な愛情」「悲哀」「慈愛」と、愛情と悲しみに関連するものばかり。
人々がこの花を手に、亡くなった人々への思いをはせている光景が目の前に浮かぶようですね。
今までこういった細かい風習の理由をよく考えたことは無かったけれど、一つ一つにきちんとした意味があったんですね。
私の育った地域ではミソハギを供える風習は無かったのですが、風習ではなくてもお墓やお仏壇にお供えしたいなと思います。
ミソハギについてのまとめ
ミソハギは野生化でも育っていることから、耐寒性・耐暑性に優れており、病害虫にも強いです。
あまり手間もかからないので、園芸初心者でも簡単に育てることができますよ。
何か植物を育ててみたいけど、初めてだから不安だ…という人は、ミソハギからチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
うまく育てばお盆のお供えとして切り花にしてもいいですし、おすすめです。
(ライター もんぷち)