キンモクセイの香りを嗅ぐとそろそろ今年もあとわずかか、などとセンチメンタルになったりします。
しかしおセンチ気分に浸っている場合ではなく、大切なキンモクセイに数々の害虫がつきまとい途方に暮れる事もあります。
キンモクセイ
キンモクセイはモクセイ科の常緑樹です。
一年中葉を落とさない事から、丸く刈り込まれて庭木に植えられている事も多くありますね。
寒さにはそれほど強くないので、日本では主に本州地方で見かける樹木です。
樹高は2m~6mほどで、葉は厚みがあり光沢があります。
キンモクセイは9月下旬から10月頃になると、オレンジ色の小さな花をまとまって咲かせます。
キンモクセイの香りがしたな、と思うと数日後には花が葉に隠れて見えないほど開花時期は短めです。
雄株と雌株があり、日本で見かけるキンモクセイはだいたいが雄株です。
その為実をつけることはありません。
原産は中国とされ、比較的病害虫に強い樹木なので庭木や生垣として昔から人気があります。
花言葉は「謙虚」「真実」などです。
害虫や害虫による被害と駆除や予防など
キンモクセイにつく害虫は、アブラムシの仲間、甲虫、ダニ、蝶や蛾の幼虫に大別できるようです。
ヒイラギワタムシなどカメムシ目アブラムシの仲間
実害:別名雪虫なので樹が白くなったように見えます。モクセイ科の樹に付きやすく、樹液を吸います。
悪化すると葉が縮れたような状態になる「ウイルス病」を引き起こす場合もあります。
時期:4月から5月
駆除方法:ピンセットや割り箸などでつまむ。または、「粘着くん」という比較的安全性の高い薬剤を使用します。
数が多い場合は有機リン系の殺虫剤「スミチオン」を希釈し適宜使用します。
「スミチオン」は新芽を傷めてしまうことがあるので、新芽の時期は避けます。
また、ミツバチの巣が周囲にない事を確認して使用する事です。
カイガラムシ
姿:白や褐色の1cmほどの虫です。びっしり付くと非常に気色悪い状況になります。
実害:樹について吸汁します。樹の状態が悪化すると葉の色が悪くなる「すす病」を引き起こす要因になる事があります。
また、見た目が気持ち悪いなど。
時期:主に5月から6月
駆除方法:棒やヘラのようなものでそぎ落とします。
右利きなら右にヘラを持ち、左手でゴミ袋等を持ち、とにかく何も考えずにヘラで虫を落としすぐさま袋の口を閉めます。
力が入りすぎて、キンモクセイの木肌の上でカイガラムシを潰さないように気をつけます。
または、カイガラムシ専用の殺虫剤を噴射します。
ヘリグロテントウノミハムシ
姿:黒に赤い斑点があるテントウムシのような甲虫の一種です。
実害:葉を食べます。
葉の色が抜けて、ベージュのように白っぽくなってしまいます。
時期:7月頃など
駆除方法:テントウ虫によく似ているので、勘違いしないようにします。
春先に頭が黒くて体が黄色っぽいの芋虫のような幼虫の姿でいるのを発見したら、「スミチオン」を適宜使用します。
成虫の姿で固まって越冬する事が多いので、越冬しないように周辺をよく掃除しておく事です。
集団を発見したら、棒やヘラで落とします。
ミカンハダニ
姿:ごく小さいオレンジっぽいダニの仲間です。
実害:葉の裏に付き吸汁する。
白い糸のようなものを出すので、クモの巣のようなものが見えたら要注意。
時期:3月から10月の高温で乾燥している時期です。
特に夏以降はミカンハダニの天敵とされるカブリダニなどの活動が鈍くなるため、ミカンハダニが活発化する傾向があります。
ミカンハダニは休眠しない為一年中気が抜けません。
駆除方法:ガムテープを葉の裏につけて、一気に取ります。予防として、真夏に水分不足にならないように注意します。
ヒロヘリアオイラガ(幼虫)
姿:突起のようなものがある芋虫です。
棘を触ると痛みが生じるので手で触らない事。
実害:葉を食べます。
時期:7月から9月など
駆除方法:希釈した「スミチオン」を噴射します。集団であれば、枝ごと切り落とします。
切った後は虫が動かないうちに速やかに処理します。
マエアカスカシノメイガ(幼虫)
姿:糸のようなものを出します。黄緑の芋虫状です。
実害:柔らかいキンモクセイの葉を食べる食害です。
時期:4月から5月
駆除方法:枝ごと切り落とすか、大量なら殺虫剤を使います。
ミダレカクモンハマキ(幼虫)
姿:2cmほどの芋虫で、頭は赤茶色です。ハマキ蛾の幼虫で、卵の状態で越冬します。
実害:同じく食害
時期:5月頃
駆除方法:見つけたら枝ごと切り落とします。
キンモクセイの害虫の駆除
花の時期が終わりせん定を行う時期には樹や周辺の地面をよく見て、葉に穴が開いていないか、妙なものが付いていないかなど、よく観察しましょう。
春先の剪定時期は虫の幼虫がいる場合もあります。
葉の裏や枝の下までよく見ましょう。
キンモクセイの害虫を予防するには、せん定時期の観察が重要なようです。
キンモクセイは通気性を良くした方が、害虫が付きにくいようでもあります。
ベランダなどで育てる場合、風通しを良くします。
殺虫剤を使用する際は、周囲の迷惑にならないように風のない日を選び戦いを挑みましょう。
また、住宅地のキンモクセイに殺虫剤を使用する場合、学校の登下校時間をなるべく避けましょう。
自分の手には負えない状況になっていたら、業者に頼むのも手です。
害虫たちは大量発生する事があるので、早期発見迅速な対応が肝要です。
(ライター:おもち)