くず粉が採れることでおなじみの「葛」。

くず粉のことは知っていても、どんな植物なのか?どんな花が咲くのか?と言うことについては、全く知らないという人も多いのではないでしょうか。

 

じつは葛、くず粉だけではなくて他にも様々なことに利用できるんですよ。

今回はそんな葛の生態や花について、まとめていきたいと思います。

葛の生態・花

葛は日本原産の植物で、マメ科の多年草です。

つる性で、地面を這ったり何かに巻き付きながら成長。

その長さは10m以上にもなり、全体に褐色をした細かい毛が生えているのが特徴です。

根は長芋のように肥大した塊根となり、この根からデンプンを抽出してくず粉が作られます。

 

なんと根の大きさは長さ1.5m、直径は20cm!

ビックリするような大きさですね。

 

掘り出すのにも一苦労しそうです。

花は濃い紫色をしており、まるで藤の花を逆さまにしたような姿をしています。

 

「秋の七草」にも数えられており(秋の七草は、春の七草と違って鑑賞用です。)、開花時期は7月~9月。

とても鮮やかで美しい花なのですが、基本的には葉の裏に隠れるようにして咲くので、あまり人の注目を集めることはありません。

せっかくなので、もっと前面に出て咲いてくれればいいのになと思いますね。

繁殖力が強く、あっという間に辺りを覆いつくしてしまうので、栽培には向きません。

 

個人で山を持っている、というレベルならば可能かもしれませんが…。

夏には1日に1m伸びるとも言われています。

 

あまりの生命力・繁殖力の強さに、一時期海外の緑化事業に用いられたものが、現在では有害植物として駆除対象になっている有様…。

園芸店などでもほぼ販売していません。

 

もっとも、かなりありふれた植物で、道路の法面や土手などにも良く生い茂っているのを見かけます。

どうしても育てたい!と言う人は、そういったものを採集してきて育ててみてはいかがでしょう。

ただし、繁殖しすぎて近隣に迷惑をかけないように気を付けてくださいね。

他にも色々、葛の利用法

葛は様々な特徴を持っており、多様な利用方法があります。

ここからは、そんな特徴をまとめていきたいと思います。

くず粉

現在多く流通しているくず粉は、葛から採れたデンプンだけでなく、ジャガイモなどのデンプンが混じっているものがほとんどです。

葛の根は掘り出すのが一苦労なうえ、精製にも時間がかかるため、全て純粋な葛から作られた「本くず粉」は高級品として扱われています。

漢方薬

風邪をひいた時に活躍する漢方、「葛根湯」。

これはその名の通り、葛の根が原料です。

また、花の部分は二日酔いに効く漢方として扱われています。

かつては、ツルを使って布を作り、衣服として利用されてきました。

その歴史は古く、なんと新石器時代にはすでに使われていたとされているのです。

現在でも、襖張りなどに利用されています。

飼料

現在ではあまり利用されていませんが、かつては馬や牛、ヤギなどの草食動物の資料としても利用されていました。

繁殖力が旺盛なので、餌には困らなかったことでしょうね。

 

このように、花・葉・ツル・根と、ほぼすべてを利用することのできる葛。

ただし、利用できない所も一箇所。

 

それが「豆」です。

豆は味が悪く、実の質が均一でないため調理もしにくく、全く利用されることはありません。

これで豆が美味しく食べられたら、パーフェクトだったのに…。

葛についてのまとめ

私たちのとても身近にあり、ありふれている植物なのに、全くその良さに気付いていない人も多いでしょう。

私もそもそも葛がこんなに身近なところに生えている事すら知りませんでした。

家での栽培はできませんが、次に見かけることがあったらよく観察してみようと思います。

(ライター もんぷち)