ヨウシュヤマゴボウの特徴

ヨウシュヤマゴボウはヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草です。

北アメリカ原産で、日本では明治時代初期以降、各地で繁殖している帰化植物です。

高さは2m前後まで達し、茎は無毛で赤く、根は太く、葉は大きく、秋になると紅葉します。

6~9月にかけて白色や薄紅色の花を枝先につけ、夏には扁平な果実をつけた後、秋に黒く熟します。

葉は楕円形で互生していて、葉の先は鈍くとがって鋸歯はなく、葉の表面に毛は生えていません。

ヨウシュヤマゴボウの花

ヨウシュヤマゴボウの花は茎先に総状花序、つまり、ブドウのような形で咲きます。

花の系は5㎜位で、淡い紅色を帯びるものもあります。

花被片は5枚あり、肉厚で、遠目では花が咲いているのがわからなくても、近づいてみると可愛らしい様子をしています。

ヨウシュヤマゴボウの毒

ヨウシュヤマゴボウは有毒植物で全体にわたってドクガあります。

果実も有毒で、毒性は根が最も強く、次いで葉、果実の順になります。

 

果実中の種子は毒性が高く、間違って誤飲する事故などが起きることもあります。

毒成分はアルカロイドであるフィットラッカトキシン、サポニンなどで、根には特に硝酸カリウムが多く含まれています。

 

誤食すると2時間ほどで強い嘔吐や下痢が起こり、摂取量が多い場合には中枢神経麻痺やけいれん、意識障害が生じ、最愛の場合は呼吸障害や心臓まひなどを引き起こし、死に至ることもあります。

特に幼児が口に入れるのは危険で、山歩きなどの時には注意が必要です。

 

根や種子には植物たんぱく質の一種であるポークウィードマイトジェンと呼ばれる物質が含まれていて、これらは毒性も持ちますが、同時に有用な薬理作用をもつとして研究が進んでいます。

かつてアメリカのアラバマ州などの南部地域では若芽をゆでこぼして毒を抜いたうえで食用にするところもあったようです。

ヤマゴボウとヨウシュヤマゴボウとモリアザミ

根がゴボウに似ているということからヤマゴボウ、西洋からきたものなので、ヨウシュヤマゴボウという名前がつきましたが、一般的に野菜として売られているヤマゴボウとは全くの別物です。

学術的に近いわけでもないので注意が必要です。

 

流通しているヤマゴボウは味噌漬けや加工品としてうられていますが、これはキク科アザミ属の一種でモリアザミという植物。

ヤマゴボウという名前の植物はまた別に存在しています。

 

こちらは減産が中国で、大きな楕円形の葉を茂らせ、草丈も1mほどになります。

ヨウシュヤマゴボウとの大きな違いは穂が垂れさがらず、上に立ち上がること。

こちらも全草に毒成分があり、特に根や果実は危険と言われ、ヨウシュヤマゴボウと同じような症状を引き起こします。

ヨウシュヤマゴボウの利用

ヨウシュヤマゴボウの実は潰すと紫色の汁が出てきます。

この汁は一度手や服につくとなかなか取れません。

アメリカではこの汁を染料として使っていたことがあり、ヨウシュヤマゴボウのことをインクベリーと呼んだりもします。

ヨウシュヤマゴボウのまとめ

山歩きをしていると、食べてくださいと言わんばかりに山道に垂れ下がっているヨウシュヤマゴボウ。

思わず手を伸ばして口にしそうになる植物ですが、くれぐれも気を付けなければなりません。

 

子供の頃は潰して色水などを作って遊んでいたこともあったような、なかったような・・・・・。

いづれにしても、毒でいっぱいの植物だったとは知らずにいました。

 

鳥がついばんでいるのを見たこともありますが、確かに、あんなに目立つところに実がなっていながら、

鳥たちも口にしないのは色のせいなのか、毒のせいなのか・・・・?

(ライター なお)